第11話 大人ゴブリンだじょおお!!



新しく現れたモンスターは【ハイゴブリン】だ。


普通のゴブリンよりも長身で手足が長く頭も良い。そして何よりも狡猾であるハイゴブリン。



「可笑しいな。ハイゴブリンは一匹でいることなんて………は!!


チビ!!今すぐ此方にこい!!」




「じょおおお?じょおお!!」




目の前に一匹で佇む姿に疑問符が浮かんだ村長はその一匹が囮だということに気付いたがハイゴブリン【達】の方が行動が早かった。


「くそ!遅かったか!?チビすまん!


俺がこの5体を倒す間なんとか持ちこたえてくれ!」



ハイゴブリン達は村長と少年を分断することに成功する。


ハイゴブリン達はずっと前から二人の様子を伺っており分断できる隙を伺っていたのだ。

村長が少年の直ぐ近くにいたために難しかったが今のタイミングならと打って出た結果、ハイゴブリン達の思惑通りに事が進んでしまう。


少年は1人で新米冒険者でも苦戦するハイゴブリンとの戦闘を経験することになった。


一般人や子供なら恐怖で足がすくんでしまう状況だ。



「じょおおお!!」



「ぐぎゃ!!」



しかし少年は恐怖を感じていなかった。一般的な子供であればハイゴブリンの風貌や持っている【血まみれの鉈】に恐怖するが伊達にここ数日と生物との命のやり取りを経験した訳じゃない。

恐怖は体を鈍らす。本能的に少年は恐怖を克服しているのだ。



「チビ………お前はその年でもう戦士なんだな。」



それを感じた村長は自然とその言葉を呟いてしまった。




一撃必殺になっている少年のナイフの突き刺し攻撃だが、ハイゴブリン程の知能を持っていると容易に心臓には攻撃が当たらずハイゴブリンの右腕を掠める程度で終わってしまう。


「ギャアギャア!」


渾身の一撃しか狙わない少年、正しくは【狙えない】少年は隙だらけの姿勢になってしまった。


ハイゴブリンはその隙を見逃さず血まみれの鉈を振り上げた。



「たしゅけてえええ!!じょおおお!!」



ハイゴブリンもヤったとニヤリとしたが、生き人形のコボルトがハイゴブリンの鉈を持っている右腕に体当たりをお見舞いする。



「ぎょ、ぎょお!!」



知能が高いとはいえ生き人形を初めて見たハイゴブリンは狼狽えてしまい今度は逆に大きな隙を作ってしまった。



「じょおおおお!!」




少年は体制を直すとすぐに攻撃に移行しハイゴブリンの心臓にナイフを突き刺したのだ。



「ぐ………ぎょ。」



少年はハイゴブリンの戦闘に勝利することができた。



「勝ったじょおおお!じょ?また人形だじょ?



人形だじょおおおお!!やったじょおお♪」



そして少年は1人で戦うということの怖さ、誰かと共闘するという頼もしさを覚え新たな生き人形を得たのだった。








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