第6話 幼馴染ヒロインは健気(?)

「ゆーくん帰ろっか」


 放課後のホームルームが終わり、わざわざ俺の席まで来てくれたゆーちゃん。ニコッと微笑んでいて可愛い。


「広樹またな」

「あ、ああ……」

「んな、心配した表情すんなって! 俺は大丈夫だから」


 不安げになる広樹の肩を叩く。


「ゆーちゃん行こうか」

「うんっ」


 うんっ、だって。可愛いぃぃ〜!!





「ゆーくん今週の休日は何するの?」

「んー、考えてなかった」


 そもそも転生してまだ1日目。1日目ですよ! なのに、可愛い幼馴染ヒロインが尽くしてくれたり、突然後輩ヒロインから告白され、放課後デートの約束をしたり……最初から美少女に迫られて幸せすぎる!

 こんな都合のいい展開ばかりでいいのか。いや、二次元はいつも都合がいいでできてるからいいよな!!

 

 そして都合がいいといえば……


「ゆーちゃん、手繋いでいい?」

「もちろんだよ」


 頼めば美少女がなんでも叶えてくれる!


 ゆーちゃんに許可をもらったし、早速俺は手を握る。もちろんそれほど力を入れないで。


「………」


 多分今俺の顔は固まっているだろう。


 手が小さい柔らかい!! 今、美少女と手を繋いでいるぞ俺! うぉぉぉぉ! ……あ、汗かいてないか心配だ。


 そぉと、手に空間を作るようにしていると、ゆーちゃんがぎゅっと手に力を込めた。


「ゆ、ゆーちゃん……!?」


 思わずびっくりして声をあげる。


「ふふ、手が離れないようにちゃんと繋がないと」

「は、はい……っ」


 動揺するな、俺っ。これじゃあ童貞丸出じゃないか……!


 心を落ち着かせ、ゆーちゃんとしっかり手を繋ぐ。


「今日はゆーくんと学校でたくさん一緒にいれて嬉しかったよ」

「俺もだよ、ゆーちゃん」

「ゆーくんと同じ気持ちで嬉しい」


 はぁ、なんて健気な幼馴染なんだ! もうこの子を選んでしまいたいっ。


 しかし、別ヒロインも見たい。今接近中の後輩ちゃんとか、他のヒロインも……


「ねぇゆーくん」

「ん?」

「私のこと、どう思っている?」

 

 ……どう思っている?


 いきなりの発言。これは大切イベントなのか?


「ゆーちゃんのことは……優しくてお世話してくれて」

「他の女の子よりも?」

「ああ」

 

 嘘はついていない。

 だが、他のヒロインとはまだ仲を深めてないから暫定1位は幼馴染ヒロインということ。


「そうだよね。ゆーくんの1番は私だよね」

「う、うん」


 い、一番? なんか急に独占欲っぽい発言が……まあ可愛いからいっか!


「ふふ……」


 ゆーちゃんの瞳が怪しく輝いたのは気のせいだろう。



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