配信者だって青春したい

すてら1号

第1章 はじまりと出会い

第1話 「好機」それは突然起こる

今の時代は、スマホ一つでもあれば、配信や、動画の投稿が出来る時代になり、小学生のなりたい職業ランキングでは、TOP5に入ってたりしている。配信者や動画投稿者が職業かと聞かれたらどっちかわからないが、今だと、これも立派な職業なのだろう。さらに友達や知り合いの中にも配信をしている人も少なからずいるだろう。そして俺、八神星空もその1人だったりする。


『やばっ』

『上手すぎ』

『神エイムじゃん』

『このランク帯で無双できるのはやばい』


などと、コメント欄には、褒め称えるような言葉が、途切れる事なく流れ続け、同時接続者数は、7000人を超えている。更に、画面の右下には、2Dアバターがある。2Dアバターの体は、左右に動いて、表情や目、口、髪も細く動いている。俗に言う、V配信者だ。そして、配信しているゲームでは、最後の敵を倒し、真ん中に大きく「champion」と、出ていた。


「ふぅ〜チャンピオン取れた〜ランクマッチで、10キル3200ダメージはいい方でしょ。てかもう午前3時じゃん。流石にそろそろ終わるかー。それでは、次の配信で会いましょう。おつかれ様でした〜バイバイ」


こうして、俺の今回の配信は終了した。


『お疲れ様!!』

『せあくん!明日も楽しみにしてます』

『明日も無双期待してます。おやすみなさい』 


コメント欄も、労うような言葉や次への期待の言葉で溢れていた。こう言うコメントが、次も配信頑張ろうという励みになるのだ。


俺こと八神星空、活動名「夜廻せあ」は、高校進学が決まったと同時に配信を始めて、たった一年で、登録者が、50万人を超え、今波に乗っている人気配信者になり、配信者としては、大成功した。配信者としてはだ。しかし、高校生としては大失敗だ。友達は片手で数えれるし、恋人は勿論いない。休み時間は、寝ているか、本を読んでいる。陽キャか隠キャと聞かれたら限りなく後者だ。

だから、おれは2年生からは……


「青春がした〜〜〜い!!!!」


気づいたら部屋で1人叫んでいた。

そう、「青春」今の俺は高校生、そして今は1年生が終わって春休みだ。高校生活の3年間は人生の中で、一番青春を楽しめる時期と言ってもいい。配信を始めたら、こうなるとは思っていたが、やはり青春を楽しんでみたい。いや、楽しみたい。そんな事を考えていたら部屋のドアがゆっくり開いて、タブレットを持った妹が入ってきた。


「せあ兄〜配信おつ〜」

「ありがとう希空。こんな時間まで、イラスト描いていたのか?」

「そうだよ〜せあ兄の配信見ながら、イラスト描いてたから、せあ兄がもっと早く配信終われば、私も早く終わって、寝れたのに〜」

「え…原因俺?」


俺の妹、八神希空は、現在中学2年生で、4月から、中学3年生だ。長い金髪の髪にスタイル抜群の体系。顔は小さくて、整っている。ただ、学校帰りにモデルのスカウトも来たこともあるらしい。更に料理が上手、成績優秀、スポーツ万能、交友関係も広い、俺とは真逆の非の打ち所がない妹だ。しかし、それは仮の姿で、本当は、なるべく家でだらだらしながら絵を描いたり、ゲームしたい半引きこもりだ。そんな妹だが、SNSなので、「ノア」として、活動していて、イラストを投稿すると、万以上のいいねが来る、超人気イラストレーターだったりする。さらに、俺の配信時に、使用している、「夜廻 せあ」の、キャラクターデザインも担当している。簡単に説明すると、優等生、自堕落、イラストレーターの三つの顔を持っている妹だ。


俺の部屋にあるベットに座り、タブレットを触ろうとしていた希空に質問してみる。


「希空、どうしたら青春を謳歌できると思う?」


すると、希空は、タブレットを手から滑らせ、こっちをみる。


「せあ兄、大丈夫頭打った熱あるんじゃない

はい、おでこ出して」

希空はそう言うと前髪をめくって顔を近づけてくる。

「おいおい、兄をそこまで、馬鹿にするな!よてか、俺だって青春をしてみたいよ」


でこを出して近づいてくる希空を止めてベットに座らせる。


「お母さん、お父さん、せあ兄にもまだ青春をしたいという青年の気持ちが残っていたようです。希空はとても嬉しいです。」

「だから、兄をそんな馬鹿にするな。後そんな感じに言ったら母さんと父さん死んでる感じになってしまうぞ。」

「すいませ〜ん。調子のり過ぎました〜」


希空は、家ではいつもこんなノリだ。楽しいが、よく悪ノリが過ぎる事が多い。

その後希空は、少し考えて口を開いた。


「う〜んそうだなー……とりあえず希空がおもうには、せあ兄は、仕事や、配信準備や、DMの返事とか全部1人でしてるじゃん。だから、マネージャー雇うとか、事務所に所属するとかしたらいいんじゃない。」

「まさか、まともな返事が来るとは……。」

「せあ兄も、希空を馬鹿にしすぎね。」

「……なるほど、けどマネージャー雇うのはお金高そうだし、事務所なんて、そうそう入れるもんじゃないしな〜」


「ピロンッ」


そう思ったらスマホの通知がなる。SNSの通知だった。内容は…


「おい希空…有名な事務所「Live with」から、オファー来たんだけど…」

「………え?マジ……。」


その時の、俺と希空は、お互いに顔をみたまま、固まっていた。

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