死から始まる物語

春海レイ

プロローグ

最初に目にしたのは瓦礫の山だった。

次に人の死体、その次に死体を食う化け物を見た。

地獄みたいな光景だ。普通の人なら恐怖で動けなくなるか逃げようとするだろう。

だが、俺はそれが当たり前のように感じた。

瓦礫の上を歩き、転がっている死体の前まで歩く。

死体を食っていた化け物が俺に気がつき、

体制を整え、間合いを取る。

俺はそれを気にせず、死体の方へと向かうと、化け物が近づいてきて、俺の右腕を食いちぎった。

その瞬間、化け物はまるで病に苦しむ子供のようにその場に倒れ、糸が切れたように死んだ。

俺が右腕を見ると、まるで何事もなかったようにそこに存在していた。

俺は死体に近づく、死体の顔を見た時、俺は確信した。

この死体は俺だ。俺が死んでいる。

俺は死体を見ながら考える。俺は何故、存在出来ているか、何故、俺は記憶がないのか、俺は生きていると言えるのか。

ある程度考えた後、俺はこう結論を出した。

俺は人として死に、化け物として生まれ変わったと、それなら辻褄が合う。

記憶がないのは俺が生まれ変わったからだし、俺が化け物に生まれ変わったなら生きていると言える。

その次に俺は考える。

俺はこれからどうやって生きていこうと、


…ああ、そうだ生き方なら、さっきの化け物が教えてくれたじゃないか。


俺はさっき死んだ化け物に近づき、その死体を食い始めた。



骨から肉、内臓をすべて食い終わると、

俺はまずはどうやって次の食糧を見つけるか考え始めた。

見える範囲にあるのは瓦礫、そして俺の死体。

と言うか俺は人の形をしている。つまりまだ俺以外にも人の形をした化け物はいるのだろうか?

というか、俺は声を出せるのか?

「あーあーこんにちは、私は…」

あれ?

「名前なんだっけ?」

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