第21話 やっぱりお金が無い
アーク歴1493年 陸の月
リヒタール領
馬も飼いはじめたことだし、牧場も作らないと。
とりあえずディープはリヒタール騎士団の厩舎に入れている。
屋敷には軍用馬が常に10匹以上いるし、領内の牧場には繁殖用も含め数百単位でいるらしい。
戦争になったときには騎士団がこれに乗って出陣するのだ。
魔族における兵科といえば歩兵、弓兵、魔法兵、そして騎兵に竜騎士だ。
竜騎士はわが領にはいない。
正しくは竜騎士になる資格を持っている者は父上しかいない。
だが父上は指揮をする都合上、空に上がれないらしいのだ。
俺からすれば空から指揮をして、命令は信号弾でも出せばいいんじゃねえと思うのだがな。
その方が全体を見通せるし、流れ矢に当たる心配なんかも少ない。
トップが安全なところで飛んでて、前線の味方を鼓舞できるかは微妙なところだが…
まあ、父上の場合は体重制限をオーバーしてしまっているというのもある。竜と言ってもいわゆる普通の飛竜はかなり小型で積載重量も少ない。鎧も最低限で、おまけに中~小型の種族しか乗れない。
親父みたいなドデカイバケモンが乗れるような生き物ではないのだ。
そんなわけで当家には槍兵が1500、弓兵1000、魔法兵150、騎兵が500ほどいるらしい。
合計3000ちょいか。
一国の名門貴族としては多いのか?少ないような気もするけど、常備軍が3000なら多いのか?
あかん、基準が分からん。
ゲームでは序盤は2000対1800みたいな戦いがよくあったが、ゲーム開始10年もすると一つの戦場で数万対数万になる。シミュレーションゲームあるあるだ。
ゲーム基準だと最序盤に3000の兵力はかなり多い。
でも終盤なら小さーい戦力にしかならない。踏みつぶされる勢力だ。
まあゲームじゃないんだし。これが多いのか少ないのかわかんないね。
まあたぶん多いんだろ。(適当
馬の数はまあいいとして。
これからは牧場を作る。
これは確定事項だ。
今は金がないから買えないが、いずれは馬も牛も飼う。
農耕馬、農耕牛としてはもちろんだが、牛乳はもちろん、馬乳も体にいいのだ。
モンゴルの遊牧民たちにとって馬は乗り物だけではなく、乳を採って馬乳酒などの乳製品の原料としている。馬乳は乳清タンパク質、多価不飽和脂肪酸、ビタミンCに富んでいると聞いたことがある。
つまり詳しいことはよくわからんが体にいいこと間違いなしだ!
だが、馬を、牛を飼うほどの牧場はまだまだ作れそうにない。
じゃあという訳ではないが、家畜でお手軽なのは豚と鶏だ。
でもニワトリはこの世界にはいないみたいだ。
鳥類を飼おうと思えば羽をむしるか、ネットみたいなのを作ってケージで飼う事になる。
そんな事したら経費が膨大な額になる。って事で諦めよう。
豚さんはその点手軽だ。
少々気性の荒い、イノシシじゃね?って豚でもまあ丈夫な柵を作れば脱走の心配はほとんど無いし、何より飼いならしてエサをきちんとあげていればそれなりに懐く。
懐いたやつを肉にして食うのかってのはあるが…まあソレはソレ。
そんな事言ってたら食肉産業終わってしまう。
野菜だけ食ってればいいという考え方の人も中に入るが、必須アミノ酸という人間が自分で作れないタンパク質がある。
そしてそれらは外部から摂取するしかない。まあ普通に考えて肉や魚、卵や牛乳のようなものから摂取するしかないのだ。
ってなわけでビタミン剤のようなものが無い以上、肉や魚を食べるしかない。
しょうがないね。生き物だからね。
でまあ…
牛や馬を沢山飼って、お肉にするのはと~~~ぶん先の話だ。
まだ短期で可能なのは豚さんだ。
でも豚さんを飼うにしても豚舎は当然必要になる。
その土地も。
森の開拓を急がないと…そのためには人手が…人を雇う金が…。
嗚呼。お金が欲しい。
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