第十三章 再会
王都には難なく入ることが出来た。しかし、やはり何処か違和感を感じる。
しかしその違和感は、王城の前まで行くと、明らかになった。
「な、なんだと」
そこにあったのは、無惨にも切り落とされた我が父。ブルラシア王国国王ビィリーズ・オブ・クリルの首だった。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
声のした方を見てみると、いつの間にかメイドのクミンが立っていた。
「長きに渡る遠征、大変お疲れでしょう。どうぞこちらに」
「な、誰がついて行くか!」
「黙れ、メッケ」
周りを見回してみると、もう伏兵に囲まれているようだった。どちらの部隊かは分からないが、恐らくは帝国軍特殊部隊の残党だろう。
「すでに囲まれている」
「でも!」
「メッケ!」
俺たちは言われるがまま、クミンについて行った。
表扉からメインエントランスに入り、そのまま一階の奥へ進む。そして左側のある扉の前で止まる。確か、出征前は会議室だった部屋だ。
中に入ると、内装はそれほど変わっていないようだった。
最新式の暖炉に、十一人程が囲むことの出来る大きな円卓とイス。今はまだ夏季につき、暖炉は使用されていないが。
「こちらでしばらくお待ちください」
クミンがそう言い残して部屋を出ようとした瞬間、このタイミングしか無いと思った俺は口を開いた。
「悪い、トイレに行きたいんだが……」
「……分かりました。ではご一緒させて頂きます」
「お、連れションか?」
「いいえ、私は外で待たせて頂きますので」
「そうか」
俺はクミンと共にトイレに向かった。
「おい、状況を教えてくれないか」
「申し訳ありませんが、お答え出来かねます」
「……そうか」
無理に問おうとすると、クミンの命まで危険に晒されかねないためこれ以上事情を聞くのは躊躇われた。確か、トイレはそこの角を突き当たりだったはず……。
角を曲がろうとすると、誰かとぶつかり転倒した。ぶつかった相手も、何かを落としたようだ。俺はそれを拾った瞬間、全身が大きな震えに襲われた。
「何故、ここにこれが……」
そして顔を上げると、ぶつかった相手がこちらを見つめていた。
本で見たことがある。ぶつかった相手は、彼女は。バーレン帝国女帝、インペリアル・マッカートニー。
「赤い勾玉の付いたネックレス……なんで君が、これを持っているんだ。何故この世界に、存在するんだ」
「そんなの簡単よ。何故なら、私のだからよ」
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