SS 安田君

 僕は安田秀一。


 チロシさんの元部下をしてました。


 チロシさんは僕が勤めている大企業の創設者一族の人で、会社の役員を退いても会社に影響がある人なんですよ。


 厄介な人っていうのは何処にでも居るものです。


 そんなチロシさんのお願いで、僕と安部さんはチロシさんの新規事業を手伝うアドバイザー的な役目を与えられてしまいました。


 それは、エーチュウブで配信事業をすると言う物で、余りにも荒唐無稽な計画であり無謀を通り越してアホなのかと思ったくらいです。


 ですが、チロシさんは顔立ちも良く、金もある人なので、時間は掛かりましたがエーチュウバーと名乗れるまでに成長してしまいます。


 無駄な才能と言うのですかね。才能の無駄遣いをする人は多いですね。


 そして、欲しいと思った物は衝動買いをする人でもありましたね。


 最後のキャンプに出かける時に、ガレージで見た車何って外車ですよ外車。


 それも装甲車みたいな厳つい見た目の車でしたね。


 それをポンと買うとか、お金持ちとは恐ろしい生き物です。


 そろそろ、最後のキャンプの事を話して行きましょうか。




~*~*~*~




 あの日は霧が行き成り経ち込めて、視界が一気に悪くなる様な天候でした。


 僕が、自分の荷物を降ろして、設営の準備と撮影の準備を同時に行っていたら、チロシさんと安部さんの姿が見えなくなっていて、直ぐに二人を探しましたが、何処にも居ませんでした。


 霧が晴れるまで動かなかったのが良かったんでしょうね。


 霧が晴れた時には、二人の姿がキャンプ場から消えていました。


 僕は直ぐに携帯で百十番しましたとも、そして、キャンプ場に駆けつけた山岳救助隊の人達に、今までの出来事を話して救助要請をしました。


 因みに救助費用はチロシさんの方にお送りしております。


 ですが、捜索の甲斐もなく二人の行方は見つかりませんでした。


 仕方ないですよね。


 やるだけの事はしたんですから、僕の責任でもないですし。


 ここは、親族の皆さんに諦めてもらいましょう。


 僕は今日も、会社が終わると愛妻が待つ家に、足早で帰宅するだけなのですよ。




~*~*~*~




 あっ、そうだ言い忘れてた事がありました。


 チロシさんの家と、安部さんの家が、跡かともなく消滅していたと言う情報が、後日、僕の耳に入ってきました。


 家もガレージも塀さえも残さず消えていて、一時期のニュース番組で取り上げられたくらいの怪奇現象でした。


 どうすれば、敷地ないの建物が全て一晩で消えるんでしょうね。


 僕には分かりません。そして、興味もありません。











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