(二)-22
土地建物を売るのは断念するしかないようだった。それとも近所の農家を回ってお願いでもしてみるか。しかし、それには仕事を休んでしばらくこっちに来なければならない。一週間くらいで土地を買ってくれる人が出てくるだろうか。住居用地に登記を変更して売れればそれに越したことはない。しかし、実際に実家の近所の土地には売り地も多かった。もしも売れなければ、毎年固定資産税を払わなければならなくなる。派遣で働く俺にはきっと負担が重い。
それに俺がいまさら兄のように農家を継ぐなんてできないし、まさかこっちで暮らすわけにもいかない。
その後、昨日西山さんから教えてもらった老人ホームに電話してみた。三箇所あり、そのどこも現在満室だそうだ。しかもそれぞれだいたい十件前後の予約待ちがあり、順番待ちとのことだった。
母のこと、実家のこと。本当にどうしたらいいのだろうか。そう考えると、ため息しか出なかった。
(続く)
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