●●相談人【2】

 丈は霊力で編み出した刀を出すと、悪霊になりかけた西園寺の魂を貫く。

 西園寺は断末魔を上げて消滅した。

 霊刀を消し去ると、丈はため息をつく。


 お墓の維持。

 はっきり言ってしまうと、現代には無理がある。

 ふと、丈は親友の言葉を思いだす。


『俺、親父と同じ墓に入るくらいなら自分の骨を兄貴に差し出すわ』


 親友はいまでも父親を嫌っている。

 そして、彼の兄はかの有名な妖狐が母親だ。

 異母兄弟だが、兄弟仲は悪くない。というより、兄が弟を好きすぎるのだという。……恋愛的な意味で。

 いろいろとツッコミたいところは多いが、丈はなにも考えないことにした。

 親友は特に気にした様子はなく、好きな女性と結ばれて、彼女との間に男児も儲けた。

 幸せならそれでいい。

 は、己の責務をやるだけだ。

 そんな丈のもとへ、黒い布をまとい、どくろの面を被った子どもが現れた。


「ああ、いたいた!! 丈、仕事だよ!! 田中さんっていう人が相談したいことがあるって!!」

「了解。すぐ向かう」


 丈はうなずくと、子どもと共に闇夜へ溶けるように消えていった。



 真田 丈。


 職業:幽霊相談人/死神執行人。


 学生の頃、とある廃神社に巣食う邪霊によって死亡。

 その後、親友を邪霊から守ったことからその神社の神さまに認められ、“死神”としてこの世の秩序を守っている。

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