キョドり吸血鬼の過去話に新米吸血鬼は口惜しがる。
最初の店を出てから2軒ほどハシゴしたわたし達は、志摩子さんに誘われるままにタクシーに乗り彼女の家だろうか? 2階建ての
「ここは?」
「私の祖父の家よ。京二、先に和子さんにお客様が来たと言って軽い飲み物と簡単につまむものを頼んで来てくれる?」
「了解、志摩子さん」
2人とも同じぐらい呑んだ筈なのに、一滴もアルコールが入ってない様に見える。
わたしは、もうベロンベロンに酔って自制心の欠片も無かったのに。
「悟史さん。今日は連れ回してごめんなさいね。お会いして嬉しくてつい……」
最初に出逢った時から隠すことなく好意を向けてくる志摩子に、わたしは
白くヒンヤリと冷たい白魚のような手に引かれ応接間らしき部屋へと通される。
お手伝いさんらしき年配の女性がテーブルの上に用意した飲み物とツマミを口にしたのは覚えていたが猛烈に眠気が襲って来て、
◇◇◇
「ち、ちょいまて! いや、いやいや、思い出したくない記憶?! 違うだろ。そりゃ、どちらかといえばオイシイ記憶じゃね?」
俺にとっては、どうでもいい話をダラダラ語ってたキドが急に憎らしくなってきて、話の腰を思いっ切り折るついでに奴の腕の一本でもポッキリいきたい気持ちが
「
褒めては落としてる。志摩子さんに魅了しつつも頭が上がらないみたいだ。
「
「分かりました和希さん。コホン、それでは続きをば……」
◇◇◇
「――志摩子さん?」
深い沼から上がったような粘ついた空気が、その部屋には垂れ込めていた。
こめかみが脈を打つような痛みに思わず顔を
「…………」
影はわたしに馬乗りになり口づけをしてきた。わたしもそれに応える。だが、何か凄い違和感を感じ押し退けようとした途端、部屋の電気がパッと点いた。
「本間……。何で?」
「京二、私を出し抜いて何をしているの?」
違和感の正体が分かった。本間の唇は私の血で真っ赤に染まっていた。
まるで、赤い紅を引いたように……
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