第10話閑話 天宮 京

閑話 天宮 京


 天宮京、小学一年生です。


 わたしは人見知りが激しいと言われます。

 昔から知らない人たちから可愛い可愛いといきなり撫でられたり、同じくらいの男の子からは嫌がらせをされ、女の子からは好きな子を取るなと怒られたりして、 私は人見知りになった。

まったく

何もしていないのに可愛すぎるから、可愛いから照れ隠しで嫌な事をする、好かれたから怒られる。

意味わかんない。

みんなと同じように可愛い服を着たいのに嫌な思いをするから地味な服を着る。 友達と遊びたいのに私を嫌っている子もいるから遊べない。

 寂しい。


 一年生になって登校の班で二人のお姉ちゃんが出来た。

緑さんと真津美さんは普通に接してくれるから嬉しい。

でもお姉ちゃんたちは六年生だから来年には一緒にいられなくなっちゃう。

悲しい。


ある日お母さんから近所に同い年の男の子が引っ越してくると聞いた。同じ班になるから仲良くしてあげてとも言われた。

男の子は嫌い。

ブスって言われたり髪を引っ張られたり、嫌がらせをしてくる。

 嫌い。


 嫌がってもその日はやって来た。

 お休みしたかったけどお母さんが、男の子のお母さんが来るから挨拶のために集合場所に一緒に行くと言って強引に連れていかれる。


「今日からお世話になります久下貴光です。一年生ですよろしくお願いします!」


 やって来たのは女の子のような男の子だった。

 太陽に当たるサラサラの髪は時々赤く見える。お肌はわたしよりも白いかもしれない。たぶん男の子、着ている服が男の子の恰好だから。でもニコニコ笑う顔は女の子にしか見えない。

 お姉ちゃんたちにかわいいー!ともみくちゃにされた。


「久我貴光です。今日からよろしくね」


 少しボロボロになって疲れたように見えるけど男の子はわたしにあいさつをしてきた。

ニコニコ笑う顔を見るのが恥ずかしい。


「あ・・・うあ、み、みやこで・・・す」


 声がよく出ない。恥ずかしい。


「うん、みやこちゃんだね。可愛い名前だね」


 我慢できなくてお母さんの後ろに隠れた。


「ねえ久我さん。貴光君は本当に一年生なの?あの顔大人が子供らしくて可愛いとか言ってる様に見えるわよ」


「ちょっと前に熱出して寝込んだら、あんな風になったのよ・・・。病院連れて行った方がいいかしら」


お母さんたちがなにか言っているけど頭の中がぐちゃぐちゃで聞こえない。


「本当に可愛いのを可愛いと言わないでどうするのですか。みやこちゃんの名前は響きがいいし。長い髪は綺麗で顔も人形のように整っていますよ。これを可愛いと言わないでどうするのですか」


 これ以上なにか言わないで。


 男の子の名前はくげたかみつくん。漢字は難しかった。

 次第に慣れていくうちにたか君と呼ぶように私はなった。たか君は私の事を京ちゃんと呼ぶ。少しうれしい。


 たかくんは凄い人だった。

どんな人にも仲良さそうに最初からお話しができる。服も自分で考えてお母さんに作ってもっらていた。

 かっこいい。


「何を読んでるの」

「これですか?これはイギリスの推理小説ですね」


 何か凄いのを読んでる。見ても何が書いてあるのかわからない。


「教頭先生が英語版を所有されていたので借りました。いやぁ高校英語ぐらいまで出来れば本ぐらいは読めるんですね。会話はまだまだ難しいけど、こんど基地の方に行って話しかけてみようかな・・・」


 たか君はときどき話している途中でブツブツ言い始める。

 最初はこわかったけど今はなれた。少しだけこわい。

 でもこちらに気付いたらあやまってくれるから許す。


 たか君といると毎日が楽しい。

 他の男の子みたいに意地悪しないし優しい。女子の友達も勉強会でいっぱい増えた。


 このままずっとたか君と一緒にいられたらいいなぁ。

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