第1話

「レイクー、5番テーブルにこれらの料理を運んでー」


「了解しました!」


 僕の名前を呼ぶサーシャさんの言葉に頷き、渡された料理をテーブルへと運んでいく。


「お待たせ致しました」


 僕はせっせっとテーブルに料理を運び、置いていく。


「ごゆっくりどうぞ」


 とある料理店。

 見たことの無い料理が多数出てくると今話題の料理店で僕はバイトとして入り、一生懸命お金を稼ぐ。


「レイク!調理場ピンチ!助けてあげて!ホールは私が頑張る!全力で!」


 聖徳太子が如く10人くらいの言葉を同時に聞き取れるという特技を持つサーシャさんの言葉聞いた僕はホールから人手の足りないキッチンへと移る。

 キッチンにいるのは中年のおっさんただ一人。


 珍しい料理が出てくると話題になったのはココ最近の事。

 いきなり客が増え、仕事が爆増したこのお店では全然人手が足りていなかった。


「手伝います!」


「助かるぅ!!!」


 限界を超えて鍋を振るっていた中年は僕の登場に歓喜の声をあげ、テキパキと仕事を割り振ってくる。

 最初は慣れていなかった、仕事割り振りの仕事にもだいぶ慣れ、かなりの速さでの割り振りが可能となっている。


「よし」


 僕は竈にまきを入れ、魔法で火種を作って投げ入れて料理を始めた。


■■■■■


「ふー」


 しばらくの修羅場を乗り越え、ピークの時間を過ぎれば休憩する時間もできてくる。


「これ、あちらのお客様に」


「はい、了解」


 料理を受け取った僕はもう店を閉めるというギリギリのところで入って来たお客さんのところへと料理を運んでいく。


「お待たせ致しましたこちら、オムライスです」


 頼まれた料理はオムライス2つ。


「ッ!なんだこれは……」


「おー!!!すっごく美味しそう!」


 頼んだお客さんである2人。

 大きなローブを被って姿を隠している本当に小さな少女と腰まで伸びた金髪の髪と青色の瞳を持ったこの国じゃまず見ない服を着た美少女。

 どこかちぐはぐな違和感を覚える二人の少女へと僕はオムライスを運んだ。

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