グリーン 草
仲仁へび(旧:離久)
第1話
草を植えるというなんだかよく分からないゲームを買ってしまった。
たまに変わったゲームをやってみたくなるから、ついそういうわけの分からないゲームを買ってしまう事がある。
大抵はつまらないからちょっとさわっただけで、やめてしまうけれど。
たまに大当たりがあるからやめられない。
まあ、はずれだったとしても百円だったから。
そんなに損しないのが救いだよね。
ゲーム機械にそのゲームディスクをセットして、電源オン。
画面が表示された。
草を育てるゲーム。
そのまんまのタイトルだな。
で、やってみたら、本当に草を植えるだけだった。
これって、何が楽しいんだろう。
まったいらな大地にどんどん草を植えていく。
なんか田植えをしているような気分だ。
草と稲じゃ、ぜんぜん違うんだろうけど。
まあ、百円だしこんなもんだよな。
それから数分プレイした後、予想通りすぐ飽きたので、電源を落とす事にした。
この大地から緑が消え去って、何年経つだろう。
砂漠のようになって、とうとう植物を見なくなった。
せめて一時でも雨季のようなものがあれば、よかったのだが。
それすらもない。
そのため人類は、地下に拠点をうつして、生活している。
若い世代は地上に青々とした草原がある光景を見た事がない。
せめて、一目で良いから映像の中だけでなく、実際にみせてやりたいのだが。
こんな有様では難しいだろう。
そう落ち込んでいたら、なぜか天から草が舞い降りてきた。
舞い降りてきた草は、次々と砂漠の地に植えられていく。
これは幻影か?
なんという事だ。
あっという間に一面の砂漠が草地に変貌してしまった。
瞼を何度もこすったが消えない。
幻じゃない。
これは神の仕業だろうか。
こんな世の中になってしまったが、神は人類を見捨てなかったのだ。
広い心で慈悲を与えてくださった。
急いで子供達に知らせなければ。
あと大人達を集めて、この草地を守る対策会議をひらかなければな。
放置していた例のゲームを久々にやってみたら、なんだか草こえて草原ができて、森になっていた。
これって放置ゲーだったのか?
よくわかんないな。
説明書だってないし。
でも、なんだか悪い気はしない。
不思議と。
だってなんか、森の中で大勢の人達が遊んでるし。
みんな楽しそうだ。
これそういった演出かなにかなのかな。
グリーン 草 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます