第1話

 魔王となったマキナ。


「あぁーーーーーーーーー」


 魔王となったのはマキナである。

 しかし、仕事が増えたのは僕である。


「ちょっと寝ていい?僕ってば人間だから魔族のように三日三晩……ずっと徹夜でやりきるって難しいんだよ」


「了解いたしました」

 

 僕は数少ない自分の補佐官たちに告げてから聖剣を手にとって瞳を閉じる。

 聖剣には睡眠の質を高める効果を持つ。

 

『おやすみなさいませ』


「うん。おやすみ」

 

 長年空白であった王の座。

 空白だった間、自由に統治していた他領の実情の確認やら古臭い憲法やら。

 新しく王の座についたことで出来た様々な仕事、引き継ぎ業務に加えて普通の王としての仕事もある今、寝る暇もないくらい僕は忙しい生活を送っていた。

 

 執務が良くわからないマキナはお飾りとして立っているため、お仕事はしていない。

 今日も今日とて僕の頼んだ魔道具作りをしていることをしている。


「んっ……」

 

 そんなことを考えていた僕の意識は一瞬にして暗闇へと染まった。

 

 ■■■■■


「んー。ふー。とりあえず寝たな」


 一時間ほどの仮眠を行った僕は


「ごめーん。今から再開する」


「はい。よろしくお願いします」


 僕が執務を初めたと同時に、執務室のドアをノックする音が聞こえてくる。


「どうぞ」


「失礼します」

 

 執務室に入ってきたのは僕が再編し、訓練中の軍部の人間。


「訓練の現状、軍部の現状についてご報告のにまいりました……訓練場の方に来ることは可能でしょうか?」


「……あぁ。うん。行くよ。軍部も大事だからね……実際に目で見るのと聞くのでは全然違うし、うん。行くよ」

 

 僕は入ってきた軍部の人間の言葉に頷き、視線を補佐管たちの方に向ける。



「あぁー、うん。僕が行くよ。後はよろしくね。終わった後、急いで戻ってくるから」


「はい……あの、本当に早くお願いします」


 補佐官たちから返ってくるのは滲み出るような……切実な言葉。

 

「うん。急ぐね」

 

 僕は聖剣を手に持ったまま、駆け足で軍部の方へと向かった。

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