第弐肆話 悔しい決別

あれから一ヶ月が経った。格闘技無経験の横井や益田、翔子、姫子、美里も太極拳を覚えて行った。翔子と姫子は、宮里から琉球古武術も学び始めていた。

 

「姫ちゃん、翔ちゃん、今日も精が出るねぇ、身体も引き締まって、顔もシュッとして、街に出りゃ通り過ぎる野郎どもはみんな振り向くぜぇ」

 

 定幸はニヤけた表情を抑えきれないでいた。

 

「そうですかねぇ、ありがとうございます、定さんだって猫背じゃなくなってますよ」

 

 翔子も定幸を褒め返した。

 

「定さん、そろそろ絢さんに告って、決めちゃえばぁ」

 

 右手で拳を握り肘を曲げ伸ばしして、姫子は揶揄った。

 

「そうなのよ、元気になっちまってよぉ」

 

 定幸は悪ノリした。

 

「何ふざけてるのっ、姫子やめてよ、定さんも調子にノラないのっ」

 

 絢子は二人を叱り、みんなが笑った。

 そんな心にゆとりが出て来た頃、災いが予見される出来事が起こった。

 それは、織田がいるイタリアの日本大使館にマフィアが銃弾を打ち込んだのだ。幸い、負傷者は出なかったものの、大使館の壁には五発、窓ガラスを割り屋内の壁には一〇発の弾丸が埋まっていた。日本での取り引きが出来なくなった腹いせだった。

 マスコミの報道よりも先に、特テロ室のメンバーには室井がその状況を伝えた。

 

「織田さんから連絡がありました、マフィアの仕業のようです、イタリア政府が厳重な警備を始めました、しかしながら、イタリアンマフィアは、歴史が長くて、警察と癒着していた時代があって、持ちつ持たれつの歴史があったようです、最近は、マフィアの資金ぐりが悪く、そんな繋がりを警察はなくして、多くのマフィアを壊滅させたようですが、なかなか根強く生き残ってる組織があるようです、恐らく、その者たちが人身売買から資金を得てたのでしょう、それを織田さんがイタリア政府と協力してほぼ、どの組織かは特定できたようです、そして、あんな脅しをかけてきたとの見解です」

「なるほど、でも、政府としては、なかなか手を出せないということだな。また、繋がりをもつ王族や政治家が居るのだろう、じゃあ、我々が乗り込まないといかんなぁ」

 

 定幸は眉間に皺を寄せた。

 

「流石横井さん、お察しの通りです」

「わしが思うに、大垣君と鬼龍院君、そして、睦基にサキちゃんが現地に飛んだらどうだろう」

 

 定幸は睦基とサキがマフィアのアジトに忍び込んで、大垣と鬼龍院が後方支援し、物的証拠を盗み出すことを提案した。証拠さえ抑えれば、逮捕に繋がると考えた。

 

「私も行かせて、そのマフィアを壊滅させれば、テロリストにも経済的ダメージで勢力が弱って、国連や米軍が動き易くなるんじゃないかしら、いずれにせよ、早ければ早い程いいんじゃない」

 

 姫子はテロリストの壊滅まで念頭に置いて定幸の考えに意見を上乗せた。

 

「そうだな、でも、姫ちゃん、リスクが高まるぞ」

 

 定幸は半ば賛同したようにみえたが、参加するメンバーの身の危険をできるだけ避けたかった。

 

「私は姫子さんも加わって乗り込めば、大使館やイタリア政府も武力強化や現地職員を増員して挑めば、リスク回避は望めると思うのですが、横井さんどうでしょう」

 

 室井は積極的な意向だった。

 

「うん、現地に飛ぶ前に織田さんにそこら辺を確認したらどうだ」

「ご最もですね、では、織田に確認してみます」

 

 織田からの回答を待つ間、定幸を中心に戦略会議を始めた。

 アジトから奪う物として、睦基はマフィアと癒着してる公人に関連する情報、そして、姫子は人身売買に関する情報とした。予め、一人づつ搾取する物を定めておくと、アジトの中で行動し易いだろうと、もしも、同じコンピュータやメディアに二つの情報が保存されているのであれば、臨機応変にどの情報から取り出せばいいか、状況判断し易いだろうと考えた。

 更には、それが手際よく進められるのが、織田とイタリア政府がマフィアを逮捕し易いシチュエーションになるだろうと結論付けた。

 

「現地では、最低限ではあるようですが、準備可能な武力と人員は確保できてるようです、それと、マフィアと繋がりを持つ者たちも特定したようですが、重要証拠が入手できてないとのことで、それを入手する動きをすると、直ぐに隠蔽されそうだということです、だから、日本から領事館の警備強化として、特テロ室から人を送るというのが好都合だと言ってます、それと、民間の益田防犯研究所の人間が来るとなると、繋がりを持つ者たちは、油断するだろうと予測してます、私も正田さんたちに期待できると思います」

 

 室井は織田からの回答を分かりやすく報告した。

 イタリアの日本大使館への銃撃事件の影響で国内の各空港は警備を強化していた。

 しかし、一般の乗客たちは、外国人も含めて、持ち物検査や税関での手続きに時間がかかるのを迷惑がるのが殆どだった。

 その事件の原因が何なのか報道させてないから致し方ないが、空港では、時折、おかしな揉めごとを見かけた。

 それは、台風の影響で急遽運休になってしまったにも関わらず、空港職員を怒鳴りつけるといった感情の矛先を自分よがりに向けてくる癇癪持ちもいた。冷静に情報を捉えて行動せねばならないが、普段よりも不都合さが増すと自己中に振る舞う者が増えるのだ。これも人の性であろう。空港は嫌悪な空気に包まれていた。

 そんな不安定な社会情勢のなか室井をはじめ、イタリア行きのメンバーは出発準備を急いだ。その日の深夜に特別チャーター機で現地入りする事になった。

 また、イタリア政府とサンマリノ共和国も協力するとの手筈となり、空港では特別通路を使い、手早くチャーター機でイタリアへ飛び立った。

 イタリアへは、パリ経由のエールフランス航空やフランクフルト・ミュンヘン経由のルフトハンザ航空を利用するのがポピュラーだが、今回は、イタリアのアリタリア航空の機体で直行することになった。

 日本からの最短ルートではあるが、一二、三時間はかかる。

 

「たまに、足の指なんかを動かせばいいんだろ、エコのミー症候群だったっけ」

 

 機内では、ちょっとした旅行気分な者もいた。

 

「それでいいと思うよ。エコノミー症候群だよ、でも、この席は、ビジネスクラスだけどな、それにしても、シーエーさんの笑顔はいいねぇ、制服姿も萌えるなぁ、飛行機って悪くないや」

 

 佐助は、不安ながらも定幸にそう話しかけた。

 

「佐助、お前はどんな女の子が好みなんだ、ほんとに好きだよな女の子が」

 

 定幸は直ぐに佐助をイジった。

 

「セックスできるんだったらどんな子でも、そうだなぁ、ハタチ以上なら犯罪にならないんだろ、レイがそう教えてくれたから、今回は、絢さん、一緒じゃないから残念だな、定さん、エコノミーだよ、エコのミーじゃないぜ」

 

 飛行機に乗り込み、隣りが定幸で窓側の席で、キャビンアテンダントは恐らく、イタリア女性であろうから、睦基たちは佐助に気分転換させる事にした。

 

「お前さん、好色男だな、アハハ、エコノミーかぁ、どうもカタカナは苦手でな」

 

 定幸は佐助と話しをするのは初めてだが、気が合いそうに感じ、リラックスできていた。

 

「うん、睦基に丈、一文字さんのほぼ全部の性欲は俺が抱えてるからな、結構、難儀なんだよこれでも、無意識に反応するんだから、だから、なんていうのかなぁ、誰もが性欲は持ってるだろ、強弱はあるにせよ、自分を除いて五人分のを抱えてるからね、定さんなら理解してもらえるかな」

 

 佐助もリラックスし、思いの丈を話した。

 

「理性的に振る舞えば振る舞う程、性欲を溜めてしまうこともあるからな、お前さんに他の五人は助けられてるよ、お前さんたちは、ほんと不思議な存在だ」

「うん、俺もそう思う」

 

 機内では、この二人だけが喋っていた。定幸に関しては、みんなを和まそうとも考えていた。全く効果は見られなかった。

 姫子は隣りの席がサキなのだが、一向に話をしようとしない。鬼龍院は早々に寝てしまい、大垣はイヤホンをし、音楽を聴きながら琉球古武術の本を読んでいた。

 一方、日本に残っている美里は、珍しく絢子に相談を持ちかけた。

 

「絢子さん、私、心配ごとがありまして、姫子なんですけど、荷作りを手伝おうと思って部屋に入って行ったら、独りで『死ぬ気で仲間を守る、死ぬ気で日本を守る』みたいなこといってて、こんな事態になったのを異常な程、責任感じてるみたいで、あんな思い詰める姫子初めてです、無理しないか心配なんです」

 

 美里は珍しく動揺し、落ち着かない仕草を見せていた。

 

「姫子、銃撃事件のこと聞いてから顔つき変わったね、私も美里と同じこと思ったわ、定さんにメールしとくね、みんなの協力で解決の糸口を見つけなきゃね」

 

 絢子も姫子のことが心配でいて、美里を落ち着かしたくもあった。

 

「姫子さん、出発前に僕を使って、丈さんから身長が高い相手への有効な攻撃の仕方習ってました、いつに無く表情が硬かったです、気合い入ってるなぁって感じでしたが、誰か殺してやろうなんて雰囲気は出してませんでしたけど」

 

 傍で美里と絢子の会話が耳に入った宮里が言葉を挟んできた。

 

「殺そうなんては、思ってないはずです、自分が犠牲になってでもって考えてる気がして」

 

 宮里にも美里は不安気な顔を見せた。

 

「睦基君にもメールして、美里から、歌音とレイが姫子を気にかけてくれるはずだから」

 

 絢子はこれくらいしか美里にアドバイスしてやれないことに歯痒さを感じていた。

 

「私も大垣と鬼龍院にメールしますね、姫子さんワンチーム を崩すような人じゃないから、無茶をさせるなってことですよね」

 

 宮里は日頃の姫子の誠実さを感じ取っていて、無事に帰ってきて欲しい思いが湧いてきていた。

 美里は嫌な予感をしていた。責任感の強い姫子に何か、悪い事態に巻き込まれそうな気がしてならなかった。

 

「美里は、出発前に姫子に何かいったの」

 

 絢子は念のため聞いてみた。

 

「思い詰めると姫子は、特に、私たち妹がいうことは右から左に流しちゃうんです、サキも恐らく私と同じように感じてると思うんですけど、私達がいっても効果なしですから」

 

 困り果てた表情に美里はなった。

 

「そんな時は、身内のいうことを聞かないタイプの人っているからね、私もそうだったからなぁ」

 

 絢子は益々心配気な表情が強くなっていた。

 美里と絢子、宮里は無事にみんなが帰ってくることを願うばかりだった。

 

「みなさん、長旅お疲れ様です、横井さん、姿勢が綺麗になって、相当鍛錬積まれたようですね、いやいや、姫子さん益々引き締まった感じで、大垣、肩幅がゴツくなった感じだ」

 

 空港に迎えに来た織田は日本からの全員を快く迎えた。

 

「それりゃ、日本の未来を託されたんだから、毎日必死だよ、こんなに座ってばかりいることなんてどれくらい振りかなぁ」

 

 定幸は少し照れていた。

 

 日本時間の二三時に空港を飛び立ち、イタリアは、まだ、正午過ぎだった。フィウミチーノ空港、別名、レオナルド・ダ・ビンチ空港に降り立った。

 先ずは、マイクロバスでサンマリノにある日本大使館へ向かった。イタリアの日本大使館の所在地は、世界で五番目に小さく、共和国として最古なサンマリノ共和国にあり、その国の大使館を兼轄している。

 また、サンマリノの国旗のデザインにされている三つの要塞、ロッカグアイタとチェスタの塔、ロッカモンターレがあり、観光産業の根幹となっている。それと、二〇一一年の東日本大震災の被災者を追悼するために欧州初のサンマリノ神社が創建された。

 そういった日本との交流が強いサンマリノ共和国に旅行したいと思ってた大垣は、バスの中で独り言のように三つの要塞や神社の事を口にしていた。でも、誰の耳にも入ってはいなかった。

 マフィアの拠点は、シチリア島だった。根強く伝統を守りマフィアとして存続してたサクラ・コニータ・ウニーナを継承するシチリア・コンパーニョという組織だった。

 そこで、情報交換し易い日本に目を付けたのだ。永井虎将と繋がり、存続するために、充分過ぎる金が舞い込んできた。そんな永虎を抹殺した訳だから、シチリア・コパーニョは日本政府に対して怒り心頭となった。

 だから、今回のような大使館に銃撃したといった経緯だ。

 

「みなさん、この後は、それぞれのお部屋でゆっくり休まれて下さい、明日からイタリアとサンマリノ政府との合同捜査が始まります、宜しくお願いします、何かありましたら遠慮なく私に連絡して下さい」

 

 日本大使館の全ての窓ガラスが外側から鉄板で補強され、照明を点けないと昼間でも薄暗い食堂で、夕食を済ませた後、織田がそういった。

 

「辛気臭くて、嫌な雰囲気だったな、本場のボロネーゼとマルゲリータは美味かったけどな、料理を運んできてくれた人たち、多分、地元の人達だろ、表情が硬かったな」

 

 睦基と鬼龍院、定幸が同部屋になっていて、その部屋に戻ると定幸が話し出した。

 

「職員にとっては、衝撃的な事件だったんでしょうね、イタリアもサンマリノもマルタも日本とは友好関係が長く続いてるわけですから、マフィアの標的になるなんて思いもしなかったのかも知れませんね」

 

 鬼龍院は冷静だった。

 

「この国の人達のためにも、今回は成功させないと内戦のような状態になると可哀想ですからね」

 

 睦基がそういうと、定幸と鬼龍院も表情が硬くなった。

 

「姫子、大丈夫、いつもより食べてなかった気がするんだけど」

 

 睦基たちの隣の部屋になった姫子とサキ、大垣たちの会話は、姫子を気遣うサキの話しから始まった。

 

「そうですよ、何か考え過ぎてませんか、もう少し肩の力を抜いて行きましょうよ」

 

 大垣も姫子を気遣った。

 

「ごめんなさいね、心配かけて、うん、分かった、どうしても許せないって思いが強く湧き出てきて、日本で永虎達を皆殺しにしたように、自分の感情が抑えられなくて、また、同じ事を繰り返してしまわないか、自分が怖くてね」

 

 姫子は日本から出て、誰とも言葉を交わさずにいたが、硬い表情ではあるも、漸く口を開いた。

 

「そうだったんですか、私はそうしてしまった姫子さん達を見てませんけど、永虎達にはお二人と同じ気持ちを持ってました、一応は公務員なので、命を奪うなんて発想はしなかったでしょうけど、女の子たちを傷つけて金を手にしてっていうのは許せないですね、姫子さん、今は太極拳の実践力が身についてるから、そんな衝動に駆られる事は無いと思いますよ、武器が無くても身体が勝手に動くと思います、それぐらい一緒に練習したじゃないですかぁ」

 

 姫子達の部屋でも、緊張感が高まっていた。

 日本大使館に着き、銃撃痕や建物の補強、職員たちの不安感等を目の当たりにすると、現地入りした特テロ室の面々もそれに影響されない訳がなく、必然的に緊張高まる雰囲気にのまれていた。そんな中、日本にいる益田や美里、翔子達からのメールを読んだそれぞれ六人は、幾分、緊張感が和らぎ、床に着き睡眠を取ることができた。

 その翌日、イタリアとサンマリノ政府の外務省にあたる職員が六人、日本大使館に訪れた。

 織田に室井が日本からメールで送って提案した捜査方法をその六人がどう受け入れてるか確認した。

 その中のリーダーであるイタリア外務省のアントニオンは、人身売買され、集められた女性たちを運ぶ船が利用する港を確認できたこと、マフィアの組織図とアジトの場所、その建物の見取図、それには、政治家や警察官等との繋がりが分かる名簿や人身売買に関するデータが記録されてるパソコンの場所も記されてた。

 また、保有している武器のリストも提示してきた。だが、その武器のリストに載っていない物がある可能性は高いという事が付け加えられた。

 

「これくらいの武器なら問題ないかな、バズーカ砲やミサイルとかまではないですよね、このパソコンからデータを抜き取るか、これ自体を丸ごと回収するか、回収したほうがいいかな」

 

 睦基がイタリア語で話した。

 

「そんな武器は持ってないと思うよ、それにしても、イタリア語、上手く喋れるんだ」

 

 アントニオンは驚いた。

 

「女性たちを運ぶ船が入港する日時は分かりますか」

 

 次に、姫子もイタリア語で喋った。

 

「ええ、分かってますよ、今度は、三日後に入港予定です、あなたも喋れるんだ、凄いですね」

 

 サンマリノ政府の女性職員であるクリスティアーノが答えた。

 

「その船を洋上で停められるかしら」

「我々には停める事は出来ないです。織田さん、日本のクルーザーがありましたよね、それを使うのどうですか」

「良いですね。使えますけど何も武装してませんが」

「放水機は付けられませんか」

「我々が用意しますよ」

 

 アントニオンは睦基や姫子の流暢なイタリア語に感銘し、これからのことに期待を膨らませた。

 

「睦基君、永虎達と同じような方法でいいんじゃないかしら、明日、マフィアのアジトを抑えて、明後日、船を出して」

 

 姫子は睦基へにもイタリア語で喋った。

 

「そうだね、明日、アジトでマフィアを捕らえて、警察に逮捕してもらって、アントニオンさん、それと、流石にマフィアには拳銃保持の許可書は発行してませんよね」

 

 睦基は細かい事を確認した。

 

「はい、今の時代はそんな事はないです、一般の人達の所持率が高くなりましたから、逆に、マフィアから許可書を求めて来たら、一般の人達に襲われると思いますよ」

 

 確かに、イタリアでは護身用の拳銃所持が犯罪歴のない人であれば、許可し易くなっていて、二〇一六年には、約一三人に一人の割合で拳銃やライフルを所持しているとの統計がマスコミから発表されていた。言い換えると、拳銃が流通し易い社会になったともいえる。

 

「そうなんですね、でも、オープンキャリーは出来ないですよね」

 

 目を見開き、興味深く聞いていた大垣もイタリア語で喋った。

 

「ええ、それは許可してませんよ」

「私は今回、銃は持ちませんので」

 

 姫子は即座に、誰よりも早く、言葉を発した。

 睦基と大垣も同じ事を言った。

「姫子、いつから喋れるようになったの、大垣さんも凄いね、ムッちゃんは喋れても驚かないけど」

 

 サキは、どんな会話が交わされてるか分からないままだった。

 

 このように、現地での捜査が思いの外、進んでおり直ぐにマフィア壊滅を実行する事が決まった。

 睦基たちは、タガーナイフとスローイングナイフだけ準備してもらうことに、それでも姫子はタガーナイフ一本しか持たなかった。

 また、アジトへのアプローチや拘束方法、所要時間の予測等、綿密なミーティングが四時間ばかり行われた。

 佐助とサキは、空色のウイングスーツを纏い、マフィアのアジトから一キロ離れた上空より、翼が四つあるプロペラ機から飛び降りた。時速が二〇〇キロ以上の速さで、まるでムササビのように。幸いにも雲一つ無い快晴で、視界は良好だが、言葉での会話は難しい。

 アジトに近づくとその二人は左手の親指を立てて合図し、同時にパラシュートを開いた。降下速度は減速し、大きな声を出せば言葉が聞こえる状態になった。

 でも、簡単なジェスチャーでコミュニケーションを取り、アジトの屋上へ降り立った。

 パラシュートを外しウイングスーツを脱ぎ、屋内に出入りする錆び付いたドアの鍵を開け潜入した。

 アジトは三階建てで地下に武器を保管している、差ほど広くない倉庫がある。

 三階は、牢獄のような造りで下から物を出し入れ出来る扉、中央から二〇センチほど上に中を覗くことができる小窓が付いた部屋が三箇所とそこを管理する者が使うと思われる長方形のテーブル、そこには灰皿と三段式警棒が六本、縮められて置かれてた。

 そして、椅子が六脚、給湯場、テレビに冷蔵庫が設置され、屋上から一階まで続く階段の傍に設置されていた。

 二階にはマフィアのボスの部屋。直ぐ隣は、そこと中で出入り出来るドアがある応接室、階段側にはパソコンが置かれたデスクが三台づつあり、奥の壁に窓が一つ、それ以外は書類や文具類等が収められてる棚がぎっしり並んでいて、三人の女性たちが事務作業に奮闘していた。

 一階は、階段よりも二メートル程離れて右吊元のガラス戸が玄関になっていて、受付カウンターがあり、そこから右奥に部屋が二つ並んでいる。

 直ぐ隣の部屋には、シーカヤック用品やクルーザーの写真や模型が展示されていて、奥の部屋には漁師が使う漁網や投網、定置網の模型、玉網等、漁具が展示されている。表向きは、漁具やレジャー用の小型船を販売する会社に見える。その部屋の隣に木の扉があり、ここが拳銃を隠している地下倉庫の入り口になっていた。

 佐助から丈に交代し、サキと二人はタガーナイフを片手に三階の牢獄から見て回った。

人気は無く、二階に降りた。

 ここは、奥のボスの部屋まで大声やタガーナイフのグリップの先端でガラスを割りながら駆け抜けた。これを合図に、一階の玄関から姫子と鬼龍院、大垣が突入し、アントニオンやクリスティアーノたち四人が地下室の入り口前で銃を構え、後の二人と室井に織田、横井は、玄関前で待ち構えてた。

 

「動けなくすればいいね」

 

 サキが丈にいうと、廊下に出ようとしたボスの下顎の左側に回し蹴りを入れた。ボスはその一撃で気絶。透かさずサキは結束バンドで両手両脚を拘束した。

 丈は、廊下から駆けつける手下たち、一五人に向かって行った。

 先に来た五人の両膝の内側側副靱帯と、左右のアキレス腱をタガーナイフで斬りつけた。

 後の一〇人は、ナイフの切れが落ちたため、蹴り、パンチ、背負い投げで気絶させた。その手下たちをサキは、結束バンドで手際良く拘束した。

 一階には、手下たちが七、八人しかいなかったが、二人がシーカヤックのオールを持ち、アントニオンと他三人を襲い地下室に入った。

 アントニオンと一人は頭から血を流し動きが鈍り、もう二人は、鳩尾をオールでやられ、蹲り嘔吐してた。

 それに気づいた姫子は地下室前に駆けつけた。すると、二人の手下がマシンガンを持ち、階段を昇って来た。姫子はそこへ躊躇なく飛び込み、一人の手下の下顎に蹴りを入れ倒したものの、もう一人の手下が姫子にマシンガンを打ち放った。

 一〇数発の弾丸を姫子は浴び、後ろの壁まで後退し、両脚で立てなくなり座り込んだ。それを見たアントニオンは、その手下に銃口を向け、頭部を撃ち抜いた。

 姫子は大量出血し意識が朦朧になりながらも右手でタガーナイフをその手下へ投げようと構え、左手はアントニオンが銃を打つのを止めようとし、掌を向けた。

 頭部に弾丸を受けた手下はマシンガンを床に落とし沈み込んだ。

 同時に姫子は目を閉じ虚脱し、右手のタガーナイフは、床に転がり、両掌を前に向け両腕は、床に垂れ落ちた。

 大垣が真っ先に駆けつけた。

 

「姫子さん、しっかりしてぇ」

 

 大垣は、叫びながら上着を脱ぎ無我夢中で止血を始めた。上着をタガーナイフで切り刻み、両手を真っ赤にして姫子の両腕両脚の付け根を縛り、胸部や腹部をありったけの切れ端を当てた。

 それでも足りず、真っ白なティーシャツも脱ぎ黒のスポーツブラ姿で涙を流しながら必死に傷口を押さえた。たが、出血は止まらない。大垣の涙は目からも鼻からも垂れ、止まらなかった。

 

「姫ちゃん、姫ちゃん、イタリアの馬鹿どもを助けてやったんだな」

 

 定幸は姫子の血の海に迷い無く浸かり左手を握って泣き崩れた。

 姫子の顔は血の気が引き、目は閉じ、唇は薄紫色。でも穏やかな優しい綺麗な顔、眠れる森の美女ならば、こんな寝顔と誰もが思うほどで。

 みんなが集まった。救急車の音も聞こえてきた。丈は、階段の上で仁王立ちし、サキはその隣で割り座になり顔を真っ青にして項垂れた。アントニオンは膝まづきサキの肩に右手を置いた。鬼龍院は手早くマフィアを全員拘束し、丈の傍にきた。

 

「明日は、俺ら二人で船に乗ろう。姫子さんのために」

 

 鬼龍院が丈にいった。

 

「あぁ、俺は独りででも行くさ、逃げちゃ駄目だからな、でも、定さんや大垣さんが行くっていうなら、俺がみんなを守るよ、君もね」

 

 丈は目に涙を溜めていたものの、その慧眼けいがんは揺るぎなかった。

 

「みなさん、明日はどうされますか」

 

 病院の霊安室で、白いシルクのハンカチーフを顔に被された姫子の横で、丈のまま冷静に定幸、サキ、鬼龍院、大垣に尋ねた。

 

「みなさん、ご無理はなさらないで下さいね、鬼龍院さんは、二人で行こうといってくれました、定さん、大垣さんを気遣って、私たちは、みなさんの意志で決めてもらいたいです」 

 歌音に交代した。

 

「もう誰も死なせない」

 

 レイに代わった。

 

「もしも、みなさんが行くのなら売買された女性たちを守っててもらいたいです、後の連中は、僕らがやりますので」

 

 一文字に代わった。

 

「殺さねぇよ、生き地獄に葬ると思うけど」

 

 佐助に代わった。

 

「なので、できれば、みなさんに頑張って協力してもらいたいのが本心です」

 

 睦基に代わってそういうと丈に戻った。

 

「私、行きます、姫子さんのために、死にません、絶対に、姫子さんと一緒に日本へ帰ります」

 

 大垣の涙は止まり、冷静を装った。

 

「勿論、私も行く」

 

 鬼龍院は室井さえ見た事もない怒りの表情だった。

 

「私は姫子の傍にいさせて、みんな無事に帰ってきてよ」

 

 サキは普段の半分以下の声量だった。

 

 翌日、丈は、船の乗組員とマフィア、合わせて九人に脊髄損傷を負わせた。そして、売買せれてきた女性一〇人を保護した。

 

「正田さん、いつに無い強さでしたね」

 

 大垣は安堵した。

 

「船も操縦出来るんだ」

 

 鬼龍院の表情は和らいでた。

 

「みんな無事で良かったな」

 

 定幸は呟いた。

 

「正田さんは、凄いですね。まるでスーパーマン、日本には、あなたみたいな人もっといるんのですか」

 

 クリスティアーノはイタリア語で話しかけてきた。

 

「どうだろう、いないと思うよ、でも俺らは、六人なんだよ」

 

 丈はクリスティアーノにイタリア語で答えた。

 マフィアの船の操舵室でそんな会話が交わされた。濃い青紫色が白い光を洸かせる海面で、織田と室井、アントニオンが乗る港に向かう日の丸が靡くクルーザーの後を追いながら。

 その頃サキは、姫子の亡骸を無表情で一人で湯灌を始めた。

 着ていた服を挟みで切り脱がせ、肌に付いた血液や汚れを拭き取り、傷口を釣り糸のような透明な糸で縫い合わせた。

 そして、VIOラインのアンダーヘアを剃り落とし、大量に購入したブルーベースのファンデーションを指先、爪先、殿裂、会陰部、肛門までも全身に丁寧に、肌がピンクがかって見えるように塗った。

 最後に薄紅色のルージュを唇に施し、レースで縁取られたベールを輪郭に沿って纏わせ、薄手の白いエンパイアラインのドレスを白装束として着せた。

 また、コーフィンも白にした。姫子の最後をフェミニンで送りたいサキの気持ちの表れだった。

 

「ありがとうございました。これで、当分は我が国でマフィアは活動できないでしょう、しかしながら、姫子さんという大切なお仲間を犠牲にしてしまって無念でなりません、ご冥福をお祈りします、これを期に政府に対して、治安力を増強するよう働きかけます、また、日本へ帰国する際には、政府専用機を使って、私とクリスティアーノも同行させて頂き、総理大臣へは勿論、法務省や外務省に挨拶へ伺わせてもらいます、また、国連や米国に、イスラム過激派の調査を依頼します」

 

 室井特テロ室室長と定幸や睦基、サキ、大垣に鬼龍院が日本への帰国の準備を終え、レオナルド・ダ・ビンチ空港に向かう二階建ての高級観光バスに、二階の座席は取り外され、姫子の白いコーフィンを乗せて、一階は室井達が自由にランダムに別れて座席に着いた後、アントニオンは車内マイクで静かにイタリア語で話した。

 定幸は何を喋ってるか分からずにいだが、誰かにその内容を聞く事もせず窓の外を眺めてた。サキは、アントニオンの目を見て話しを聞くも、それが終わると目を閉じた。他の者達は、頷いたり、アイコンタクトで理解したのを伝える等、言葉は無かった。サキが姫子を湯灌して二日後の事だった。

 無事に羽田空港空港に着陸すると、イタリア大使館の公用車が二台と日本の外務省の公用車が二台、霊柩車が一台、イタリア政府専用機の傍に付けた。

 室井室長がCAに誘導され、タラップを最初に降りた。その正面の三メートル程前に、絢子と加藤、翔子に美里、宮里、辰吉、和久井の特テロ室のメンバーがスーツ姿で並んでた。

 そして、姫子が眠るコーフィンが貨物室から霊柩車に乗せられた。美里とサキも霊柩車に乗り自宅へ向かった。車内では、二人とも喋らなかったが、手だけ繋いで、美里はハンカチで流れる涙を拭い、サキが美里の肩を抱き寄せていた。

 一方、室井室長たちは、特テロ室宿舎へ向かい、アントニオンとクリスティアーノも宿舎へ案内した。

 

「これから、首相が来られますので、こちらにお掛け下さい。」

 

 内閣府の伊藤忠光いとうただみつはいい、奥へ下がって行った。

 室井は、アントニオンとクリスティアーノに通訳し、応接ルームの黒革のソファーに座らせた。また、定幸と絢子、睦基、翔子もソファーに座るよういわれた。

 

「定さん、ご苦労様でした、体調は大丈夫」

 

 絢子は直ぐに定幸を労った。

 

「身体は大丈夫だよ、でも、心が疲弊気味だ、姫ちゃんが命を投げ出して、頭も身体のキレも悪いこいつらを守ってやったんだが、悲しいよ、悔しいよ」

「うんうん、定さん、無事に帰ってきてくれてありがとね」

 

 絢子は、定幸の手を握った。

 

「こいつらレベル低く過ぎてな、他力本願も甚だしいよ、四人いたくせに二人に直ぐやられちまうんだから、睦基たちがいなかったら全員地中海の底さ、情けないよこいつら」

 

 定幸は静かに怒りを露わにした。

 

「定さん、姫子さんのことはとても悔しいよ、でも、この人達、ど素人だよ、それと、外務省でしょ、鍛錬だったり、マフィアへの対策だったり、教育されてないよ、だから、軍や警察も動かせなかったと思う、僕も悔しい限りだよ」

 

 睦基はアントニオンたちを庇うつもりではなかったが、冷静に現状を分析してた。

 

「現地の事情が分からないから、私はなんともいえないけど、睦基君が無事で何よりよ」

 

 翔子はそれしかいえなかった。

 

「姫子さんが犠牲になったのはとても悔しいです、それと、私、まだまだ成長しないといけないと思いました、私がもっと、速く、強く動くことができれば」

 

 大垣は傍に立っていて涙を堪えた。

 

「同感です、私も悔しいです」

 

 鬼龍院は難しい表情で俯いた。

 

 姫子の死を悔やんでると、伊藤が首相と二人で現れた。

 

「みなさん、友好国のために尽力なさって頂いてありがとうございました、犠牲者を出してしまった事は私自身、無念に思います、それと、両国の国益の損害を未然に、強大にならない内に成果を上げて下さったことは、心から感謝致します、ありがとうございました、先日、イタリアの首相と電話会談させて頂きました、イタリア政府は、あなた方の働きを賛美されました、横井定幸さん、益田絢子さんをはじめ、ここにいらっしゃる益田防犯研究所のみなさんには、先ず、永久的な自由出入国を認め、イタリアは勿論、サンマリノ、マルタ、バチカン市国へ渡航する際は、全ての費用をその四国が負担すると申し出て下さいました、それと、日本政府は、神路姫子さんご葬儀代金、追悼金を準備させて頂きます、また、益田防犯研究所の皆様にも謝礼金を用意致します、室井室長から聞くところによりますと、かなり感傷的になられてて、疲弊なさってると報告を受けております、これを期に、ここでの拘束を解放致します、どうか、心と身体の疲労を癒して頂きたく思います、今回の皆様の働きは、表立たせる事はできませんが、総理大臣として大変感謝しております、ありがとうございました」

 

 首相は、労いの言葉、感謝の言葉を丁寧に話してくれた。

 

「大変申し訳ございませんが、スケジュールの都合上、首相は、公務に戻らねばなりません、室長と、イタリア、サンマリノのお二方、ご一緒に官邸までご案内します、その他の皆様におかれましては、今後に関して、室井室長に指示しておりますので、どうぞご自愛頂きますようお願い申し上げます」

 

 内閣府の伊藤がそういうと、首相、室井室長、アントニオンとクリスティアーノは、伊藤に案内され、奥へ下がって行った。

 

 美里とサキが自宅に着くと、葬儀社が姫子の葬儀の準備をしていた。

 

「サキ、覚えてる、田口さん、父さんや母さん、兄さんの時にもお願いした葬儀屋さんよ」

 

 美里は冷静だった。

 

「ご無沙汰しております、突然のご不幸、お悔やみ申し上げます、美里様からご指示がありまして、家族葬とお聞きしております、それと、このような祭壇をご準備致しました」

 

 田口は左右の掌を下腹部の前で合わせて、丁寧にいった。その祭壇は、薄紫色の幕をバックに真っ白な菊の花だけが飾られた白木祭壇だった。

 

「お姉ちゃんに合ってる、真っ白、死化粧、私一人でしてあげたよ、綺麗だよ」

 

 サキが美里にいうと、祭壇の前に置かれた白いコーフィンに眠っている姫子の顔を二人で覗いた。

 

「お姉ちゃん、こんなに綺麗にしてもらって、サキ、一人で頑張ったね」

 

 美里は優しい声で、サキの頭を撫でた。

 

 一方、特テロ室では室井室長が戻ってきた。

 

「横井さん、益田さん、正田さん、梅木さん、加藤さん。これでみなさんのここでの仕事は終わりです、ご苦労様でした」

 

 室井室長が話し始めた。

 

「横井さんのご自宅に益田さんと加藤さんが住めるように片付けています、それと、正田さんと梅木さんは、神路さんのお宅で、勝手ではありますがそのようにさせて頂きました、しかし、これからお部屋をお借りする際は、ご連絡下さい、法務省の職員宿舎として賃貸契約させてもらいます、勿論、横井さんと神路さんのご自宅もそうなりますので、光熱費は国の予算で支払います、ですが、有事の際はご協力お願い致します、また、みなさんの預金通帳には、これまでの報酬を振り込ませてもらいました、それぞれご確認下さい」

「国の駒か俺たちは」

 

 定幸はなかなか気持ちを切り替えられないでいた。

 

「いいじゃないですか、生活が保証された訳だから、俺は世の為人の為になるなら構わないっすよ」

 

 加藤は前向きに捉えるだけだった。

 

「当分はお世話になるわね、定さん、研究所は少し休む事にしたから」

 

 絢子は研究所での仕事へモチベーションを保てない心持になっていた。

 

「僕は残りますよ、といっても、ここでは生活しませんけど、室井さん、精神鑑定とか、警察病院で医師やります、一応は、内科系も外科系もできますから、それと、宮里さんや鬼龍院さん達と武道の稽古をさせて下さい」

 

 睦基は大垣と鬼龍院の悔しさを自ら晴らせるように、鍛え上げようと考えていた。正確には丈の強い気持ちだった。

 

「私も、警察病院で看護師やります、元の職場には戻りません」

 

 翔子は睦基について行く決意でいた。

 

 その後、半年が過ぎ、益田防犯研究所は再開した。形を変えて。以前のように、益田の執筆活動があり、それに、横井が加わった。

 そして、一般向けの護身術の講習会も定期的に開かれ、健康増進の観点も取り入れ誰もが参加しやすい形態に変わっていった。

 また、この講習会は、加藤と神路姉妹が担当者となった。それと、特テロ室の宮里、辰吉、鬼龍院、大垣、和久井も講師として参加するようになった。

 睦基達と翔子達は、警察病院で主に受刑者を診察したり、妊娠でありながら収監された女性受刑者や収監時の身体検査で妊娠が判明した受刑者の出産に携わった。

 このように姫子が他界した後、その悲しみを乗り越えて各々が新しい日常を送り出したのだった。

 

 終

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