第38話 ベルリンオリンピックの密談①
-ドイツ:ベルリン ベルリン・オリンピアシュタディオン-
1936年8月1日
私はドイツからベルリンオリンピック開会式の招待を受けて、ドイツの首都ベルリンにある※①ベルリン・オリンピアシュタディオンを訪問していた。近代オリンピックで初めて行われた聖火リレーの最終ランナーである※②フリッツ・シルゲンが聖火を聖火台に灯すのを見届け、ヒトラーの開会宣言を聞き終えてから親衛隊員に連れられて控室に移動した。
控室の付近には30人以上の親衛隊員が厳戒態勢で警備されていたが、私を見るや否や全員がナチス式敬礼をして出迎えた。このナチス式敬礼は元を辿ると、ムッソリーニがローマ帝国時代に行われていたローマ式敬礼をファシスト党と軍部に取り入れたのをヒトラーが導入したことが始まりとされている。
敬礼自体は
控室のドアが開けられて中に入ると、ヒトラーと日本陸軍の将校服を着ている美少女がいた。その美少女は私を見ると立ち上がり、近づいてきた。
「初めまして、ムッソリーニ総統。私は大日本帝国陸軍中将永田鉄花と言います。こうして実際に会うのは初めてですね」
その美少女は私が2人目に出会った転生者だった。
「ええ、初めまして永田中将。今回はよろしくお願いします」
「全員揃ったところですし、情報共有と交換でもしますか」
「そうですね」
「わかりました」
まず最初にヒトラーが話し出す。
「主に欧州諸国の状況ですが、スペイン内戦とローマ教皇による十字軍派遣要請によって、現在
その後に私が意見を言う。
「他の国の情勢ですがスペイン人民戦線政府の支持を表明したメキシコでは、反政府勢力とカトリック勢力が合わさり大規模な反乱の予兆があるそうです。それにフランスのフランス人民戦線政府内では、スペイン内戦に介入を迫る共産党と不干渉の立場をとる急進社会党が対立しています。そこにスペイン内戦介入を支持する労働者階級、不干渉を支持しフランス人民戦線政府を非難する資本家階級、ローマ教皇の十字軍派遣要請を支持し反乱軍側として介入すべきだと抗議するカトリック教徒が大規模なデモとストライキを起こしています。ですが史実通り、スペイン内戦介入はないと思います。アメリカではアメリカ共産党がスペイン人民戦線の支持及び人民戦線政府に対して支援する事を表明していますが、ルーズベルト大統領は11月に大統領選挙がある為、静観を決め込んでいるそうです」
次に永田が極東情勢について発言した。
「次に極東情勢ですが、
やっぱり、史実にはない事が起こると歴史は変わってしまうと改めて再認識した。
「そうですか、やはりソ連もキリスト教勢力がスペイン内戦に介入することは想定外だった様ですね」
とヒトラーが言うと私と永田も同意する。
「では、スペインへの支援と派遣軍は各国とも継続するとして今後のことですが、※③ベルリン=ローマ枢軸協定と※④防共協定の話に移りますが、史実通り締結の方向でよろしいですか?」
「ええ」
「あの一つよろしいですか?」
「どうしました?ムッソリーニ統領」
と永田が質問してきた。
「防共協定の件なのですが、日独だけでなく
「つまり、一年早く※⑤日独伊三国防共協定を結ぶということですか...どう思う?」
と永田がヒトラーに意見を求める。
「まぁ防共協定にイタリアを加えても問題はないと思います。後でイタリアも加わっているのですから」
「わかりました。
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イタリア王国軍記〜美少女ムッソリーニに転生したのでイタリアを改革しイタリア軍にやる気を出させイタリアを勝利に導く〜を
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補足説明(ウィキペディア参考)
①ベルリン・オリンピアシュタディオン
1936年のベルリンオリンピックのメインスタジアムとして開場した多目的スタジアム
②フリッツ・シルゲン
ドイツの陸上選手で電気技師。
1996年のアトランタオリンピックの時にも聖火ランナーをしている。
③ベルリン=ローマ枢軸協定
ドイツとイタリアの準同盟の協力関係。当初はローマ=ベルリン枢軸と呼ばれていたが、ドイツの
④防共協定
1936年11月25日に日本とドイツで調印された。コミンテルンに対抗する共同防衛をうたった条約。
⑤日独伊三国防共協定
1937年11月、防共協定にイタリアを加えた協定。イタリア加入後も満州国・スペイン・ハンガリーが加わった。後に日独伊三国同盟に発展する。
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