【爆弾と探偵と女子高生】④

『泉音さん、どこにいるの? 学校に電話しても一人だけ先に帰っちゃったって聞いたし……。あんな騒ぎがあったんだから、あまりうろうろしちゃダメよ』

 耳に当てたスマートフォンから、心配する女性の声が聞こえてくる。お世話になっている遠巻家の奥さんだ。

「ごめんなさい、おばさん」

 来た道を戻っている泉音は、彼女に謝る。遠巻家の夫婦に引き取られる時、無理に「お父さん」「お母さん」と呼ばなくてもいいと言ってくれた。私たちは泉音ちゃんの友達だから、何でも話してねと言われたので、泉音も二人のことをそう思っている。

「もう一軒だけ、友達の所に寄ったらすぐ帰ります」

『泉音さん、お友達のことが心配なのも分かるけど、今日はもう帰ってきなさい。お友達の家に行くのは、明日にしたらどう?』

「分かりました、じゃあ明日にします」

『この前みたいに、夜中に出かけるなんてことはダメよ。明日の朝十時ぐらいがいいんじゃないかしら。その時間なら、向こうも起きていると思うし』

「分かりました。そうします」

『そういえば、お昼で終わったからご飯も食べてないんでしょう? 作って待ってるから、気をつけて帰ってくるのよ。物騒ぶっそうな事件もたくさん起こっているし。駅まで迎えに行こうか?』

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます、おばさん」

 女性との通話を切る。交差点に出ると頭上の大型液晶テレビから、ニュースを読み上げる女性アナウンサーの声が降り注いできた。

『……昨日未明、駅構内で発見された遺体ですが、身元は依然として不明です。遺体は服を着た状態で直立状態になっており、頭部には動物の皮のようなものを被せられていたということです。遺体の状態から、四年前から起きている四家深弦容疑者の模倣犯の仕業であるとして、警察は周辺の聞き込みと防犯カメラの映像から犯人を捜査中です……』

 赤信号で立ち止まっている泉音の横に、スマートフォンを見ているサラリーマンが並ぶ。小さな画面を見つめているため、隣の泉音のことには見向きもしない。同じように、周りにいる人間も、自分のことしか興味がない。

 彼らには泉音のことなど、ただの女子高生にしか見えていないだろう。

 歩行者信号が青になる。駅に向かう人間たちに混ざって、泉音の姿は、やがて見えなくなった。

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