愛してるんでしょぉ?
「イィ加減さァ? 心決めてよう」
彼の肩を引き寄せるように抱きついて、耳元で甘えるように囁く。何回あっても私にドキドキする男のくせに。
「子供がいるんだ。妻もいる」
「そんなカッコでさァ? 家族語られても笑い草だよ?」
下着一枚で険しい顔をするオトコってこんなに面白いんだって心から思う。笑わないように気をつけなきゃね。
「アンタはさ? 神父に立てた誓いも、役所に出した届けも、ぜーんぶ反故にしてんの。今更家族どうこうじゃアタシ負けないヨゥ?」
「……」
「色々難しいんでしょ? わかるヨ? だけど、アンタはアタシのこと絶対に忘れられないんだよネ? 覚悟できてる?」
彼は肩を振るわせ、泣いた。家族に対する申し訳なさなのか、アタシに対して感情が高まったのか。
「よーし! じゃあサ、使われてない式場で二人きりで秘密の式をあげよ? で、そのあと頃合いを見て別れたらいいのヨ。アタシもアンタのこと好きだからサ。急ぎすぎちゃったヨ。ごめんネ」
金蔓。と心の中で続けた。彼は噛み締めるように頷き、そんな式もいいななんてぶつぶつ言ってる。馬鹿みたい。
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