返り血のラスティレッド

@unkno-wn

第1話 血の雨

私の人生は復讐で出来ている。父母を化け物共に殺されてから。師匠に剣を習ってから。毎日、幾度となく化け物を狩り続けている。


師匠の剣は派手に相手を破裂させる様に切り伏せる。その後に降るは血と肉の雨だ。


化け物共を斬り伏せる。それが今の私の人生である。


師よりラスティレッド《血錆色》と名を与えられ、終わりのない、毎日を暮らしている。


ああ、だがそれで良いんだ。


父母のかたき以上に化け物共を殺し回った。


化け物共もなんの理由があり人間を襲うのかわからない。


だが共存出来ぬ以上はお互い殺し合いしか残っていない。


単純に強い者、弱い者の腕試しみたいなもんだ。


私も相手より弱ければ明日降る血の雨は私かもしれない。


「剣に迷いがなさすぎる。」


師匠が、私に呟いた。


「愚直に真剣に真っ直ぐに今まで来たのだろう。

私の剣ですら迷いがある。だがお前の剣には迷いすらない。敵を殺すことに躊躇がない。ある意味免許皆伝だ。俺から教えることはない。だが、その先にはただ戦い続ける日々しか残らない。それでお前は幸せか?」


私は幸せと言う感情は父母を失った時に捨てたのであった。


なので師匠に答えを伝える。

「私に幸せを夢見ることも享受することもすでに切り捨てております。私に出来ることは化け物を殺すこと。それが幸せと言えば幸せなのかもしれません。」


師匠は一言「そうか」と呟くと 

「お前に教えることはない。俺も化け物を殺してなんぼの世界にいる。いずれみっともない最後を遂げるにしろ、化け物が消えるが先か俺が消えるが先か俺とおまえで二手に分かれて化け物を駆除していく方が効率が良い。世界を元の化け物の、いない世界に戻せれば俺達も報われるんだがな。」   


タバコを、ふかし別れを惜しむ様だが最後はやってくる。


「それじゃお達者で、従者のクリム、ラスティの心の支えになってくれ。クリムはまだまだ剣技が甘いのでラスティから技を盗むようにな。そしてラスティの様に心を無くならない様に。ほんじゃーな。」 


そう言うと自分とは逆の方へ歩き出した。


自分達も逆の方へ歩きだす。


化け物共を完全に駆除するために。



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