2,ゲットミール・ミートアリス
腹が減っては趣味に支障が出る。なので僕は仕方なく一狩りしにクーラーボックスを肩に掛けて外界へ出た。
この街には海も山もある。海に行けば魚や蟹がギョギョッと捕れるし、山に行けば木の実が山盛りだ。
だからといって僕はそれらには行かない。行き先はコンビニだ。もちろん律儀にお金を払って弁当を買うのではなく、店の裏に回って売れ残った飲食物をごっそりいただくのだ! これで食品を廃棄せずに済む。まったく、世界にはトウモロコシ一粒食えない国があるというのに廃棄するなんてけしからん!
ところが近年、裏に売れ残りを置かない店が増えた。これまたけしからん! どうせ廃棄するなら僕に寄越せ! これで食中毒起こしても店を訴えるような心の狭い僕じゃない。
「おい! 何やってんだ!」
やべ、トレイを漁ってたら裏口から出てきた店長らしきハゲが怒鳴ってきやがった。
「うるせぇハゲ! 食べ物を粗末にすんな!」
僕は吐き捨てて
途中で見つかってしまったものの、どっさり食品をゲット出来た僕は、すっかり重たくなったクーラーボックスに息を切らしながら数百メートルの路を辿る。
「あっ! 出た、え〇し麻呂|(キモオタバージョン)」
ななっ!? 僕を侮辱するこの声は!
「黙れ使用済み! 僕には
え〇し麻呂は僕が住む街の貴族設定のゆるキャラである。この使用済みマ〇コ|(17歳)は僕の体型がえ〇し麻呂に似ているからといって最近そのように呼ぶようになった。
「名前と現実のギャップキモッ! ってか、私にも
「ははは! ガサツ女のくせに何がアリスだ笑わせてくれる! まぁ良い、未使用なら今すぐ僕が使用済みにして進ぜよう。光栄に思うが良い!」
「はぁ!? アンタなんかと誰がするかっての!」
「ははは、何を本気にしている? 冗談に決まっているだろう。僕にだってパートナーを選ぶ権利があるのだ。僕の初めてをキサマなどに捧げる気など毛頭ないわ! まぁ、どうしてもと言うなら百万円払えばしてやらんこともないが」
まったく、学校では腐れ野郎共にチヤホヤされているという噂だが、そのせいか自意識過剰だな。
「うっざっ! マジ超ウザイ! アンタとなんか百万ドル貰ってもやんないわよ消えろクズ!」
「あぁあぁまったく、同じ御伽野姉妹でも妹の
雪姫たんは小学四年生で、黒髪ロングはアリスと変わらないが、なんといっても決定的に違うのは優しい顔立ちだ。
「雪姫に手ぇ出したら命はないからね?」
「何を言うんだキサマは。僕があの雪姫たんに手を出すだと? 万一、いや億一、
「アンタの言うことはいちいちムカつくわね。まぁいいわ、あんまりアンタと話してるとニートが
「フン! キサマなど何処へでも行きたまえ!」
よし、明日は早めにアキバへ行って早めに戻るぞ! そんで、雪姫たんと会うんだ!
だがその日の夜! 僕はマッポーにしょっ引かれた! コンビニで期限切れ弁当をネコババした罪だ! 容疑は素直に認めたが、まったくフードロス削減に貢献したのにこの世はなんて理不尽なんだ!
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