【ずーーーーっと先】『黒』の聖職者たち(仮)
(書きかけ)加筆・修正予定
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科学が台頭した今日でも、帝国内の聖職者の権威は堕ちてはいなかった。殊に、通称『黒服』と呼ばれる司祭服の権力は絶大である。例え、賞賛するに値しないような何の取り柄もない人間がひとたびその服に身を包んで道を歩けば、行く先々の人間は彼を敬い、頭を垂れる。少なくとも、丁重には扱われるだろう。信仰深い信徒であれば、「彼ら」を目にした途端涙を流すということもあるかもしれない。
それは少年に対しても例外ではない。側から見れば、まるで神学校に入りたての生徒が紛れ込んでいるようにしか見えない。教会に所属する正式な司祭にしては、あまりにも「若すぎる」。ところが、彼の堂々とした佇まいは、その印象を拭うには十分で、見る者全てに彼がさぞ優秀な若者なのだろうという想像を抱かせた。むしろその若さこそ、その黒服姿の少年に神聖さを与えているのかもしれない。
彼は、寡黙で滅多に笑わなかった。いつも不機嫌で睨んでいるようにも見えるほど愛想は悪いくせ、背筋はすっと伸びており、姿勢や立ち姿だけは素晴らしかった。加えて、彼にとっては不本意かもしれないが、額に流れる淡い栗色の髪や、ふとした瞬間横顔に現れる植物を形どった彫刻のような優美さが厭でも人目を引いた。
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