第8話 幼馴染ヒロインはいない(?)
「祐先輩! 今日は約束の日ですよっ」
「そうだな」
「私今日という日を凄く楽しみにしてたんですっ」
後輩ちゃんがくるっと振り返り嬉しそうな笑みを浮かべて俺の顔を見上げてくる。
ワンコが凄い尻尾振ってる感じがして可愛い。
今日は後輩ちゃんこと、柊
ゆーちゃんにはなんとか誤魔化し、学校をちょっと出たところで柊ちゃんと合流した。
「それでどこに行くんだ?」
「無難ですがショッピングモールとかどうです?」
「柊ちゃんが決めたそれで」
「志乃です!」
「え?」
一瞬戸惑ったものの、すぐさま下の名前で呼んで欲しいんだと気づく。
「えっと、志乃ちゃん……?」
「はい」
名前を呼べばふにゃりと頬を緩めた。
可愛い笑顔にまたときめいてしまう。自分が相当チョロいという自覚はある。
だが、チョロいだけで終わらないのがこの世界での俺なのよ。
俺は志乃ちゃんの手を握ってみる。体がビクッと分かりやすく反応。
「あ、あの……っ」
「デートだからね」
「!! は、はいっ。で、デートですもんね」
手を握り返し、嬉しそうだけど恥ずかしそうに俯く志乃ちゃん。
後輩ヒロインいい……!!
告白されたんだから手を繋ぐくらい嫌がられないと思っていたが……こんな顔をされたらもっと攻めたいよな〜。
◆
ショッピングモール中にあるアクセサリーを扱う店に立ち寄る。
「わぁ、これ可愛いです!」
店内は女性だらけ。俺も目に入ったアクセサリーを取って値札を見る。
値段は……ほわ!? 2、2万!? アクセサリーってこんな高いのか……。せっかくだしプレゼントしてあげたいが、学生にはこの値段は痛手だ。いや、志乃ちゃんが欲しいといえばATMに走っていけばっ!!
俺がお金のことを気にしていたのがバレたのか、
「でもここのアクセサリーって大人向けの気もしますし私には似合いませんね」
美少女に気を遣わせてどうする俺ぇぇ!!
アクセサリーを見渡し、志乃ちゃんに似合うのを探して……
「あ、これなんかどう?」
クローバーがモチーフのアクセサリー。値段を見ると8000円。決して安くはないがこれぐらいなら買える。
「可愛いですね!」
「気に入ったのなら俺が買ってあげるよ」
「そ、そんな悪いですよ……っ」
「甘えときなって。これはデートだから」
「で、デート……だから?」
「そうそう」
デートだからでなんとか押し倒す。
お金は元祐の元だけど。使わせてもらうぞお前のお金!!
急いでレジで会計を済ませた。
「はいどうぞ」
「あ、ありがとうございます……えへへ」
アクセサリーが入った袋を見つめて微笑む志乃ちゃん可愛いぃぃぃ!!
美少女にプレゼント、やってみたかったけど、幸福感半端ないなぁ!!
それから再びモールを見て回った。雑貨店やゲームセンター。俺がラノベを買うために本屋にも立ち寄った。
志乃ちゃんは終始楽しそうに笑っていた。
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