第196話 守り手⑥
「――――んなっ!???」
――――キュゴバーーーーーーーーーーンッ!!!!
至近距離で返照されたラグエルの光弾。
もちろんそれを
「ぐわぁぁぁあああぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁっ!!??」
哀れ、すべての人工物を無に帰す光に、その身をさらしてしまう。
まばゆい光が拡散し、辺りを白に包む。
一瞬の後、開けた視界の中には――――、
「ぬおぉぉぉあぁぁぁぁぁぁぁぁおのれぁーーーーーーーーーーっ!!!!」
フル〶ィンを惜しげもなくさらけ出し、してやられた悔しさに絶叫するクロードが身を
「いや、隠せよ!!」
羞恥より悔恨が勝ったか、ともかく丸出しの変態美青年に顔をそむけるぬか娘。
少し離れたところでは、号泣したアニオタが借り物だったはずのカメラをゲロと一緒に川へ投げ捨てていた。
「おのるぅれぇこのエロゲ戦士が、やってくれやがったなぁっ!!!!」
「それはコッチのセリフよ!! 愛しきアルテマちゃんを
なるべく〶ィンポを見ないようにしながら、剣を抜き放つぬか娘。
どさくさにまぎれて妙な権利を主張しているが、いまはそれに突っ込めるほど余裕のある者は誰もいない。
クロードも対抗し、聖剣を抜こうと背中に手を回すが、
「ぬっ!?」
聖剣も消滅していた。
チャンスとばかり一気に突っ込んでくるぬか娘。
やむをえず、とっさに体術で応戦するクロード。
聖騎士たるもの武器を失っても戦う術は心得ている。
間合いに入ってきたぬか娘に、迎撃の回し蹴りを打つ。
「――――ぬんっ!!」
バギャンッ!!!!
しかし鎧に当てた足はあっけなく弾き返される。
「なにっ!??」
重さでは勝っているはずなのに!?
無意識に加護をかけていたのが盾(鏡)に反応してしまったのか!?
「ちぃっ!!」
「こ、この!! な、な、なんてモノ見せるのよーーーーーーーーっ!!」
舌打ちするクロードに真っ赤になるぬか娘
はじいた際、見せつけられてしまった。
クロードの汚い
甚大な精神的ショックを受けたぬか娘は、ますます激高し、剣を振り回して突撃した。
すばやく距離を取り、迎え撃ちながらクロードは思案する。
――――逆神の鏡。
聖気をすべて反射する、忌まわしき呪いの鎧。
それを着込んでいるかぎり、このエロゲ戦士に自分の魔法は一切通用しない。
ならば魔法加護一切なしの純粋な打撃ではどうか?
しかしそれでも相手は(露出が多いとはいえ)金属鎧。
生身での攻撃など、さすがに通用しないか……?
ならばどうする?
……アレ? これ、意外と詰んでるか?
避ける以外、対抗手段が見当たらない。
そんな現実に、表情こそは変えないものの、冷や汗を浮かべるクロード。
だがすぐに、一つだけ攻略法があることに気付く。
しかしこれはビジュアル的に危険な戦法。
普段ならいざしらず〶ィンポ丸出しのいまならなおさらのこと。
しかし――――、
「でやぁぁぁああぁぁぁぁっ!!!!」
――――ザシュッ!!!!
「――っ!?」
むちゃくちゃに振り回してきたぬか娘の剣が、偶然クロードの腕をかすめ皮膚を裂いた。
それを受けて、
「誤解するな、エロゲ戦士よ」
一言断り、
「とぉうっ!!!!」
すばやい動きで剣筋を見極めると、ぬか娘の懐に潜り込む。
そして開いたスキだらけの腹に抱きついた。
「あっ!! こ、こらちょっとっ!!??」
抱きつかれたぬか娘は、勢いのまま押し倒され砂利の上に仰向けになった。
馬乗りになったクロードは、
「魔法も打撃も効かぬというなら――――関節技しかないだろう!! 聖王国騎士団仕込みの拘束術、いまこそ見せてくれるわ~~~~~~~~っ!!」
そしてモニャモニャモニュモニュパフパフヌラヌラと、ぬか娘の身体に絡みつくように身体を這わせていった。
「ぎ、ぎゃぁぁあああぁぁぁぁぁぁああぁっ!! ま、また、あんたらはいっつもどこ触ってくんのよーーーーーーーーーーっ!!??」
泣きわめく半裸の女戦士に、絡みつく全裸の聖騎士。
見た目
クロードは明日の我が身もかえりみず、エロゲ戦士の無力化に全力をつくす。
泣き叫び、暴れる娘をなんとか抑え込み、厄介な盾を持つ左腕を掴まえる。それを股に挟み込み、胴体ごと加重で動きを封じると、
「さあ、これで盾など使えまい!! このまま逆関節を決めてくれるわ!!」
柔道で言うところの〝
ギリギリギリ――――。
ダメな方向に持っていかれる関節に、か弱い細腕が悲鳴をあげるがそれよりも、
「ぎゃあぁぁああぁぁぁっ!!!! 当たってる、当たってる!! なんかプニョプルした長いのとフワコリした丸いのがサワサワした感覚といっしょに二の腕を温めてくるんですけどーーーーーーーーーーっ!!??」
需要皆無の腕素股。
絶叫しながらぬか娘は混乱気味に剣を激しく振り回した。
すると――――。
「む!? な、なんだこれは??」
先程傷つけられた腕の傷。
なぜかそこから魔力が、魔素の光に変換されてフワフワと浮き上がってきた。
その綿のような光は、そのまま剣へと吸収され、その分だけ気が抜けて脱力していく。
「な、な、な、なん……だ、これ……は」
その一式内の剣は、剣にして剣にあらず。
その実態は、鏡の魔法陣を維持するための魔素吸収アンテナ。
振れば振るだけ周囲から魔素をかき集める。
これも一つのチートアイテムだった。
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