僕が高嶺の花と思っていた女の子は僕の事を高嶺の花と思っていたようです。
出水 詞
"両片思いの高嶺の花"編
第一章 出会い
第1話 (僕+私)の高嶺の花
高校二年生の春。
硬くて着心地の悪かった制服も柔らかくほぐれて体に馴染むようになった。僕はそれをピカピカの制服を着た新入生を見て実感した。
毎週ツヤツヤに磨いていた革靴も気がつけば整備を怠るようになってシワシワになって歩きやすくなった。
毎日毎日慣れないネクタイをつけるのに10分かかったあの頃と違い、緩めて輪っかを作ったまま放置しておくことが多くなった。
つまり何が言いたいのか、それは要するに『高校生活に慣れた』という単純な文章を"高校生活"という名詞や、"慣れた"という動詞を使わずに表現する、『言葉の綾』というものが日本文化には存在することを僕は伝えたかった。
皆さんは高校生活において有名な言葉の綾はなんだと思いますか?
僕はこれ一択だと思います。
〈高嶺の花〉
意 : 自分の手が決して届くことの無い、最早憧れという領域に達したものである。そしてそれは男子高校生にとっては学園のマドンナと同様の意味を成す言葉である。
要するに、自分とはつり合わない程の可愛い女の子のことである。
高嶺の花、そう。高嶺の花である。僕は高校二年生にもなって、一年生の入学した当初から学校中の男性の目を引いた高嶺の花に心を奪われてしまったのである。
そんな時、僕みたいな普通の男子は皆彼女にこう思う。『罪深い女だ。』彼女は決して悪くないのだ。悪くないのだけど僕たちの心は確かに彼女の前に散っていく。
色々な人が告白し、彼女の前に散っていったのを僕は知っている。
僕は彼女に告白をしてはいないものの結果は明白であった。次の恋を探すべきだと心の中の自分が自分を警告するが、彼女の美貌に僕の安全停止機能はバグを発生させる。
簡潔に言おう。僕は...
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私は高校二年生にもなって、入学した当初から学校中の女子の注目の的になった高嶺の花に恋をしてしまった。女子にとっての高嶺の花とは学園のプリンスと同じ意味を成す。
要するに、私とは釣り合わない程かっこいい男の子のことである。
そんな時、私みたいな普通の女の子は彼のことをこう思う『罪深い男よね。』彼は決して悪くない。悪くないのだけど私達の恋は確実に彼の前に散っていく。
私は知っている。たくさんの恋する乙女が彼に愛を叫び、散っていったのを。
私は彼に告白をしていないものの結果は明白。今の恋を諦めて次の恋を探すべきと心の中で私が私に囁く。でも彼の凛々しさに意識を奪われ、私の耳はその囁きを右から左へと流してしまう。
簡潔に言いましょう、私は...
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僕は..."彼女を諦めきれない。"
私は..."彼を諦めきれないの。"
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始業式。今日はクラス替えの発表の日。ここ、新城下高校は高校二年生から、中高一貫校生と一般校生特進科が交わる。
僕は高嶺の花である彼女と同じクラスになることを祈りながらクラス表を確認する。
『え〜っと...二年、特A組...出雲京!』
まず高嶺の花である中高一貫校生の
『あった!あった!僕の名前!』
二年特A組に彼女と自分の名前があったことに喜びながら彼は
『今年はいい事あるぞ!』
っと新しい教室に軽い足取りで向かっていった。
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今日は運命のクラス替え。今年から彼の所属する一般特進科生と同じクラスになることが出来る。まずは番号順が早いであろう私の名前を先に見つける。
『えーっと、私は二年特A組ね。彼の名前は...』
私は『彼と同じクラスになれますように!』と願いながら、すーっと下に視線を下ろす。そしてある一点でピタッと視線を止める。
『あった!橿原雅!』
私は諦めきれない高嶺の花である
『今年はいい事ありそう!』
と、ニコッとした表情と軽い足取りで新しい教室へと向かうのであった。
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