(二)-8

 俺は一瞬なんて言おうか言葉を選んだため、一瞬沈黙の発言をしたが、再び西山さんが「なにか?」と声を掛けたので、慌てて僕は「知っていたら教えて下さい」と言った。なんとか無事におかしくない言葉を出すことができた。

「はい、何についてでしょうか」

 そりゃそうだ。何について聞くべきか。えーっと……。なんとか「遺産相続」というキーワードを絞り出した。それだけ言うのも、なんなのだと思われるだろうけれども。

 西山さんは「あぁ」と言った後、しばらく考えていたようだった。俺も何も言わなかったので、というより言葉が続かなかったので、西山さんはすごく困ったハズだが「私の訪問先でもときどきそういうことがありますよ」と笑顔で答えてくれた。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る