物語のない140字作品集 2

スエテナター

第1話 時計草の海

時計草の海に、二人で沈む。夏と秋の間、名付けられない風が吹く。時には手を繋ぎ、時には一人で思い出に浸り、夜には澄んだ星を見る。誰かの歌が聞こえる。涙が降ってくる。不思議な波の音。甘い匂い。想像もできない未来。進もうか。止まっていようか。答えの出ない二人の影を、夕日が見つめている。

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