第15話 これからの方針
どうも。最弱魔王(予定)のカイトです。
今俺は10歳。
親父と一緒に平和で温暖なリヒタール領でぬくぬくしているわけだが…ゲーム開始時には俺は一人の領主になっているのだ。
ふむ。
どういう流れで俺が独立して最弱魔王をやることになるのか。
その時にアシュレイの親父こと現魔王とその右腕ことウチの親父はどうなっているのか。…多分何らかの事件か事故で退場させられるんだろうなあ。
しかしまあ、鶏口となるも牛後となるなかれという諺があるが。
俺はしょぼしょぼ最弱魔王に成ってすぐ滅ぼされるくらいなら、強くて美人で給料の良い (願望)3拍子揃ったアシュレイの側近辺りでのんびりやりたいもんだぜ。
そんなわけでまあ。
今、ウチの裏庭に作った畑予定地にはそんな最強魔王様がいます。
いやあ、良い鍬捌き。
さすがは最強魔王。
何をやっても絵になりますね。
いよっ!いい女!その深堀で石ころも根っこもザックザックだね!これでそこらのオッサンからお兄ちゃんまでみんなメロンメロンよ!
俺?俺はそりゃあ…休憩中よ。
庭の畑なんてらくしょーだぜと思ってたが、ちょっと掘ると石はゴロゴロ出てくるし、根っこも張ってるし…俺には無理だ。
ああ、耕運機が欲しい。
でっかいやつでバイーン!と掘ってしまいたい。
レッツコンバイーン!である。
「おい、ここには何を植えるのだ?麦か?」
「うん?こんな小さな面積に麦植えてもパン2~3個分くらいにしかならんのじゃないか?」
「そういうものか…農業も大変なのだな…」
「そうだぞ。感謝して飯を食えよ」
「何でお前が偉そうに言うのだ。作っているのは民だぞ」
「ナハハ」
まあ俺は毎回いただきますしてる。心の中でだけど。
単位面積当たりの麦収穫量なんて俺は知らんが、アシュレイが指差しているのは5m分くらいの畝2個だ。
つまり畳3枚分くらい?こんなモンじゃどうにもならんだろ。逆にこの面積で10kgも20kgもの小麦が出来るなら戦争がなくなってしまうじゃないか…って戦争がなくなるのか。
素晴らしいな。ぜひそうして欲しいものだ。
「うーん、春になったらトマトでも植えるとかかな?夏野菜は簡単でいいぞ」
「ナツヤサイ?そうか!わかった!」
分かったのか?
ナツヤサイって言葉にもピンと来てない模様だ。
お嬢様か。
いやまあお姫様か…じゃあまあしゃーないな。
箱入り娘でまだまだ子供のアシュレイだが、いつどうなって最強魔王に成るのか?
そして俺はどうなって独立するのか?
よーわからんわ。
ゲーム内のカイトはアシュレイを主人公に選ぶと最初のイベントが起こると退場するのだ。
まあ退場と言っても死ぬわけじゃなくてしれっと生き延びてた。
やばくなれば逃げりゃいいと思うが、逃げても捕まるかもしれんし、捕まっても放流されるかもしれん。ソレは攻めてきた相手次第だよな。ものすごく不確定な要素だ。
じゃあゲームのシナリオを無視するとどうか。
俺がシナリオ無視のプレイを試してみた結果からすれば、カイトは頑張っても2ターン目にはさっくりやられて全くおかしくない。
最弱の魔王で領地ごと攻められ待ちをするよりは、最強になることが確定してるアシュレイの配下になった方が就職先としてははるかにいい。
まあ、俺の志望(死亡)理由なんか知ったこっちゃないって感じで事態は進行していくだろう。
ならば有無を言わさずにアシュレイをこちらから囲い込むのだ。
それをどうやって?
うーん…具体的な手段については今のところピンと来ない。
これからどうなるかはわからないが、とりあえずは俺はかなりピンチになることは間違いない。
ならばあらゆる備えをするべきである。
備えだ。
金をためて武器を、鎧を買う。
それに兵をモリモリ雇うなどもある。武具を開発するというのもある。
だが、まずは俺自身を強化しなければならない。
町のチンピラにホイホイやられるようではおちおち外も歩けないのだ。
折角RPG要素があるのだ。
彼の名言、『レベルを上げて物理で殴る』を地でやってしまえば良いのではないか。
そうなるとやはり手っ取り早いのは実践訓練。それにダンジョンだ。
筋トレとかもいいな。地道なトレーニングがどの程度ステータスに影響するかは分からないが、やらんよりやった方がいいに決まってる。
筋肉をつけるには良質なタンパク質と運動だ。
背も小さくては困る。人権が無くなってしまう。
たくさんのカルシウムとタンパク質に睡眠だ。
母は俺が生まれた時に容体が急変して亡くなったらしいから良く分からないが、父親は非常にガッシリした体格だ。よし、遺伝子については問題ないと信じてしっかりとトレーニングをしよう。
まずは明日からは運動、食事、睡眠を極めよう。なあに、魔法なんかは後からでもなんとでもなる。
何なら寝ながら魔法のトレーニングしてもいい。
ああ、筋トレをしながら魔法のトレーニングというのも乙なものかもしれん。
せっかく回復魔法ができるのだ。ワザと筋断裂を起こしてそれを回復させればどうだろう。
ものすごい勢いでの超回復も期待できるのではないか。そうだ。そうしよう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます