旅館戦 2

(くそ、足をやられた!)

左足をやられた零の顔に焦りが浮かんだ

「ギャャ」

そしてゴブリンが刺身包丁を振り下ろしてきた

「危!」

バキン

零は間一髪木刀で受け止めた が

「くそ!弾き飛ばされた」

ほぼ不意を突かれたうえ、物理攻撃の値を上げてやっと一般のレベルになった握力では握っていた木刀は吹き飛ばされてしまった

「くそ!」

バコ 

どうにか蹴りを入れてゴブリンを弾き飛ばし距離を取ったが

「この足で素手でやり合うとか無理だろ」

(何か武器になる物は、、、足に刺さってるこれだけか)

運悪く周りに武器になりそうな物は無く目に入るのは左足に刺さった包丁だけだった

「ぐぅ、、良し」

零は左足から包丁を抜いて構えた

しかし

(今の俺が包丁装備で戦えるか? 流石に無理がある。 せめて相手の動きを止めないと)

間合いが小さく素早い動きの必要な包丁では残ったゴブリンを討伐するのはかなり厳しい

(何か無いか?)

零がそう考えていると

「「ギャャ」」

包丁を持ったゴブリン二体が襲いかかってきた 思考加速をもってすれば避けれるのだが

「危っ、痛っ!」

怪我のせいで躱し損ね

シャ

「くっ!」

左頬を切られてしまった さらに

「ギャャ」

先ほど包丁を投げてきたゴブリンが突進してきた

ドン

「く!」

幸い受け身を取ることはできたが

「ギャャャ」

「しまっ!」

刺身包丁を持ったゴブリンが隙だらけの零に包丁を振り下ろした

ザシャ

「グァ!!」

(く、そ。重ね着していた服のお陰でそこまで深く無いが利き手をやられた)

零の右手に浅くは無い切り傷が出来てしまった

(マズイ、どうする、、、利き手をやられたんだ、包丁で攻撃を受け止めることすら厳しいぞ)

零の顔にさらに深い焦りが出た 

「くそ、、、ここまでか」

(怪我したせいか寒くなってきたし、、、)

「ん?、、、あ、」

零が寒さを感じる右を見た目線の先には

「、、、これなら、、行けるな!」

零がそう言葉を漏らすと同時にゴブリン達が再び襲い掛かってきた

「「ギャャ」」

「、、、そこだ!」

ガタン

シュー

そうすると零は自分の右にあった密閉された箱の中身をゴブリン達にぶち撒けた すると

「「ギャ、ギャャ!」」

ゴブリン達は悲鳴を上げた

「魚を冷やすためのドライアイスをぶっかけられたらたまったもんじゃ無いよな!」

そう言うと同時に零はゴブリン達に突撃し

「まずはお前だ!」

零はまず体勢を崩した刺身包丁持ちのゴブリンに襲いかかった 

ズパン

「ギャャ」

「武器貰うぞ」

そして凍傷と斬撃によって絶命したゴブリンから刺身包丁を奪い取った さらに

「隙だらけだな!」

ズパン ズパン

「「ギャャ!」」

包丁持ちのゴブリン二体を二太刀で切り伏せた

(刺身包丁結構深く切れるな、、、マグロ解体する力は中々だな)

「ラストはお前だ! 返すぜ」

シュ

零は包丁を自分に投げてきた素手のゴブリンに左手で投げつけた  

しかし左手で投げたためゴブリンには当たらなかった だが

「意識逸らしたな! そこだ」

ズパン

意識を逸らさせれたので仕留めることができた



「はー、はー、はー、、、良し、勝った」

死線を潜り抜けた事で緊張の糸が切れた事で零は息を切らしていた さらに

(勝てたとは言え、かなりの大怪我したな、、、初日から予定が崩れたな)

左足と右足を深く切ってしまい戦闘への影響はかなり大きい

「一先ず、一回部屋に戻るか」

そうして零は一度部屋に戻ることにした




「にしても痛いな、、、刺身包丁とか衛生的にやばいし、消毒液とか絆創膏、貼っとくか」

部屋に戻ってきた零は持っていたものを使って応急処置をしようとした

「そういや、絆創膏とか消毒液ってどれくらい効果あるんだ?、、、鑑定」



絆創膏 

持続回復 レベル1


消毒液

毒回復 レベル1



「、、、しっかりと効果あるんだな」

身近な治療器具にファンタジーな効果があることに驚いていた すると

「ん? これ、、、温泉にも何かしら効果あるんじゃ」

零はふとそう漏らした




温泉

魔力回復 レベル3

肉体回復 レベル3

精神回復 レベル1

異常回復 レベル2


「うわ、、、凄いな」

温泉に二人訪れた零は鑑定して判明した温泉の効能に驚嘆の声を上げた

(これならある程度回復出来るか?)

そう考え、零は服を脱いで温泉に浸かった



30分後

「ふー、かなり回復したな」

(これなら、旅館制圧に行ける)

温泉に浸かった零の体の傷はかなりの回復を遂げた



「さて、、、行くか!!」

服を着た零は声を上げて今度は脱衣所から旅館内に入っていった




2時間後

「はー、はー、よし! 制圧完了」

慎重に制圧していたので時間は掛かってしまったが零は遂に旅館の制圧を完了した

「一先ず、目標である達成だな、、、ただ、生存者は俺だけか」

零は目標を達成した事を喜ぶと同時に生存者が自分だけだった事に焦りと鎮魂の念を浮かべた



「今日はもう寝るか、、、明日は街の探索だな」

そうして零は鍵の掛けれる部屋に閉じこもって睡眠をとることにした




翌日 6時

チュンチュンチュン

「、ん、、んん、朝か、」

零は雀の囀りと共に目を覚ました

「世界が変わっても朝は変わらないな、、、さて、、、行くか!!」


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