NemesissCodeサイドストーリー

@Dr10311621

白狼のラコルト(前編)

『もういいよ〜』

そう白い髪の少女は言った。

少女が今やっているのはかくれんぼだ。

「どこに行った〜!!」

そう言って声が聞こえる。

そう言って銀色の髪をした男が少女を探す。


「どこへ行った?」

この言葉を少女が怖いものと思わなくなれたのはここに来てからだ。


それはしばらく前

暗くて冷たい無機質なコンクリートで囲まれた部屋の中に複数の子供達の中少女は横たわっていた。

「さむい…おなかがすいた…」

最後にごはん食べれたのいつだったっけ?もうそろそろ来るはずなんだけどな…

次から次に前の日には生きていたはずの友達が動かなくなっていく。

ここから逃げ出そうとして出た友達もいた。ただ逃げ出したなら怖い人達が

「どこに行った?クソガキが!!」

と怖い顔をして大きな声を出しながら探し回っていた。

その後逃げ出した友達が帰ってきた時にはいっぱい叩かれたりしたのか顔は赤や青紫みたいな色になってあまり動かなくなって帰ってきてその次の日には動かなくなっていた。

今日はごはんが来るのか、怖い人達が来て誰かを連れて行ったりしたりしないのかなって事ばかり考えていたけど今日はなんかいつもと違う…

色々な所から大きな音が聞こえたり、なにか大きな声で色々とお話している声が聞こえてくる。

「侵入者あり!!侵入者あり!!職員並びに警備員は配置に就き迎撃せよ!!」

といつもは聞こえない難しい事を言った声が聞こえてくる。

1人の怖い人がやってきて何かをこっちに向けた瞬間大きな音がして周りの友達が動かなくなっていた。みんな体のどこからか血が出ていた。

「証拠を残さないように処分しろと指示が出たが俺がやれるとはな!!1度やってみたかったんだよなガキを殺すのを。」

そう言いながら研究員は1人また1人と子供達を拳銃で撃っていく。

とうとうその拳銃が少女に向きいよいよ少女の番が来たとなったその時

「この下衆野郎が!!」

聞いた事のない声が聞こえてきて怖い人が壁に飛んでいっていった。

「クソっ!!この部屋もか!!コイツら人間じゃあねぇ!!」

そう言って眼科に広がった惨劇を見て下衆に対する怒りと自分の無力さに憤り義肢が砕けるんじゃないかと思う程の力で壁を殴りつけた。

その音と衝撃に驚いたのか骸の中で何かが動いた。


「誰かいるのか?生きているならこっちに来てくれ。大丈夫だ。悪い事はしないから。」

そう黒い服を着た男の人がワタシのいる所にさっきの怒ってた時とは違う声で言ってきた。

どうしようかと思っていたら。

「そこか 。」

そう言って男の人はこっちに近づいてきた。

どうしよう…怖い…


ようやく見つけた。

死屍累々となった部屋の中で1人銀色髪で人間の耳の部分がなく代わりに狼の耳が頭の上に付いた女の子が震えていた。怖がっているのは分かるがただ急がなければいつ敵が来るやも分からない上にさっき吹き飛ばした男が起きてくる可能性もある…

そう思い震えて目を瞑っている少女に近づき目を合わせる為にしゃがみゴーグルを外して

「大丈夫か?痛い所はないか?今お嬢ちゃんの周りに悪い人はいないからな。」

そう言いながら優しく頭を撫でた。

そうすると

「痛い所はないけど、怖かった。」

そう少女が泣きながらしがみついてきた。

「よしよし、よく頑張ったな。ありがとう生きててくれて。」

そう言って少女を宥めていると。

「うぅ…テメェよくも!!」

そう言って先程の下衆が気がついたのか起き上がってきた。

「お嬢ちゃんちょっとそこから動かないでいてくれよ。それで目をギュッて瞑って耳を塞いでいな。大丈夫すぐに終わるから。」

そう言って少女に自分の着ている黒のマントを被せて下衆と向かい合った。

「一応聞いておくがこの仕打ちは上からの命令で仕方なくやったのか?」

そう尋ねると

「はぁ?そんな訳ねぇだろ!!俺が志願したんだよ!!こんな機会またと無いからな。無力なガキを圧倒的な力で潰すなんて娯楽そうそう出来ねぇからな!!」

そう唾棄すべき様な答えが返ってきた。

「そうか…ならお前を容赦なく壊せるな。」

そう言って腰にぶら下げていた水平2連ショットガンを抜き下衆に向かって撃った。

「へっ、かすりもしてねぇぞ下手くそ、射撃の腕はイマ…いでぇぇぇ!!」

そう言いながら下衆は床にのたうち回り出した。

「な、何をしやがった!!」

そう下衆は苦悶の表情を浮かべながら尋ねてきた。

「ん?何ってこいつをお前に向かって撃ったんだよ。」

そう言いながら下衆に真っ赤に染ったショットシェルを見せる。

「痛覚倍増のカプサイシン弾だ。効くだろ?」

そう言いながらもう1発下衆に撃ち込んだ。

「ぎゃぁぁぁ!!痛い!!痛い!!」

そう言いながら下衆は更にのたうち回った。

適当にあったロープで下衆を柱に縛り付けて

「さて、今からお前が殺した子供の分と同じ…いや、それ以上の痛みをお前に与えてやるよ。喜べ生臭牧師の生説法なんてそうそう聞けないぞ。」

「あ、あ、た、助け…て…」

そう情けない声を出し命乞いをする下衆に何度も平手打ちを喰らわせた。

頬を打たれる度に下衆は悲鳴を上げる。

「そらそら、頑張れ!!簡単に死ぬんじゃないぞ?俺は下衆が苦しむのが最大の娯楽だからな。」

そうして少女がいた部屋にあった亡骸の数だけ平手打ちを喰らわせた所で下衆は事切れた。


「さぁ目を開けても大丈夫だぞ。」

そう声が聞こえてきた。

目を開けたらあの部屋に入れられる前に1回だけ見た所にいた。

「そう言えば名前を言ってなかったな。俺はカルマって言うんだ。よろしくなお嬢ちゃん。」

そう言って黒い服を着た男の人は名前を言った。

「わたしは…えっと…」

いつもガキって呼ばれてたから自分の名前が出ないでいると

「無理に名乗ろうなんてしなくていい。またゆっくりできる時に聞くから。」

そう言ってカルマはワタシの頭を撫でてくれた。

「いたぞ!!侵入者だ!!」

「はぁ…全くキリがない。お嬢ちゃんそこから出てきたらダメだぞ。またちょっとの間目つぶってな。」

そう言ってカルマは声のした方に行った。


「さぁて、てめぇら今日は運がいいな。なんせ俺の機嫌の悪い日に俺と戦うことになるんだからな!!」

「それのどこが運がいいんだよ!!」

そう研究所の警備兵に突っ込まれる。

大きな音で少女を怖がらせない為にそこら辺に転がっていた鉄パイプを手に取り警備兵達に向かっていった。

「ぎゃっ!!」

「グハッ!!」

「グヘッ!!」

次から次へと警備兵を倒していく

先程から襲撃をかけてくる傭兵に比べると何も脅威は感じない。

すると

「おい!!このガキがどうなってもいいのか!!」

そう言って少女に向かって刃物を向ける警備兵がいた。

「ちっ、クソが!!」

そう言って俺が止まると警備兵達は群がった。

「よくも俺達の仲間を殺ってくれたな?」

そう言って1人の警備兵が殴りかかってくる。

人質を取られている以上動けない。

「グハッ」

強烈なボディーブローをもらい一瞬意識がトビそうになる。

このままやられるのは癪であるが何より少女にいつまでも刃物を突き付けられているのも腹が立つ。

「アレを試すか…」

「何をする気か知らないがなんかしたらガキが死ぬ事になるぞ!!」

そう言って殴ろうとしてきた兵士の腕が止まった。

どう動かそうとしても動かないのだ。

「な、何をしやがった…おい!!ガキを殺れ!!」

そう少女を抱えた兵士に殴りかかった兵士が命令するが動けていない。

この程度の殺気で動けなくなるとは底が知れる。

「おい…いつまでこうしてる気だ?」

そう言って自分を羽交い締めにする兵士に頭突きを喰らわせ先程からサンドバッグの様に殴ってきた兵士には強烈な前蹴りを喰らわせ2人にとどめを刺す。

「お、おい、動くな!!ガ、ガキが死ぬぞ?」

そう肩を震わせながら少女を抱えた兵士がこちらに止まるように言うが

「やれるのか?その震えて動けない状態で?今その子から手を離すなら見逃してやる。さっさと離しな。3秒だけ待ってやる。さーん、」

「ヒッ!!」

1歩近づく度に兵士は恐慄いていた。

「にー」

「いーち…それが答えか…なら遠慮はいらないな。」

そう言って少女に向けているナイフを持った方の腕を握り明後日の方向に曲げる。

「ぎゃぁぁぁ!!」

これには思わず悲鳴を上げる。

「おいおい、静かにしろよ。子供がビビるだろ?」

そう言って少女を兵士から取り返す。

「すまないな。怖がらせて。」

そう少女に語りかける。

「ううん、ごめんなさい。」

そう少女は謝ってきた。

「俺がうっかりしてただけだ。さてお嬢ちゃんまた少しの間耳塞いで目瞑ってくれないか?」

と少女に語りかけると

「はーい。」

と素直に耳を塞いで目を閉じた。

「さてと、お前はどう死にたいかな?楽に死ねるとは思うなよ?」

「ヒッ、ヒィィィィ」

情けのない声を出して兵士は逃げようとするが動けない。

兵士の断末魔が施設内に響いた。


「チームF、チームF、こちらカルマ、1人子供を保護、拠点に戻る。繰り返す1人子供を保護、拠点に戻る。」

応答はないが恐らく伝わっているだろうと思い施設を後にして拠点としていた時計塔に戻る。

「さて、お疲れ様。お嬢ちゃん。寒かったろ?これ被ってな。」

そう言って少女に毛布を渡す。

きゅるるるるるるる

大きな音が少女のお腹からなった。

「ははっ、腹減ってたか。ちょっと待ってな簡易的なものだが作ってやるから。」

そう言って持ってきていた。食料セットから食材を出した。

凍った米を温めて解凍しだし汁と合わせて沸騰させていく沸騰してきたらそこに調味料を入れ生姜を入れて味を整えて玉子を溶いて入れて簡易的な雑炊を作り少女に渡した。

初めて見たのか少女は不思議そうに雑炊の入った器を見ていた。

「こうやって食べるんだ。毒なんて入ってないからな。」

そう言って少女の器に入った雑炊をスプーンで掬い口に運ぶ。

「温かいうちに食べな。美味しくなくなっちゃうぞ。」

そう言うと

少女は恐る恐る雑炊を口に運んだ。


「どうだ美味しいか?」

そうカルマが聞いてくる。

いつも食べさせられていたエサと言われて出されていたものと違って美味しい。

「うん…美味しいよ。」

そう泣きながら答えた。

「ははっ、泣くほど美味いか!!お代わりもあるからお腹いっぱいになるまで食べな。」

そう言ってカルマはワタシの頭を撫でてくれた。

ザッザザ…

「ん?シオンからか?」

そう言ってカルマは黒い小さい箱に耳を当てていた。


「おいおいおいおい、あのボスここら一帯を焼け野原にでもするつもりか?」

無線から聞こえて来たのは

鳳仙会のボス无大人の声だった。

「なんとかチャンネルを繋いでっと、よしできた。ボス、こちらカルマあと15分爆撃を待ってくれ。それとこちらからシグナルを出している場所への爆撃はやめてくれ。そこに俺がいる。」

そうダメ元で無線を繋ぐと。

「いいでしょう。こちらとしても商売相手を失う訳にはいきませんしね。ただし指示のある場所だけですよ。」

「それでいい。感謝する。」

そうボスとの無線を終わらせた後

シオンに繋ぐ

「頼む出てくれよ〜でないととんでもない事になる…」

出る事を願っていると

「カルマ聞いたか?今鳳仙会のヤツがここら一体を焼き払うなんて言ってたぞ!!」

と聞こえてきた。

「あぁその問題なら大丈夫だ。俺があこのボスと話つけて俺のいる拠点部分への爆撃は避ける事並びに15分の猶予を貰ってきた。」

そう返すと

「相変わらずお前の人脈はすげぇなwwww」

そう向こうから返ってきた。

それからして10分程してチームFのメンバーは捕縛対象である社長シュナイドを連れて来たが肝心のシオンがいない。

「あれ?シオンは?」

そう尋ねると

「それが…なにか引っかかる事があるって言ってあの施設に残っています。」

そうゲイツさんが答えた。


「あいつ…なんか嫌な予感がするな…ちょっと行ってくる。その間その子の面倒頼んだぞ。」

「あっ、行かないで…」

そう言ってカルマの服の袖を掴もうとしたけれど間に合わなかった…

「ちょっとカルマさんこそ今から出たら危ないっすよ!!」

そう言ってさっきカルマが話をしていた人とは違う鼻に傷のある人がカルマを止めようとしていたけど止まらなかった。

「そう心配するなお嬢ちゃん。すぐに戻ってくる。」

そうカルマはワタシに言ってワタシとさっきここまで乗ってきた乗り物に乗ってどんどん遠くへ行ってしまった。

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