舞妓ひとり語り

@akira-gion

第1話

祇園あきら の ショート小説

舞妓 姫まり ひとり語り     その 1

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【文中の用語について】

(1)姉 ネエ さん

血縁は無く、花街での姉妹の契りを交わした間柄。

(2)男ッさん オトコッサン

舞妓芸妓の着付けなど、いろいろな世話役の男性。

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あたしの舞妓の名前は姫まり。16歳。この名前、メッチャ気にいってます。


今日、お見世出し、デビューどす。ちょっと緊張ぎみ…。


朝早よう起きて、髪結いさんに行って、今お化粧、姉さん(1)に手伝どおてもろてるけど、なかなか綺麗に肌にのらへん。眉がメッチャむずかしいんどす。ヘタすると、おたふくの顔みたいになったりで、あ~イライラするなぁ。


ようやく仕上がり、鏡の中の自分をじッと見つめ続けてると、

「あんた、もう一時間以上も鏡の前にいるなぁ、何してんのん、早よぉ支度せなあかんやんか…」

と、苦虫つぶしたみたいな顔の表情になった姉さんに、叱られた。


この姉さん、口うるさいなぁ、と思いながらも、うちッて、ホンマ、なんて可愛いいんやろ、素敵!

鏡の中で舞妓ちゃんがほほえんでる。

あんた誰?、と語りかけると、姫まり!とニッコリ!

―――――――――――――――

「ほな、衣装つけよか?」

と、男ッさん(2)のノンちゃん兄さんが、ふすまを開けて入ってきやはった。

      (つづく)

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