ARMOR SPIKE:D!!!~鹿島能登高校アーマーバレー部~
北原全悟
プロローグ(01)
『こちらルナセレアドームにて行われる春の高校バレー。
石川県の
三位入賞をかけて九州の古豪、
『緒戦の鹿島能登高校の主力はやはり北風と太陽コンビだと思われましたが、同じく大会で大暴れした竜弾スパイクにも注目が集まっていますね』
『主将の三年生、明仁選手率いる鹿島能登高校。今、未踏の領域で三位決定戦に挑みます!』
試合開始のホイッスルがコートに鳴り響く。先攻は鹿島能登高校。
シャチのように白と黒に分けて染められた機体がボールを床に打ち付けトスし、飛び上がる。
硬い金属の背を反らしたアーマーの手が触れた瞬間、ボールは砲弾となった。
破裂するような音を立てて打ち込まれたサーブを、相手側のコートに立つ朱色の機体がギアを鳴らし全速で追いかける。
パワードアーマーが放つスパイクはゆうに、時速150km/hを超える。
瞬きの間に目の前へ迫る豪速球を、彼らは鋼鉄のボディを駆使してレシーブし、あるいは強引に打ち返す。
鹿島能登高校のリベロがレシーブしたボールをセッターがトス。白黒の金属の脚が床を蹴る音。
三歩ステップを踏んだ後、飛び上がり、腕を振りかぶる。肩パーツに描かれた機体番号の『03』がライトを受けて輝く。
モーションに反応して反対側のコートにいる高千穂大学付属のセッターが叫んだ。
「竜弾来るぞ!」
3番パワードアーマーの
そして掌がボールにめり込んだ時に一層、さらにボールが加速して空気に向かう瞬間に一層、
三層の波紋によって開かれた空気の”道”に、スパイカーの力を乗せたボールが飛び込んでいく。
「ブロック3枚!」
鹿島能登高校の後衛が叫ぶと同時に高千穂のブロッカー三機が飛び上がった。
スパイカーが打ち込んだボールは三人の真ん中で飛んだブロッカーの掌にヒットする。だが勢いが衰えることはなかった。
ボールを止めるどころかまるでボールに掌を押されているかのように、
いや実際押される勢いを止められず、ブロッカーの機体は後ろに傾いていき甲高い金属音を立てて背中から転倒した。
その後ろでボールが床に落ちる。ホイッスルが鳴り、鹿島能登高校に得点が加算された。
『決まりました! スーパーエースの竜弾! ブロッカーたまらず転倒!』
『完全にエンジン入ってますね。全体的にも調子が良いように見えます』
3セット目。高千穂校の返球した長いボールが能登校のコートへ入っていく。
「シャア! チャンスボール!」
リベロが叫びセッター目掛けてレシーブ。セッターが
中央で飛んだミドルが掌の位置まで来たボールを強打、高千穂側のコートへ着弾する。
『ここで北風と太陽コンビの速攻!』
『前半なかなかコンビ速攻が出ませんでしたが、ここから温存した分を出していく作戦でしょうか』
「速い……!」
「能登校のミドル、ここまできてどんだけエネルギー余ってるんだよ……」
「あいつらなんなんだよ……今までと動きが全然……」
コート内の十二機がボールを追い続ける。
サーブでなくてもボールの速度はときに時速100km/hを超える。
レシーブで転がる機体。時速180km/hのスパイクをブロック。弾け飛ぶ外装パーツ。そして
『速攻―!! 最後はやはり北風と太陽コンビ!
全国三位に食い込んだのは鹿島能登高校! ストレート勝ちで故郷の石川県に、
そして全国高校バレーの歴史に、その名を刻みました!』
『素晴らしかったですね。惜しくも三位ではありますが間違いなく今年の最強コンビで間違いないでしょう』
全てが終わった後も歓声は鳴り止まなかった。
二階席の観客達が立ち上がり拍手で喝采の波を轟かせる中、
1番の番号が描かれた白黒のアーマーから選手が飛び出し、未だ停止している隣のアーマーへ全速力で駆けていく。
「ごめん……! ごめん……ッ!!」
『高校三年生最後の大舞台を見事なコンビプレーで飾りました。北風と太陽の両選手、熱い抱擁を交わします……』
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