第24話

「おぉー、ここが世界最大の港町か」

 

 僕はお店から休みを頂き、ミリーナさんとリーゼさんと共にレイオール国の隣国であり、領土的にはさほど大きくはないものの、海に面した国家で世界最大の港町を持つ経済大国であるオミラ公国へとやってきていた。

 

「……ほ、本当にここへと勇者はやってくるのじゃな?」


「うん。そうだよ」

 

 僕はリーゼさんの言葉に頷く。

 経済大国たるオミラ公国……その港街の人口の数は多い。

 人混みの中でリーゼさんは震えていた。


「大丈夫だよ」

 

 僕はリーゼさんの手を掴んで歩き出す。


「ちょっ!?何をするのじゃ!?」


「良いから」

 

 僕はポツリと呟き……港町を呆然と歩いている一人の少年の横を通り過ぎる。


「……ッ!?」

 

 その際、リーゼさんのフードを少しだけ揺らして白髪を見せることを忘れない。


「……何をしておるのじゃ!?」


「大丈夫。全てわかっての行為だから」


「何が大丈夫なのじゃ!?わかるように説明してほしいのじゃが!?」


「しーっ。そんな見た目で『じゃ』とか言って叫んでたら周りに怪しまれちゃうよ?」


「ぬぐッ!?」

 

 僕の言葉にリーゼさんは言葉を詰まらせる。

 ちなみにミリーナさんは宿で待機を命じられている。


「後は全部僕にまかせてもらえれば何の問題もないよ」

 

 僕は独特な……裏の匂いをうっすらと醸し出している肉を焼いている屋台のおっちゃんの方へと向かう。


「ねぇ、おっちゃん!屋台の肉串二本お願い!」

 

 さて、まず言っておくべきことだが、僕の見た目は誰もが見惚れる美少年である。

 店で働いていたときも僕のファンだから来てくれたお客さんも多い。

 イケメンisジャスティス。

 見た目が良ければ大体のことはなんとか行く。


「あいよ……そっちの女の子はどうしたんだ?全身を布で隠しちまって……」

 

 見た目が可愛いって言うのは圧倒的なまでのアドバンテージだ。


「僕の妹なんだけど……ちょっと、火傷しちゃってて……見た目が。ずっと引きこもって、ちょっと強引に外に出しているところだから、取れなくて……」


「なるほど。そういうことか。良い兄ちゃんだな」


 こんな可愛い男の子が悪魔の子たるアルビノを連れているはずがない。

 見た目が良いだけである程度の信頼を獲得出来る。


「なるほどな。今、焼くから待ってろ」


「はーい」

 

 僕はおっちゃんの言葉に頷く。


「あ、おっちゃん。この街に勇者様が来ているって本当?」

 

 僕は笑顔でおっちゃんに勇者のことを尋ねた。

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