第34話 バルボ国防大臣との会談 

お久しぶりです。

復帰して早々に申し訳ないのですが、

以前より執筆する速さが落ちているので、投稿が不定期になるかも知れません。なるべく月曜日の0時には間に合わせます。ご理解のほどお願いします。

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-イタリア:ローマ ヴェネツィア宮殿 世界地図の間-

1936年5月6日


 話し合いが終わり、大臣達が首相室から退出しようとするなか、私はバルボ国防大臣を呼び止めた。


「バルボ国防大臣は、ここに残ってくれる?」


「わかりました」


「陸海空軍それぞれについて質問するけど、いい?」


「はい、大丈夫です」


「まず陸軍についてだけど、新型小銃の件はどうなっているの?」


「はい、概ね三八式歩兵銃改で決まりそうです…ただ」


「ただ…どうしたの?」


「はい、実は2年前からになりますが、陸軍はドゥーチェの発案された自動小銃についてですが、半自動小銃も含めてアメリカやチェコスロバキア、スイスと極東ロシア大公国から取り寄せて実験をしていました。しかし、それにブレダ社が1931年に開発された※①ブレダPG半自動小銃を持ってきたことで一気に事が動きまして、ブレダPG半自動小銃を三八式歩兵銃改と共に新型小銃として、採用することになりました」


 戦前のイタリアに半自動小銃あったの⁉︎初めて知った…。

「2つも小銃を採用して大丈夫なの?」


「はい、同じ6.5mm口径のカルカノ弾を使用しているので、問題はないです」


「そう。それと1931年に開発されたのなら、なんで陸軍に採用されなかったの?」


「はい、幾つか原因はありますが、その中の1つを報告します。ブレダPG半自動小銃は他の小銃に比べて、弾薬の消費量が多いことです。イタリアの弾薬生産数から導き出された結果、これを全部隊に配備すると半年以内に弾薬の消費量が生産数と保管している弾薬の全てを上回り、前線での弾薬不足に落いるという結果が出たことです」


「なるほどね…確かにそれだったら、数の上での主力は三八式歩兵銃改にして、一定数をブレダPG半自動小銃にすれば、大丈夫そうだね」


「はい、そうです。それと話が戦車に変わりますが、L-3軽戦車をL-60軽戦車への代替えが進んでいます。それで軍内部では700輌余りのL-3軽戦車をなにか有効活用出来ないかと、議論になっています。今のところは偵察車輌と警備車輌という意見が多数を占めていますが、ドゥーチェの案を聞かせてもらえませんか?」


「…そうだね」


 豆戦車というと、自衛隊が過去に運用していた※②60式自走106mm無反動砲の様に無反動砲を搭載したものでもいいかも知れない。確か無反動砲は大戦中にアメリカで開発されていて、ドイツでも製造されていたから、ヒトラー総統にお願いしてもいいし、戦後に無反動砲を開発したブレダ社に開発依頼してもいいかも知れない。それかドイツとの共同開発でもいいかも。

 

 それ以外だと、第二次エチオピア戦争の時に世界で初めて実戦投入されたL-3を改造した火焔放射戦車とか、※③ゾロターンs18/100対戦車ライフルを搭載したL-3とかもいたからね。


 他に豆戦車の派生型だと※④ルノーUEの様に軍用小型装甲トラクターとして、運用するのもいいかも知れない。


「私としては、エチオピア戦で運用された火焔放射戦車をそのまま採用して、対戦車ライフルを搭載した型と軍用小型トラクターとして、物資や小口径砲の運搬に使うのがいいと思う。それと私が考えている物をブレダ社にドイツと共同開発させて、それを搭載するのを考えている。その他は、軍の意見と同じかな」


「わかりました」


「次に海軍のことだけど、今後、地中海全域での運用を想定した大型魚雷艇※⑤Sボートをドイツから購入しようと思ってる」


「※⑥MAS魚雷艇ではダメなのですか?」


「そうだね。MAS魚雷艇は二重帝国海軍に対抗する為にアドリア海での運用を想定した小型魚雷艇なんだよ。だから地中海での運用は難しい。そのことはチャーノ外務大臣に聞くといいよ。チャーノ外務大臣は先の大戦第一次世界大戦でMAS魚雷艇部隊の指揮官だったからね。今は海軍から退いているけど、地中海での運用を想定した時、私と同じことを言うと思うから」


「わかりました」


「最後に空軍についてだけど、今年からアメリカで運用が始まったっていう※⑦DC-3旅客機を軍用機としてライセンス出来ないか聞いてきてくれる?」


「はい、ドゥーチェ。実は既に空軍がダグラス・エアクラフト社(※現ボーイング社)にライセンス出来ないか交渉したのですが、エチオピアとの戦争の影響で却下されました。その為、第三国を経由して購入しました。届き次第、複数社に本機を送り、分解して構造と部品の確認、設計図の作製をした後に空軍が開発を行なう予定です」


「わかった。イタリアの航空機産業は優秀だからね。それとドイツの工業製品によって、性能が上がるかも知れないね」


「そうですね」


「呼び止めて、ごめんね」


「いえいえ、ドゥーチェならなんでも大丈夫ですよ。それでは、仕事に戻りますので」


「わかった。頑張ってね」


 そういうとバルボは少し驚いた様な表情をした後、直ぐに姿勢を正して笑顔で答えた。


「はい、失礼しました」


 首相室からバルボが出で行った後、アンナが何か信じられない物を見てしまったかの様に固まっていた。


「アンナ…?どうしたの?」


 そう言うとアンナはハッとした後、

「なんでもありません。ドゥーチェ」

と答えた。

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イタリア王国軍記〜美少女ムッソリーニに転生したのでイタリアを改革しイタリア軍にやる気を出させイタリアを勝利に導く〜を

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補足説明(ウィキペディア参考)

①ブレダPG

世界で初めてバースト発射機能を備えた半自動小銃(資料によっては自動小銃とも言う)。

余談 コスタリカ軍仕様のは4連バースト発射機能がついているのを後にムッソリーニがブレダPGの資料を読んだ時に気づき、3連バースト発射機能に変更の上で無駄弾を減らしたことで、三八式歩兵銃改と並んで大量生産され、イタリア軍の主力小銃になった。

弾丸 6.5×52mmマンリッヒャー-カルカノ弾

又は、7×57mmモーゼル弾(コスタリカ軍仕様)

発射速度 600 RPM

装填方式 20連発箱型弾倉


②60式自走106mm無反動砲

待ち伏せによる対戦車戦闘を主任務とする車輌。

全長:4.3m

全幅:2.23m

全高:1.38m

重量:8t

乗員数:3名

装甲:アルミ合金

主武装:60式26口径106mm無反動砲×2

副武装:60式12.7mmスポットライフル

速度:45km/h(A/B型)、55km/h(C型)

エンジン

コマツ6T-120-2H

空冷4ストローク水平対向6気筒予燃焼室式ディーゼル(A/B型)

コマツSA4D105-1

水冷4ストローク直列4気筒ターボチャージド・ディーゼル(C型)

120hp/2,400rpm(A/B型)、150hp/2,800rpm(C型)

行動距離:140km


③ゾロターンs18/100対戦車ライフル

スイスのゾロターン社が開発した対戦車ライフル。

重量:45 kg (弾倉含まず)

全長:176 cm

銃身長:92.5 cm

弾丸:20×105mmB弾[2]

口径:20 mm

作動方式:銃身後座式反動利用方式(ショートリコイル方式)

初速:735 m/s ※徹甲弾使用時

装填方式:5/10発箱型弾倉


④ルノーUE

フランスのルノー社が1930年代にカーデン・ロイド豆戦車を元に開発した。装輪式軍用小型装甲トラクター。

全長:2.80 m

全幅:1.74 m

全高:1.25 m

重量:2.64 t

乗員数:2 名

装甲:9 mm(最大)

主武装・副武装:なし

速度:30 km/h

エンジン:ルノー製 4気筒 38 hp

懸架・駆動:装軌式、リーフスプリング

行動距離:100 km


⑤Sボート

ドイツが開発した高戦闘艇。木製でできている為、磁気機雷原を無傷で横断可能と外洋に出るための長い航続距離と40ノットを超える速さを備えていたことで、通商破壊に使われ、Uボートの次に撃沈総トン数が多かった。

排水量:100 t (最大)

78.9 t (標準)

長さ:32.76 m

幅:5.06 m

吃水:1.47 m

推進器:ダイムラーベンツ20気筒ディーゼルエンジンMB 501、3基。3,960 hp

速力:43.8ノット

航続距離:30ノット時に800海里

乗員:24–30名

兵装

53.3cm魚雷発射管2基(予備魚雷2本)

連装2cm Flak C/30 1基

単装2cm Flak 1基

3.7cm Flak 42 1基


⑥MAS魚雷艇

第一次世界大戦時に開発された。アドリア海と紅海に配備されていた。最大級の戦果はオーストリア=ハンガリー二重帝国海軍の戦艦セント・イシュトヴァーンを撃沈したこと。第二次世界大戦時にはMSボートに置き換えるまで、ヨーロッパ各地で活躍した。

全長:18.7m

全幅:4.7m

排水量:29.4t

最大速度:43kt(80km/h)

航続距離:395km(最大速度時)

機関出力:2400馬力×2

乗員:13名

武装:45cm魚雷×2

20mm機関砲×1

6.5mm機関銃×1


⑦DC-3

ダグラス・エアクラフト社が開発した旅客機。1936年に運用開始。世界で初めての本格的商業旅客機。世界の航空輸送変革の原動力となった傑作機。

余談 第二次エチオピア戦争での第1空挺師団『フォルゴーレ』の活躍によって、イタリアに渡るのを危険視したアメリカ政府によって取引が決裂した。

全長:19.66m

全幅:28.96 m

全高:5.1 6m

翼面積:91.7 m2

空虚重量:7,650 kg

積載重量:11,430 kg

最大離陸重量:12.7 t

最大速度:182 kn (346 km/h)

巡航速度:140 kn (266 km/h)

操縦乗員:2名

乗客数:3列席21人、4列席28 - 32人

エンジン:P&Wツインワスプ空冷二重星形14気筒レシプロエンジン(出力1,200hp)×2

ライト・サイクロン空冷星形9気筒レシプロエンジン(出力1,200hp)×2

最大積載航続距離:2,420 km

実用上昇限度: 23,200 ft (7,100 m)

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