神様が小学校の先生になる

@YuuYama18

第1話

人は愚かである。

「傲慢」「強欲」「嫉妬」「憤怒」「色欲」「暴食」「怠惰」

七つの大罪とは上手くいったものだ。

傲慢・・・おごりたかぶって人をみくだすこと

強欲・・・何かを欲しいと思う心のこと

嫉妬・・・自分よりも優れている人に対して妬みや嫉みといった感情を抱くこと

憤怒・・・激しい怒りを抱くこと

色欲・・・性欲を表す言葉であり性的な満足を求める本能のこと

暴食・・・食物を食べる願望のこと

怠惰・・・すべきことを怠ける様子のこと


最近では新しい七つの大罪というのも唱えられているらしいが、儂としては最初に唱えられた七つの大罪の方がしっくりきておる。

そういえば儂の紹介がまだだったな。

儂の名前は天照大御神という今の現代では

女神や太陽の象徴などといわれておったりする神様じゃ。

父と母は、伊邪那岐と伊邪那美という神様で、日本の国土を産み、多くの神様を産んだといわれておるが

本当のところはただただおっかない両親じゃ。

儂がこのようなことをいっておたのは内緒だ。

時に儂の仕事は天界から地上の子供たちをただ見守っていることで

地上で何があったとしても儂ら神が地上に手を出すことはほとんどないが

雨や雪の神「クラオカミ」や風や雷の神「風神」「雷神」などはたまーに地上に対して嫌がらせをしていると

父上と母上がおっしゃっておったが、今度あったら聴いてみようと思う。


さて、最初に儂が「人間は愚か」だといったのは長い時間をかけて地上の子供たちをみてきた儂の率直で正直な感想である。

年月とともにライフスタイルは確実に変わっているが、本質的な中身の部分は何もかわっておらん。

目には見えない欲望があちらこちらに満ちており、常にどこかで争いが起きておる。

特に儂の管轄である日本は剣や武器での戦いはないが、論争という戦いが常に国会議事堂というところで行われておる。

儂から答えが出ない子ことを、いい大人たちが言い争っているようにしか見えん。

まぁそれでも儂の仕事は「見守る」ことだから国のルールなどに口を出すことはないが。

ただ、一つ気になるとしたら「子供」たちである。

儂は地上の子らを全員自分の子供としてみているが、その中でも子供は学校というところに通っているみたいだが

最近は、この学校の教育というのが少しきになっておるのは事実だ。

だが、何度も言うが儂の仕事は「見守る」ことだから、何もできないんだが。


「天ちゃん」


天ちゃんとは儂の愛称みたいなものだ。

天照大御神という名前をつけたものの、名前が長すぎてフルネームで呼ばれることはほぼない。

そしてこの愛称で呼んでくるのは二人だけ父上と母上である。


「なんですか、母上」


「母が娘に会いに来るのに理由がいるのですか?」


「いえ、母上が私に会いに来るときは、私にいじわるをしにくるときですから」


「もう失礼ね。いじわるじゃなくてスキンシップよ」


「一緒じゃないですか」


先ほど父上と母上はおっかないといったが、基本的には優しく私のことが大好きすぎるくらいだ。

おっかないのは怒った時だ。


「今何か失礼なことを考えてませんでしたか?」


それと言い忘れていたが、母上は表情で心を読むからきをつけておこう


「それよりも何か用だったんじゃないですか?」


「あ~そうだったわ。天ちゃん、お父さんと話したんだけど、あなた一時の間地上で生活してきなさい」


「はっ???今なんていいましたか?」


「だ・か・ら。一時の間地上で生活してきなさい」


私は母上が言ったことにたいして、頭の中を整理するまでに時間がかかってしまったが

何とか思考の整理に成功した。


「なるほど、私が一時の間地上で生活するのは理解できました。でもなんでですか?」


「私たち神々の仕事は「見守る」ことというのはあなたも理解していると思うけど、神々はタイミングを見計らいながら交代で地上に降りて、地上の様子をみているのよ」


それは初耳だった。

たぶん、地上に神々を送っているの父上と母上で、それを知っているのは実際に地上に降りてきたものだけど。

帰ってきた後も他の神には内密となっていたのだろう。

それで、今回は私の出番が回ってきたということなんだろうが


「ちなみに私は地上に降りて何をするのですか?」


「学校の先生をしてもらうわ」


これまた驚きの発言だ。

儂は見守っているから学校の先生というのがどうゆう仕事なのかは理解できている

だが、見守る側と中に入っていく側では全く要領が変わってくる。

でも、正直なところ、今の日本の教育に対しては思うことがあったから、ある意味これはチャンスかもしれない。


「学校の先生ですか?なぜ私が学校の先生をするのでしょうか?」


「それは、今の日本の学校の教育があまりよろしくないと思っているからよ。でも私たちは基本的には「見守る」ことしかできない。だからこそ、交代で地上に神を交代で送り、地上の子供たちと地上の生活を共にすることで、今の現代を学んでおき、そこで学んだことを神々の間で話し合うということをやっているのよ。今回は先生という立場で地上を見て感じてきてほしいの。おそらくあなた以外の人材も贈るつもりだから安心して」


「私一人ではないんですか?それほどまでに日本の教育はよろしくないと思われているんですか?」


「いや、そこまで深刻に考えているわけではないわ。ただ、学校というのはその時代の色が出ると私は思っているから、少し多めに人員を割いてでも見てきて欲しいと思っているの」


確かに、私も長い間地上を見守っていたからわかるが、学校はその時代の色がでる。最近の学校では一人に一台タブレットという電子的な機器を配布して連絡などをしているといわれている。日本が剣と銃で戦っていた時代からしたら大違いだ。もし戦国の時代に携帯やタブレットがあれば、信長の奴は光秀に殺されずに済んだのかもしれんな。


「この任務、承ります」


「天ちゃん、お願いね。地上の暮らしやお世話は、こちらで神々の眷属を選出しておくから、私生活の面ではなにもきにしなくて大丈夫だから」


「ありがたいです。出発はいつ頃を予定していまか」


「う~ん。今からでいいんじゃない?」


「はっ?」


そういった母上は、指をパチッとならした。その瞬間私の周りに光が浮かび上がり、気づけば天界とは違う場所に立っていた。

すると目の前に二人の男と女が膝をついて待っていた。


「天照大御神様お待ちしておりました。私たちは神々の血筋を受け継ぐ一族、月読元と申します。そして横にいるのが妻の月読綾です。地上にいる間の生活の補助などを天照大御神様の母上と父上に命じられました。以後お見知りおきを」


「うむ。儂は天照大御神と申す。母上と父上からは「天ちゃん」と呼ばれておったから、お主らもそう呼んでくれ」


「かしこまりました」


「顔を上げろ。儂らはこれから一時の間、同じ屋根の下で暮らす家族のようなもの。あまり気を張られると、儂も落ち着かん」


すると今まで黙っていた綾が口を開いた


「はい。かしこまりました。なにしろ神様の血筋を受け継いでいるものの、実際に神さとお会いするのは初めてで先日から緊張して夜も抜群れませんでした」


まぁそうだろうな。普通の人間ならまだしも、眷属となれば儂は最高位。地上いうところの大企業の幹部といったところだろう。


「それで、初めて神にあった感想はどうじゃ」


「はい。思っていたよりもずっと優しい方で、しかもめちゃくちゃ可愛いです」


「こら綾!!天照大御神様に対して可愛いなんて言うんじゃない。失礼だろ」


まぁ真面目な元からしたらそうなるだろうな


「よいよい。儂は可愛いといわれるのを好んどる。そして儂のことは天ちゃんでいいといったろ元」


「はい。申し訳ありません。あ、あ、あまちゃん。。。」


「少しづつ慣れていけばよい。これからよろしく頼むぞ」


「ハイ!!!」


「元と綾は二人で暮らしておるのか」


「いえ、二人子供がおり、兄が小学6年生。妹が小学3年生です。もうすぐ帰ってくると思います」


「ただいま~~」


話しているところにちょうど元気な声の娘が帰ってきた。後ろにもう一人静かに男が立っていた。おそらくあれば兄の方だろう


「おかえり、二人とも」


「この人誰~?」


「この人は前から話していたでしょう。天界からお越しになった天照大御神様よ」


「儂が天照大御神じゃ。名前が長いので「天ちゃん」と呼んでよいぞ」


「この人が神様なの?全然見えないや。もっと髭が長いおじいちゃんみたいな人を想像していたんだけどな」


「確かに髭の長いおじいちゃんも天界にはおるぞ。ただ儂は見ての通り可愛い神様じゃ」


「うん。お人形さんみたいに綺麗な髪の毛でモデルさんみたいに綺麗なお顔。要も天ちゃんみたいになりたいな」


さすが子供。早速天ちゃんと呼べるところあたりが子供らしくてかわいい。


「要も神の血を受け継いでいるから大人になったら可愛くなるぞ。綾をみてみろ。他の母親に比べても綺麗で可愛いだろう」


「うん。お母さんは可愛いんだよ」


「そして後ろにいるお主が兄じゃな」


「はい。僕の名前は月読凪と申します。天照大御神様、以後お見知りおきを」


こうゆう真面目なところは、元に似たんだろうとは思うが、要と凪はそれぞれ綾と元の血をしっかりと受け継いでいるのがわかった。


「凪、お前も儂のことは天ちゃんと呼んでよい。元と同じで最初は慣れないかもしれないが、少しづつ慣れていけばよい」


続けて儂は綾と元に今後のことを訪ねた


「綾と元は儂の地上でのことを、どのくらい把握しておる」


「天ちゃんが学校の先生になることなど、一通りは把握しているよ。しかも天ちゃんが担任をするクラスは凪のクラスなの」


なるほど、凪のクラスということは6年生のクラスということになるな。

天界から見守っていただけじゃが、なかなか骨が折れそうな仕事になりそうだ。


「ただ、一つ気になることがあるのよね」


少し綾が声を低くして話し出そうとしたとき、凪の表情が暗くなるのがわかった


「なんじゃ?」


「実は凪のクラスは絶賛学級崩壊中なの」


「学級崩壊?」


初めて聞く言葉だった


「学校の集団教育の機能が果たせない状況が継続して、勉強とかができる状態にない学級のことをいうの」


「儂はその学級崩壊とやらで、病んでしまった先生の代わりということで入るのだな」


「さすが神様。状況把握が早くて助かります」


「まぁ儂も全知全能ではないが、知識はそれなりにある方じゃ。とりあえず実際に学校に行ってみてみてみないと始まらないな。凪、案内を頼むぞ。儂のことは親の親戚ということで通しておいてくれ」


「わかりました」


そういった凪の顔は笑っているようで、笑えていないように見えた。


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