京音とイナの吸血同盟

ふはやヱ

第1話 同盟結んでみない?

その日までは沢山ある平凡な日常の1日だった

なんだったら午前中までは普通だったはず

まぁとりあえず俺は先生に頼み事をされて

放課後まで学校に残っていた

頼み事はただ物を運ぶっていう簡単なんだけど

旧校舎の端から本校舎の端まで運ばないと行けなくてそれを3往復程して本当に大変だった

と、まぁそんなことはどうでも良くて

頼み事を終えた俺は帰ろうとして思い出した

幼馴染の皆川 彩乃みなかわ あやのに待ってもらっていた

しかしもう1つ気付いた彩乃が昇降口にいないのだ

昇降口で待っていると言っていたのだが

まぁいいLINKで聞いてみるか

『今、何処にいる?』

既読がつかない…

彩乃は既読早い方なんだけどな

俺はしばらくSNSなどで暇を潰していると

1件の投稿に目を引かれた

『空になんか飛んでたんだけど

なにこれ?分かる人教えて〜』

そこに添付されている動画を見ると

黒い人型の何かが空を飛んでいて電柱に止まったと同時に消えた

有名になりたいがための創作動画だろうか

107件程の返信のほとんどは

『制作お疲れ様ww』

『ん〜これは有名になりたい人の欲望の塊ですねw』

『てか画質荒すぎだろ

そういう系のテレビ番組にでも応募しとけw』

などで信じてるのは小学生かオカルトマニアだろう

俺はスマホの電源を落とす

その瞬間スマホの通知が鳴り

先程閉じたばかりのスマホをつけると

1件のメッセージがあります

とありタップして詳細を見ると

『助けて』と彩乃から来ていた

一体どういう事だ?彩乃に何が起きてるのか分からないまま俺は校舎を走り出していた

とりあえず彩乃を見ていないか先生に聞いてみよう

「先生!」

「おぉ、どうしたんだ静色そんなに焦って」

「彩乃の事見てませんか?」

「皆川なら昇降口でお前を…

いや、違うお前を手助けしようと旧校舎に行ったはずだ」

「旧校舎!ありがとうございます!」

良い情報だ!

「おい、廊下は走るなーって聞いてねぇか」

   ◇◇◇

時刻はもうすぐ18時

夏ゆえにまだ外は明るく廊下には窓から日が入る

俺はその廊下を走り端の教室に着く

扉は開いていて中では彩乃が倒れていた

「彩乃っ!大丈夫か」

駆け寄り生死の確認をする

生きているが気を失っているようだ

嫌な気配を感じ取り振り向きざまに拳を振りかぶる

「っ!」

予感は的中したのか拳は何かに当たる

そして当たった何かは

「グゥゥゥン」

と鳴き廊下に倒れた

今のうちに逃げなければ

この怪物が再び動き出したどうなるか分からない

俺は彩乃を担ぎ学校を後にし

公園まで走った

「はぁはぁ流石に担いでの走りは疲れるな」

彩乃は未だに気を失ったまま

あの怪物は黒く人型で投稿で見たものと一緒だった

あれは創作じゃなかったのかよ

というかあれいたこと誰にも言わなくて良かったのかな

今頃先生たちが襲われたり…

ただ俺がなんかできるわけでもないしな

「そこの青年よ!」

唐突に呼ばれ顔をあげると

そこには1人の女性がいた

「なんですか?」

「何かお困りかな?」

女性は疲れている俺と気を失っている彩乃を交互に見た

「うーん、その様子何かに襲われたと見える」

随分と勘のいいひとだが

真実を言っても信じてもらえないよな

「いえ、特に何でもないですよ」

「言いたくはないか

まぁ良いが今晩は出来るだけ外出しないことだな」

そういい女性は立ち去って行った

外出はしない方が良い…か

元からそんな気はないし大丈夫だろう

「京音?」

「彩乃、目覚ましたか」

「うっ!」

「どうした?頭痛いのか」

「うん少しだけ、でも大丈夫」

彩乃があの怪物に何をされたのか分からないから

対処法とかもわかんねぇな

「取り合えず今日は帰ろう」

「あれ、スマホがない?」

スマホ?思い出せば彩乃が倒れていたすぐ近くにあった気がする

「きっと学校にあるから明日取りに行こう」

今取りに行くのは危険すぎる

   ◇◇◇

俺はあの後彩乃を家まで送り

と言っても隣なんだけど

今は寝る前だ

ベッドの中でスマホを見ていた

俺はずっとあの怪物のことが気になって調べていた

SNSではあの投稿以外(いや、あの投稿すらも消されていたのだが)見当たらない

怪物を見たのは俺と彩乃だけか

見つからないと悟り動画サイトを開き

面白い動画が無いか探す

あっ登録してるチャンネルから最新動画上がってる

そしておよそ15分ほどの動画を見終えてスマホを閉じて気づいた

ザッザッ

ザッザッ

と何かが近づいている

スマホは閉じているから音が鳴っているのは部屋の外

2階にあがってくる階段だろう

あの怪物だろうか

いや、なんにせよこの状況は危険だ

戦う?いや逃げなければ

何処から逃げる?

敵は扉の先

この部屋の出口は扉か…窓だな

その間にも音は近づいてくる

よし、窓から出るぞぉ

さーん、にー、いー…

ふーもうちょっと心の準備を

ドンッ

あっヤバい出なきゃ

心の準備云々よりも生きたいという思いから

窓から外に出るが

外に出た時あれ死ぬかも?とも思ってしまった

が足を痛めただけで済み

俺は走り出した

後ろからは何か圧を感じている

これは絶対に後ろにいる

なんだったら2体いないか?

どうするんだよこの状況

俺は走り続けていつの間にかあの公園についていた

走るのももう限界だ

俺は公園で立ち止まった

もしかしたら戦えるかもしれない

学校の時はそうした一時的に逃げれたし

そんな淡い期待を抱いて振り返るも

何もいない…奴らは消える力でも持っているのか?

刹那学校の時のような嫌な気配を感じる

けれどどこから来るかがわからない

これじゃあ対処のしようが…

「出るなと言ったのだが

君の居場所がバレていたのだから仕方ないか」

聞こえてきた声はあの女性の声で

目の前に急に現れた2体の黒い影のようなものは

バンッバンッという2回の銃声の後に灰のようになり消えた

「うーんこれはこれでデメリットが大きいな」

あの女性は公園の塀に座っていた

「あ、ありがとうございます」

「そんな礼を言ってる暇はないぞ」

「えっ」

言われ気が付くと近くにはあの怪物がいるんだろうか

嫌な気配を感じる

「とりあえず私のアジトまで行くからこれ持っといて」

俺は銃を受け取った

「これって」

「安心して本物であり偽物よ」

そういう彼女はヘルメットをしていた

「何故ヘルメットを?」

「バイクに乗るからよ

はい、君もヘルメットして」

「俺も乗るんですか?」

「あら、サーバントに殺されたいの?」

「それは嫌ですけど」

「だったら乗って

途中ついてくるサーバントを倒してもらうから」

というかサーバントってあいつらのことか?

それに倒すってこの銃で?

どうなってるんだよ

「何ボサっとしてるの」

右から来る

俺は右に銃を向けて撃った

するとジャストで現れたサーバントに当たり消えた

「なぜ?ううん早く乗って」

「は、はい」

俺はバイクにまたがる

「怖かったら抱き着いてもいいよ」

「大丈夫です!」

「じゃあ飛ばしていくよー」

ブゥゥゥゥン

バイクで走り出すのと同時にサーバントは姿を現し追いかけてきた

「あいつら本気だと足早いからバイクでも追い付かれちゃう

だから近づいてきたら撃って撃退してね」

「はい!」

サーバントは徐々に近づいてくる

バイクに乗っているせいか狙いが定まらない

「肩の力抜くと良いよ」

肩の力を…

俺は目を閉じ息を吐く

フー

そして目を見開き撃つッ

バンッバンッバンッ

「3発で3体に命中!百発百中ね」

「そんなこと言ってる暇ないです

どんどん出てきますよ」

「そりゃそうよあいつらは無限沸きよ」

「そんな、弾はどうするんですか」

「元から弾なんてないわよそれ」

「えっ弾がない?ならどうやって倒して」

「詳しい話はアジトについてから!

どんどん加速するから!」

うわっあぶねぇ落ちるところだった

   ◇◇◇

「さぁ着いたわよ」

着くころにはサーバントはいなくなっていた

そしてついた場所はマンションだった

「ここがアジトですか?」

「正確には最上階の部屋だけよ」

「いやそれだけでもすごいだろ」

場所的には都会の駅近で最上階は20階ぐらいだ

それを全部屋っていったいいくらかかるんだ?

「取り合えずついてきて」

言われるがままついて行き1つの部屋に連れてかれた

「それじゃあ君が知りたいことは知ってる限り話すよ」

「まずはサーバントについていいですか」

「サーバントは言っちゃえば雑魚敵で

ボスキャラみたいなより強い怪物に従ってるの

特徴としては夜にしか現れないからここに着くころには消えていた」

「だとしたらあの学校に現れたのは」

「あれは何らかのバグみたいな…感じかな

他に聞きたいことは?」

「この銃は?」

「それは対怪物用の武器の1つで弾は使わない

必要なのは使う人が適正かどうか」

「適正?うーんそこら辺はややこしいわ

他には…私のことでも教えてあげようか?」

「あなたのこと?」

「私はイナ・ローゼン」

外人か?いやハーフか

「吸血鬼よ」

予想の斜め上をいかれた

「吸血鬼ってあの血を吸う?」

「血…そういえば昨日は吸えていなかったな

そうだ」

イナは俺に近づいてきて

首に嚙みつき

そして俺の血を吸った

「なにを…」

「うん美味しいね君の血」

「毎日飲みたいぐらい…

更に良いこと思いついちゃった」

何か良くないことを企んでそう

「君が私に血を吸わせてあげる代わりに

私は君を守ってあげるつまり同盟だよ同盟!」

「同盟?」

「私は君の血が欲しい

君は私が助けないと死んじゃう

だから君と私の吸血同盟結んでみない?」

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