第43話 あんたはすごい!
突如、部屋にファンファーレのような音楽が鳴り響き、色取り取りの紙吹雪が降ってきた。
これはボスに勝利した時の演出か?
カスクソ邪神がわざわざ用意したのかな?
おや?
突然俺の前に白い台座が現れた。
高さ五〇センチくらい、幅と奥行きは三〇センチくらい。
西洋建築物の柱のような彫刻が施されている格調高い逸品だ。
その上には、茶色の台座に載った金色の優勝カップのようなものが置かれている。
高さ五〇センチくらい、カップの直径は三〇センチくらい。
台座には金色のプレートが取り付けられていて、そこには『あんたはすごい!』と赤い文字で書いてある。
ナニコレ!?
もしかして、これが記念品なのだろうか!?
これは何に使うものなんだ?
売却用?
それともよポイントに変換できるのか?
まあ、いいか。
とりあえず、もらっておこう。
俺は優勝カップを手に取った。
するとその直後、白い台座は消えてなくなった。
役目を終えると消えるのか。
そういえば、紙吹雪もいつの間にか消えているな。
こいつらも魔法なのか?
便利なものだな。
「同志、何か出て来たゲスッス! これは何ゲスッスか?」
シャワイヤーの前にも、俺と同じ優勝カップの載った台座が出て来たようだ。
「それが記念品みたいだ。受け取っておきなよ」
「分かったゲスッス」
では、後始末をするか。
人苔は売れるのだろうか?
神鑑定してもらおう。
「分かったぜ! ハヤトたちは休んでな!」
サンクトが儀式を開始した。
では、お言葉に甘えて休ませてもらおう。
「おっ、来たぜ!」
「どうだった?」
「そいつの苔の下は金属になっていて売れるらしいぜ! あまり高くはねぇけど、苔自体も売れるらしいぜ! それからその頭の草は美味しくて人気があるらしいから、それなりに高く売れるそうだぜ!」
「そうなのか」
なら、草は持ち帰らないとな。
他は全部持って帰るのは無理そうだから、苔を取り除いてアイテムボックスに詰め込めるだけ詰め込んでしまおう。
「サンクト、この優勝カップも神鑑定してくれ」
「分かったぜ!」
サンクトが再び儀式を開始した。
俺は人苔を解体して、奉納部位と草と金属をアイテムボックスに入れた。
「おっ、来たぜ! こいつはただの記念品だな。奉納してもよポイントにはならないそうだぜ!」
「えええええっ!? 本当に記念品なのかよっ!? 売れたりしないのか!?」
「そこは何も言ってなかったぜ! 持ち帰って孤児院にでも飾っておいたらどうだ?」
「それは院長に怒られるんじゃないか? まあ、いいか。こいつは持ち帰って売却してみよう」
さて、もうここに用はないな。
帰るとするか。
ダンジョンの入り口に戻って来た。
では、まずは奉納をしよう。
五千よポイントもらえた。
さすがは四文字ランクのボス!
高ポイントだな!
次に買取所に向かった。
草は一本千ジカァ、金属は全部で二十万ジカァで売れた。
優勝カップは売れなかった。
どうしよう、これ?
院長にプレゼントしてみようかな?
孤児院に帰って来た。
院長に優勝カップをプレゼントしようとしたが断られた。
仕方ないので、ふたつともアイテムボックスに入れておいた。
アイテムボックスの肥やしになりそうだな。
寝室にやって来た。
「さて、今後の話し合いをしようか。割とあっさりとボスを倒してしまったけど、これでスローライフ邪魔し隊を倒せると判断するのは危険だと思うのだが、みんなはどう思う?」
「うむ、その通りじゃな。一回勝った程度では不十分じゃろう」
「他の四文字ランクとも戦ってみるゲスッス!」
「経験を積むのである」
「そうだな。では、他のヤツとも戦ってみよう。明日はシレモンの居場所を調べてみようか」
「うむ、それが良いじゃろう」
「スローライフ邪魔し隊の情報も収集した方が良いのである」
「そういえば、調べてなかったな。では、それの資料も探してみようか」
「さて、よポイントがたくさん手に入れたから、魔法を購入しようか」
「そうゲスッスね。おいらも購入するゲスッス!」
では、何を購入しようか?
空を飛べる魔法でも買おうかな?
おっ、これは!?
『シチローが拡大魔法を覚える』というものが売っているぞ。
お値段は千よポイントだ。
これはどういう魔法なんだ?
文字通り対象を大きくするのか?
そうだとすると、かなり強力な魔法なのではないか?
これを購入してみようか?
シチローの意見を聞いてみよう。
「ほほう、強そうな魔法じゃな! ワシは購入に賛成じゃぞ!」
「なら、購入してみるか。 ……よし、購入したぞ。どうだ、魔法は使えそうか?」
「うむ、ちと試してみようかのう」
おおっ!?
突然シチローが大きくなったぞ!?
縦横一メートルくらいはあるな。
「どうじゃ、ワシの新たな魔法は?」
「強そうだぞ! これで体当たりの威力がさらに増したな! 頼りにしているぞ!!」
「そ、それは、ほどほどにな……」
「他のものは大きくできるのか?」
「やってみようかのう。 ……ううむ、どうやらワシにしか効果がないようじゃ」
「そうなのか。元には戻れるのか?」
「それは可能じゃ」
「どこまで大きくなれるんだ?」
「これが最大のようじゃな」
「そうなのか。ん? その大きさならシチローに乗って移動できるのではないか?」
「それは…… やれなくはなさそうじゃが、人使いが荒いのう……」
「そう言うなって! ちょっと試し乗りしてみよう!」
外に出て、シチローに乗ってみた。
速度を上げすぎると振り落とされそうになるけど、そこさえどうにかすれば問題なさそうだ。
手綱とかシートベルトみたいなものがあれば良いかな?
店で探してみよう。
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