過去のベニスのとんでもない社会


 十八世紀のベニスは、それはもうとんでもなく乱れた社会が形成されていたことで知られている。

 それがわかるいくつかの例を列挙してみよう。


 住民たちは、昼も夜もギャンブル三昧で、とにかくギャンブルをしていないとベニスの住民ではないといったほど。

 それは神職の者ですら例外ではなく、神父の一人はルーレットで負けて身ぐるみを剥がされ、裸で教会へと戻り、そのまま説教をしたという逸話がある。

 尼僧(シスター)の服装もすさまじく、胸を露出させているなど当然で、あまつさえ真珠をその胸に飾り、来訪中のローマ法王の大使を、我先にと誘惑していた。

 さらに、貴婦人は愛人をかねた召使いを持っていないと恥とされていた。


 なんともすさまじい社会風俗である。現代ならば、とても考えられないが、当時はそれが普通で、それが正常とされていたのだ。

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