第16話

 僕が特にやることがなくとも、この国並びにアルビノたちのお仕事はとても忙しかった。

 ブラック企業もびっくりなくらいの重労働を強いられていた。


「これが諸君らの趨勢を決める一戦となる!全てを徒して戦い、団結する必要がある!それが我々の義務である!我々はそれを理解するべきである!」

 

 アルビノの一人が国民に対して訴えかけ、厳しい訓練を化しているのを眺める。

 

『アルは何もしないの?』

 

 僕が何もせず、ボーッと見ているのを見ていた聖剣が僕に話しかけてkる。


「あぁ。うん。しないよ……というか出来ない。魔族式の訓練をこの国の人に化すわけにもいかないしね。物の準備も難しいしね、僕には。僕はどっぷり魔界に浸かっているから」


『確かにそうですね……私の古巣は魔族をあまりにも嫌っていますから』


「あぁ。そう。だからこそそんな魔族たちがこの世界を支配することで宗教の力は弱まり、アルビノは救われる」


『あぁ……その手助けとなれば、私の罪を重ね続ける生にストップをかけられる……』

 

「あぁ、そうだとも」

  

 僕は聖剣の言葉に頷く。


「……ん?」


 ぼーっと眺めていた僕。

 そんな僕も無意味に見続けていたわけではない。

 僕の視力は人間のレベルを遥かに超え、容易に遥か先を見渡すことができる。


「来たね」

 

 僕の優れた視力はこの国に一番近い国へと入っていく大勢の軍勢を確認した。


「あれ?多くね?」

 

 ボソリと僕はその軍勢を見て素直な感想を漏らした。

 来た軍勢の数は魔族の軍の五倍くらいに数が居た。


「待って?これってば割と人類側の全兵力来てない?予想以上にこの国ってば絶望的な状況だったんだけど……」

 

 人類の大人気なさに僕は呆然と声を漏らした。

 たかが一国家を叩き潰すためにここまでするの?ヤバない?


『昔からアルビノは闇に潜む裏の王として密かに恐れられていましたから。本気のアルビノを前に己も本気を出したのだろう」


「……なるほどね」

 

 僕は聖剣の言葉に頷き、平和だった王国とは打って変わって物騒になってしまった国を見て頷く。

 確かにここまで一国家を変容させられるアルビノはまぁ、警戒されるよね。

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