第30話 特訓
特訓といえばどういうのを思いつくだろう?
筋トレとか走り込みとか、それから投げ込みやら素振り…野球だこれは。
サッカーマンガとかじゃあんまり特訓してない気はするんだけど野球マンガは泥臭い特訓のイメージばっかりある。まあスポーツは今はいい。
それはそうと素振りはいい。
野球だと素振りを10000回で打率が1厘だっけ1毛だっけ?上がるって話を聞いたことがある。
ホントかよとは思うがやらないよりはやった方がいいのは間違いない。
というわけで今更のように剣や槍の素振りをいっぱいしよう。
魔法を駆使して戦うのもいいが、男の子ならやっぱり物理だ。
ド○クエなんかでも最終的には魔法なんか使わずに物理でぶん殴る。
レベルを上げて物理で殴る、で全て解決できるのだ。
というわけで剣、槍、格闘戦の訓練だ。
俺はゲーム的には回復魔法を使う、いわば後衛になるわけだ。
後衛にいる大将が徒手格闘をしなきゃならなくなった、なんて軍はもうとっくにおわってる。
最前線の突撃部隊の将軍とかならまだしも、王で後衛寄りのキャラが肉弾戦 (笑)
敵味方からの爆笑を誘いそうだが、何事もやらないよりはやっておいたほうがましだ。
格闘戦と言っても投げ技や寝技の類は前世でちょびっとかじってたから大きくなってからやろう。
それよりは殴る蹴るの分野だ。
多数に襲われたときのんびり一人を絞め落とす時間なんてないからな。
ワンパンKOできるように目指さないと。
…とは言ったモノの。
ワンパンでそこそこ鍛えられた軍人をぶっ飛ばす。うん、無理だ。
という事でまずは武器である。
まあ普通に考えて剣と槍だ。
あれ?オカシイな?
最初に戻った。
槍はダンジョンでそこそこ使ってるから剣だ。
ってなわけでとりあえず適当な木の枝をブンブン振り回す。
ふんすかふんすか!えいえい!
適当にやってもやらないよりはましだろう。そういや高校の授業で剣道をしたこともあった。確か正眼に構えてすり足で移動しながら…
「めーー?」
我ながら気の抜けた小枝。羊か。
剣道の授業を高校の時にやったことがあるが、みんなめーん。どー!みたいな掛け声だった。
なのになぜ全日本に出てる人たちの発声はあんなに凄いことになっているのか。
あれをイメージしてみたが出たのは高い子供の声で『め~?』だった。ダメだこりゃ。
ダメだとは思ったが諦めたらそこで試合終了と言う名言が世の中にはある。
とりあえずやらないよりはやる方がまし。
素振り1万本でなんやらかんやらって自分で考えといて1本で諦める奴がいるかよ!
自分を励ましながらふんすかふんすかを続ける。
50回ほど素振りしたところで体力が尽きた。もう腕がパンパンである。
まあちょっとレベルが上がったとか言っても子供の腕じゃこんなモンか。
横で元気いっぱいで素振りをするアシュレイを見ながらそう思った。
やっぱりこいつはバケモンだわ。
素振りをしてヘロヘロになった後、まだまだ元気なアシュレイを横目に見ながら俺は余ってる木材で木刀を作った。まあ休憩時間の手慰みだ。
反りのある、見慣れた形の木刀である。
初めてダンジョンに行った時を思い出す。
「よーしできた」
「おおっ…懐かしい形の剣だな」
「そうだろ…最近は槍ばっかりだからなあ」
筋肉痛を回復魔法で癒し、新たに作った木刀を振り振りしてみる。
うん、重い。
さっきまで適当に振ってた木の枝よりなんと言うかみっしり詰まっている感じで…実に重い。
まあ実際は鉄の棒を振り回すのだ。どんなに重い木の剣でも鉄よりは軽いに違いない。
ふんすふんす!メン!めん!面!麺!…ラーメン喰いたい。
ブンブン振りまわしながら考える。
こっちの世界でラーメンを食べられるようになるには何年後だろう?
豚は順調に育っている。
豚骨スープは大丈夫だが、鳥ガラスープはそもそも鶏が居ないからできない。
何だかよく分からない鳥類でも鳥ガラと言い張って大丈夫だろうか?
変な臭いしそうだな…よく漉したり、アクを真面目にとれば大丈夫か?
醤油ラーメンを食べたいが醤油がない。ちなみに味噌すらない。
というわけで消去法で塩とんこつになるわけだ。
いや、魚介スープはイケるな。海を見たことがないが、干し魚は見たことがある。
鮭とばが作れたんだ。
煮干しっぽいものは作れるだろう。
スープはまあ塩豚骨か魚介、あるいはそれらをミックスした塩魚介豚骨でいいとして…塩魚介豚骨か、響きがすでに美味そうだな。
麺は…小麦粉はあるがカン水は見たこと無い。
そもそもカン水が何なのかわからないが…まあどうにでもなるだろ。ダメならうどん味の細い麺になるだけだ。なんならうどんとして食ってもいい。醤油はないが。
チャーシューは特に問題ない。醤油がないから塩チャーシューだが…まあたぶん何とかなるだろう。
だがワカメはないしコーンもまだ見てない。豆があるからモヤシは大丈夫として…胡椒やニンニク、ショウガは無い。うーん、道のりは遠いな。
ラーメンについて考えながら素振りと休憩と復活を繰り返す。
改めてラーメンは現代に許された贅沢品なのだと痛感する。同時に考え始めたら食べたくなってくる。ラーメンだけではない。カレーも食べたい。うーん。
それにしてもこの剣重い。重い分疲れも早い。
30本素振りしたらもう疲れた。ダメだ。
つーかこれ、せっかく収穫あったけどギフトの補正効いてる?
全然体感できないんだけどさあ…
確か食料はなんだっけ?HPだっけ?体力?
何だかその辺りのステータスを左右するはずだったんだけどなあ???
まあいいか。
しょうがないから回復魔法を全身にかけてもう一回。今度は23回でもう無理に。
また回復魔法をかけて、今度は17回目で無理。
また回復魔法をかけて……
これをエンドレスに繰り返す日々は続いていくのだった。
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