葛藤と味噌汁
卒業式の前に日に、僕は君に告白した。
君の事が好きだった。ずっと片思いしていた。君への愛はもう熟しきっていたんだ。
だけど僕には勇気が無かった。度胸も無かった。怖かった。振られるのが怖かった。最初は告白して思いっきり振られて苦い青春の1ページにしようと考えていたのに。君との関係が終わってしまう、そう考えただけで胸が苦しくなった。
僕の頭の中は葛藤で一杯だった。そうしている内に残り7日、6日、5日、と時間だけが過ぎてしまった。告白をするという事がこんなに怖いとは思っていなかった。自分の気持ちを伝える事はこんなに辛いとは思わなかった。でも、伝えずに後悔するのは嫌だったから。僕は君へメッセージを送信した。
僕が覚悟を決めるまでに随分時間が掛かってしまった。残り2日。自分の気持ちを伝える事は難しい事じゃなかった。ただ、その後の結果が怖かっただけなんだと知った。今までの葛藤が馬鹿みたいだ。こんな簡単な事だったのに。
僕は大事な事を忘れていた。どう気持ちを伝えればいいか分からなかった。好き、愛してる、ずっと一緒にいよう、味噌汁を作ってくれ、こんな誰かの真似事をしてもつまらない。自分らしい伝え方は無いのか。もうブレーキは効かなかった。恋に向かって進む事が楽しかった。もう怖いなんて思わなかった。辛いなんて考えなかった。ベタだけど僕らしい好きを伝える言葉。君に言いたかった言葉。思い返せばこの日からかもしれない。君を苦しませてしまったのは。
「___僕と、結婚してください。」
僕は君に告白した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます