第2話 異世界転生しちゃった
で。
目醒めたらいきなり、乙女ゲーム「宮廷の青い薔薇園~貴公子たちに愛されて~」における最大の悪役、ザイディオン公爵令嬢ルクレツィアになっていた私。
断罪イベント真っ最中なのもビックリだけど、そもそも、え? 私、死んでたの?
別に暴走トラックに突っ込まれた憶えとか、ないんだけど、あれ?
確か……夜中にベッドに寝転んで、スマホいじっていた、はず。
寝付けなくて、しばらくプレイしていなかった乙女ゲームやってて。
ああ、それが、この「宮廷の青い薔薇園~きこ……、もういいや、めんどくさい。
略して青バラでいいよね?
で、この青バラ、まあ、ある意味典型的な、庶民的ヒロインが、なぜか本来言葉も交わす機会もない貴公子の皆様とロマンスを繰り広げる、というストーリー展開で。
イラストがめっちゃ好みだったのと、攻略キャラのCVに推しの声優さんがいたんで、始めたんだけど、さ。
うん、何となく、毎日プレイしていたのが、1日おきになり、2日おきになり、週一になり……気が付けば、2ヶ月放置。
暇つぶしにスマホをいじっていたら、たまたまアイコン触っちゃって、ゲームが起動しちゃって。
ま、久しぶりにやろうかな、って進めてみたはいいんだけど。
……まあ、ストーリーそのものは、面白いんだよね。
テンプレって言えばテンプレだけど、ラブシーンとか、わりとキュンとする。
ただね。
「やっぱ、設定甘いよねえ……。なんでそこで、偶然ぶつかる? 護衛何しとんじゃ?」
何の気なしに、気になったことを、口に出して、一人でディスってた。
うん、誰かに言うわけじゃないし、SNSで批判するわけでもないし、独り言くらい、いいよね?
「いったいこの国のコンセプト何なんだよ? 架空とはいえ、もう少し統一感だそうよ?」
ネーミングとか、地理設定とか、時代とか、わりとごっちゃごっちゃ。
「北の方とか、西の彼方、とか曖昧だよぉ? まあ、悪役の追放先なんて、本筋には関係ないけどさぁ? なんかモヤモヤするぅ」
鬱憤を晴らすように、悪口言いまくって。
仕事でお小言を言われまくった憂さを、晴らしていた部分もあったんだけどね。
「こんなんだから、評価☆2.8とか微妙なんだよね……スチルとかボイス、めっちゃいいのにさぁ…………」
…………そこから、記憶がない。
というか、そこから、今現在に突然移動した。
へ?
つまり、なんだ?
自分がやっていたゲームに、しかも、そこまで熱狂していたわけでもない乙女ゲームの悪役令嬢に、転生しちゃったわけ?
夢?
夢だよね? 今の、寝落ちパターンだよ?
誰か、夢って言ってぇ!!
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