第1話

「ねぇ、いい加減寝なよ響」




「待ってあと一時間、、、、」




「うるさい。はやく寝るよ!」




怜音が机にかじりつく私を無理やり寝かそうとベッドに引きずり込む。




待って勘弁してくれ。



ようやく作詞が進んで来たんだ。



次のフレーズも出てきている。



ここで寝たらかけない・・・っ!



とはいえもう3徹目であり、怜音の心配ももっともなのだ。



「いい加減にしろ・・・っ!」



引っ張られてもなお机にかじりついている私。



踏ん張る力つよーい(脳死)



「まだぁ・・・!やるのっ!」



「・・・はぁ、じゃああと30分やったら一回寝て?それ以上はさせないからな」



「・・・・はぁい」



妥協してくれた。良かった。



でもあと30分しかないのかあ・・・・























「・・・・・あ”ぁ、終わったぁ・・」




女子としてあるまじき声がでたが聞こえない。うん。




「おつかれ。」




「ん、ありがと」




「今回どういう歌詞なの?」




「んー?今回はねえ・.・・・」







私は鏡音レンくんでボカロを作っている。




いわゆるボカロPなわけですよ。(謎のどやぁ)




作るきっかけは歌が好きだから。







と、まわりにはいっているけど、本当は、




幼馴染の怜音に歌ってほしいから。




わざわざ作る必要はないんじゃないかと思うだろうけど、




なんかさ、自分のつくった曲歌ってほしいじゃん!?




とまあそんな感じでここ半年作ってきた。




これで3曲目なんだけどね。






「今回はね、海の歌だよ」



「海・・・」




暗い海に自ら沈んだ少年の、葛藤を表現したかったのだ。



私がつくる曲の主人公は、いつも少年だ。



なんでかってそりゃもちろん・・・ねえ?








数年一緒にいても、怜音の声も、表情も、大人びたけど、変わらないんだ。




最初の頃と。



なになら彼を救えるのか、わからないから、私の歌の中の彼も救われていない。




少しでも。いい歌を作って、誰かの、怜音のほんの支えになれるなら。




「嬉しいんだけどなあ・・・」



と呟く。




「なにかいった?」




「んーん、なにもー」




「ふーん?」





「まあいいけど、早く寝なよ」






「はぁーい」





「ん、おやすみ響」










『「また明日。」その未来なんか波にながされた


 僕は魚たちのエサですか? そうですかそりゃどうも。』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

明日も君とボカロを作る。 柊 透夜 @hiiragi_touya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ