第3話 再会



 カッとなると、すぐに熱が出るのは昔からで、ずきずきし始めた頭を押さえながら、外に飛び出した。


 もし、サイレンに遭遇しても変態に遭遇してもうまくやり過ごせば、平気なはず。

一番嫌なのは、昔ならやり過ごしていたそれらを、最近になって急に「怖い」だと思い始めたことだった。

知らない人に絡まれていたとき、通りかかった未知が「怖かったね、平気?」と一度助けてくれたことがあった。

「こういうときは助けを呼ぶものなのか」と知ってしまって。

「怖いと思うものだったのか」と、知ってしまった。怖いなんてろくに知りもしなければ、普通に出歩いていたのに。胸がきゅうっと捻られているみたいな、心臓が冷たい空気を吐き出しながらどくどくと震えているみたいな。身体が冷や水に浸かってしまってるみたいな。


ふるえる足に、落ち着けーといい聞かせて落ち着かせる。辺りは夕焼けに染まっていて、どこか切ない気分になってきた。 合コンなんかいかない。行ったこと無いし、なんかつまらなさそう。


適当な偏見と共に、本当はただ、自分の裏を探されるのがたまらなく嫌なだけだと気付いていた。

 「あ。そういえば、ハンバーグを焼く途中だった」

視界に、風景を映す。

世界は綺麗だと思う。

たぶん。

うわべだけでも。


「いつまでも甘えるな」って、言われているみたいだ。

人の優しさも、自分の優しさも。

いつから綺麗なものに、見えないんだろう。












 しまった、あの人の名前くらいは聞けば良かった。と思いながら、ところどころタイル張りになってる道を歩く。橋になっているから、下には川があってたまに鯉が泳いでいる。

歩いてしまえばたいしたことが無いもので。怯えないように力を込めて地面を踏む。

暇だからという理由で、友達に電話をかけた。

「とうじちゃん」

嫌そうに、ちゃんはやめてくれと言う。

「なに、今忙しいんだけど。お前と違って、課題で」

「う゛っ」

グサグサと突き刺さる言葉の刃。

「ありがとね、忙しいのにっ」

を、切り返して笑顔を作る。車が右に左にと走って流れていくのを見ながら、町中で、その場に居ない相手の声を聞いて想っているという事実に、不思議な感覚になる。

「どうした?」

真剣に問われて、少し狼狽える。


「いや。そのさ」

「あぁ」

「……なん」

なんでもない、と言おうとした。

「なんか、行きたい場所にたどり着きたいと思う程、何かに阻まれてしまうみたいな気持ちって、ないか」

なにもない、はずなのに。

「えっ。なに、それ?」

「いや、うまく、言えないんだけどさ。何が怖いのかもわからなきゃ、悲鳴さえ上がらないんだってことで」

正体のわかりもしない何かに、ずっと縛られて、怯えていた。

「いや。以外と今の自分になるために、大きな代償、払ったんだなって思ってねー」

「そりゃあ、救われる話だ」

「うふっ。そーでしょ。今、それについて考えてるとこ」

泣かなければ辛いことなんかなくて、笑っていれば辛いことなんかなくて。自分が少し耐えて笑っただけで、廻りは笑顔になり、評価が変わる。気にしたことがあっただろうか。


自分が何を思ったのか、なんて。


「たとえば、急に、心臓がバクバク言ったり、何気ない風景で何かを思い出してしまったりさ」

「あぁ。止まっていた、隠してたものが、今更、返って来たかもしれない、みたいな?」

「たぶん……」

彼は少し、寂しそうに相づちを打ってくれた。怖い、とか、助けを求めるっていうことを教えてくれたのは冬至だった。

「まぁ、落ち着けよ、ゆっくり向き合って行けば?」

少し困った顔をしながら、ははっと笑って言われる。

「あぁ、そう思って。メモ帳とかに、最近は単語で思ったことを書くようにしているんだ」

いい心がけだな、冬至は笑った。




通話を終えると、なんだか少し気が楽になった。帰って夕飯を食おう。

 簡単なことでずいぶん喜ぶし、ずいぶん落ち込むし、ちょっとしたことで過剰なまでに恐怖を感じる。だけど何があったのかは全く認識してない。たぶん、なにかあったんだろう。


のびのびとした線を描く雲を眺めながら、淡い色の夕焼けを見上げる。

弾むような鳥の声が心地いい。

ああ、世界は綺麗だ。

 少しツンとした冷たい空気が肌を撫でていく。

心がかきむしられるみたいに、じんわりと痛んだ。



「っ……」

それが何に対する悲鳴なのか、警告だったのかも知らないまま、ただ泣きたくなって、どうしようもないくらい世界に一人な気がした。

『いい心がけだな』

メモを書こうとして、涙が出てきたのもそのせいだろう。

愛される自分も

きれいで居たい自分も

『体格かぁ』

『こんなので伸びるのかな』

『何事も、挑戦しないと』



 それは、昔の自分が、必死に築いてきたものなんだと、ふいに思い出した。





自分をどう築いたところで、嘘だ、裏がある、と人は言う。

けれど、俺はそれを、正面から受け入れていた。悔しいって思うこともなく、昔の自分を、何度も閉じ込めたのだ。


傷つかないように。




町中なのに、中々涙が止まらなくて30分くらいは泣きじゃくっていた。

















夕飯を食べ、片付けて布団を敷く。明かりを切ったのに中々眠れない。眠れない、とメモしておいた。特に意味はない。怖いことや不安なことを、記して自分へのヒントにしてるだけ。

 誰にもなにも言わず、この世界自体から解放された方がマシなんじゃないだろうかって思ってしまうときがある。






「……」

そうだ、とメモを取る。《寝る前に思い出すこと》

いつだって人は、別に俺に愛されたいわけじゃない。

『理想像』に愛されたいだけ。だから理想を壊したくなる。だけど、誰も居なくなるじゃないか。この病はいつ終わるだろう。いつだって周りは、俺よりも事態を深刻に捉えすぎている。ただ、話をしてわかりあって。と行く気は、誰にもない。

「あー、だめだ、余計、眠れん」

ごちゃごちゃしてきた思考を戻すように、いい心がけだと言われたことを考える。

「ふふっ。褒められた♪」











朝、目が覚めて少し散歩して戻ると玄関に姉の靴があった。帰ってきたのかなと、部屋から気配。見ていると、枕元に置いているメモをぱらぱら読んでいた。

「あぁ、だからなのよね。うん、昔から……」

などと呟きながらページをめくっている。

「なぜ言わないのかしら」

勝手に納得して。

相談したいのなら自分で言うだろう。もやもやしたまま、気づかないふりをして洗面所に立った。









 早めに学校に着くと、普段使ってない、教室の隣の空き教室に入る。

理由はないけど、静かだから。ちらりと机にある鞄たちを見る限り、未知は今のところ登校していないらしい。

人混みは嫌いだから、だいたいこうして人を避けているはずだったのに。

「おはよう」

背後から聞いたことのある声がして、びっくりする。

「あー!」

振り向いて、見るなり叫ぶ。あの茶髪のヤツだ。スーツ姿ですぐ目の前に。

「いやー。ここの、先生なんだーけどっ♪」

けどっじゃない。全然、けどっじゃない。

「な、なん、なんであんた!」

「いや、だからぁ。この前事故で崩れたんだよ、家」

「はぁ」

瓦礫の下に居たわんちゃん。そもそも、整備された歩道で通っていたので、道端に瓦礫が積み上げられてることが異様だったんだ。

「で、パニックだったんだ。あのときは犬助けてくれてありがとな」

「は、い?」

その日は、普段使っている道からは離れているのにわざわざ歩いた。

それが幸いした。

そしてたぶんこの人の……

いや、待て。

「い、いえと、教師になんの関係が?」

彼は顎に手を当てて考えるしぐさをしてから言う。

「ああ、それ自体は無い」

無いのか。









教室に入って課題をする。

「やばい、楽しい」と声がしていた。何がだろうと手を止めて廊下を見ると、数人が集まっている。携帯で何かを見ているらしい。

ちらりと遠巻きに覗くと、画面の向こうでは、知らない女の子がうろうろと辺りを見渡していた。何かを探しているようだったがいっこうに見つからない。そしてその様子を複数で観て遊んでいるみたいだった。

 たちの悪い遊びだなと思ったが俺が言っても聞く気はないだろうし、と朝からなんだか嫌なものを見た気がして。

階段を降りる。

グラウンドにでも出てよう。

昔言われたことがある。『きみの困った顔が見たい』『虐めたくなる』なんだかあれを思い出す。自分を虐めるのは自分だけで充分なのに。すでに立っているのもやっとな誰かを、わざわざ苛める意味があるのだろうか。



走って降りて、廊下を歩く。意外とあっと言う間に昇降口に出てきた。

靴を履き替えて外に出ると、一気に冷たい風が吹いてきた。

「うわ、寒いっ……」

凍えてしまいそうだ。腕で身体を支えながらしゃがみこむ。それから立ち上がり、意味もなく歩いた。どうやら未知はまだ来てないみたいで、暇だなと思う。


ぐるぐる歩いていると、背後に気配を感じた。

でも誰も居ない。

今は引っ越したけれど、昔は近所の家に住んでいた人が出掛ける度にずっと付けてきていたことがあった。


あのときは、出歩くのも怖くなってたっけ……

まるでドアを開ける音がわかるみたいで、常に見張られているみたいな気持ちだったし、物がなくなるときもあって、心配で出掛けたくなかったりもした。何が興味があったのかは、今はわからない。

終わったことだ。


今はそんなことより。


「甘いもの食べたい」


なにか。甘いものないかな。ふらふらと揺れながら砂利を踏みしめる。


ふと、友人が、登校してくるのが見えた。

手を振ると、困ったように笑って手を振りかえしてくれる。


「おはよ」


「はよ」


他人に甘えるのは苦手だ。でも、誰かに優しくすると、甘えたみたいにぽかぽかとあたたかい気持ちになる。

「どうした?」


でも未知に何かできそうなことは今はなくて、少し寂しい。


「なんでもないよ」


「すごく、しゅーんとしてるぞ?」


「何かして欲しいことある?」


「お前がむしろ、そんな感じだけどな」


何も言わずに居ると、未知は教室行ってくるわと言って、ぽんと頭に手を置いて去って行った。


「……背が小さくなるだろうが」


ぼそっと呟く。

子どもではないのだから。風が強く吹いてふらっとよろけた。爪先で立ってみたり、ぴょんぴょんと跳ねてみる。

 よし、これで伸びるはずだ。左側、鉄柵の向こうに見えているグラウンドをゆっくり3周することにした。



たったっと地面を蹴っているうちに、汗をかいた。最近は運動不足だったから、余計に少し何かしただけで、苦しい。

少しくらいは鍛えないと。


ちらりと、校舎の時計を見ると、ホームルームまで30分くらいあった。暇なので近くの草むらに行き、四つ葉を探す。

小さい頃はよくやったものだ。


「お前、教室もどれよ」

声がする。

見上げたら、先生になった人。涼しい顔で、こっちを見てる。

「まだ時間ある、あんたも探す?」

「あんたじゃない。名前を呼べ」

「名前、知らない」

 じっとその先生を見つめる。

「知らない? ああ、そうか。俺は浜梨 裕だ」

「名字は嫌い?」

「まぁ、ちょっとゴタゴタがあってな。お前は確か一年の、友郷 砂季」

ちっ、と舌打ちする。呼ぶな。

「反抗的な生徒だなっ」

ひょい、と両腕で簡単に抱えられて、いらっとする。このセクハラ教師。

「教育委員に訴えてやる」

「ん、じゃれてただけだよなー?」

「おろしてください……」

なんかバカらしくなってきた。足をばたばたしていると、下ろされる。

「お前って案外あれだな、お人形かと思ったら、

やっぱり相応にガキ」

「っ……!」

無視して教室に行くために、そいつに背を向けて歩きだす。

きらい。きらいだコイツ。

「俺も行くー」

後ろからそいつがついてくる。

後から聞いた話だと、浜梨先生は、国語の先生。入院した奥さんも先生で、その代わりに来たらしい。ああ、最悪。俺を『いい人』と呼んだ甘い声が耳にこびりついてる。











 やがて授業が始まると、比較的平和に時間が過ぎていく。

学級委員長をしている子が二度目に「起立、礼」を、言った辺りからは、眠くなってきていた。

ぽかぽかと日差しが差し込んできてすぐに眠たくなる。

気がついたら3限は寝ていて、先生に起こされた。

「お前だけ起立してねーぞ」

目の前に居たのは、浜梨だ。

「え、あ、ああ、ごめんなさい」

あわあわしながら頭を下げる。

「今日から、入院した先生に代わって俺が授業をしていきまーす」

浜梨が自己紹介を始める。女子から、ちらちらとがっかりした声が上がる。たぶん『奥さん』辺りに。

薬指には、指輪……

「おい、聞いてたか!」

当人に声をかけられ、ハッとする。なんで、俺は泣きそうになっているのだ。違う違う。関係ない。

「すみません」

謝ると、愛姫から今日はぼんやりして珍しいねと言われた。

「今日は?」

多城からは「今日もだろ」と言われる。くっ。



















 授業が終わると、走って廊下に出た。

内容が頭に入らないなんて、ペットの亀が死んだときと、小学生のときに親戚の訃報を聞いたときぶりだ。

なんだ、これ。

廊下を歩いて階段を降りながらモヤモヤを抱える。

「おーい、友郷」


背後から声。

「っだから、名前を呼ぶなって!」

いらっとして振り向くと浜梨だった。

「わぁ裕先生だー」

「棒読みだな」

「俺に何か用?」

「いや、急に悲痛そうに教室出ていったから、気になってな」

「先生って、結婚してんの?」

じいっと見上げると、彼はひそっと囁く。

「いろいろ、だな」

なんだそれ。

「まあいいよ、別に。先生の用事は」

「えっ、まさかお前の用事これ?」


俺は答えない。

「いや、だから、お前が悲しそうな理由を」

「俺って、自分を愛することが、苦手なんです」

それだけ言ってすたすたと歩く。もういい。なにがだろう。でも。

「えっ、さっきの話に、なんの関係が?」

先生が戸惑う声。

「特にない」

早く立ち去ってしまいたくて走っていると、追い付かれた。


「ちょっと、待て」


腕を掴まれる。


「なんですか……」


じろっと睨む。

なんかやめてほしい。


「お前、俺が好きなの?」

答えない。ぶんぶんと首を横に振る。


「さっさと次の準備に行けよっ」


「廊下、走っちゃだめだよ」

まっすぐにこちらを見てくる目。

目を合わせたくなかった。なんで意識しているのだろう。


「……はーい。わかりました」


なんだろう。なんか。なんか。


「指輪は、人避けだよ」


ぼそっと耳にかかる息。

「え?」



浜梨は居なくて、俺は呆然と立っていた。


4限は頭に入らなくて、5限も入らなくて、いつのまにか6限だった。

自習だと、委員長の化倉が黒板に書いてプリントをみんなに配布していく。

「化倉」

呼ぶと、小柄な彼――化倉舞踊は、なんだ? と不思議そうにこちらを向いた。丸い顔立ちと少し厚い唇、ぱっつんと揃えられた前髪が、彼の性格を思わせる。


「いや、プリントは任意?」

「うん。そう、らしいけどね」


じゃあ書かなくていいか。

 鞄にしまいながら、このもやっとした気持ちにはしまう場所がないなと思う。

そういえば何人目かの誰かのときもそうだった。周りが沢山ついてくるせいで、とてもじゃないがデートなんかしてる場合にならずに放棄していたら別れを切り出された。

 あれもなんだか、せめて、もう少しまともに会話をしてからにしてくれと思ったんだけれど、結局うまくいかなくて。


どうせ、外側にしか興味の無いやつしか付いて来ないのに。

なんでだろ……

(っていうか、奥さんは? 既婚者なの、なんなの?)






「なんかさ、あふぉりっているだろ」

隣の席から、多城が話しかけてくる。

「誰それ」

「さっきみんなで、見てた子」

「は、はぁ」

たしか、揺沢あとりという子が居たな……

ふと思い出す。

周りとは、あまり話さない女の子だが、別にいじめられることもなく、周囲と絶妙な距離を築いて一人で趣味に没頭してる。顔は悪くないが、不思議ちゃんと名高い。

でも、女子に限らずクラスメイトなんてあんまり覚えてなかったのだ。

「あの子、どこか抜けてるから裏でアホ呼ばわりされてるんだ」

「へぇ」

やばい。

至極どうでもいい。

「で、その子がなに」

「プリント、どうしようかなって」

ちら、と化倉が見た席は、一番右側の前列で、俺のいる真ん中の列の後ろからは遠い。

「持ってったら?」

「めんどい」

「あふぉりとか呼ばれてんの、その子は知ってるわけ」

「さあ、あまり興味が無いんじゃね?」

たぶん浸透してるだろうそれを、興味がないって、さすがだな……

「っていうか、なんでそんな扱いになってるの。ほっとけばいいのに。別に誰も迷惑してなくない?」

「あー、それがね」

「今日、夕飯何かな」

「おい……」

ぺし、と頭をはたかれる。

「痛っ」

「なにか知らないけど。

まぁお兄さんまで知っていて言ってるらしいから」

「ああ、あるよな、そういうの」


 俺にもあったなぁ、としみじみと思い出す。

クラスで、知らない人と付き合ってる噂を流されたときだ。率先して横からからかうのは姉だった。

 そして家族がそんなことを言うものだから尚更に公認感が出てしまって、行き場をなくした気持ちに苦しんだのだ。

理由を聞くと「面白いじゃん」なのだから、たちが悪くて、好きな人のことも趣味のことも、みんな知られないようにしていたっけ。あの頃は、本当によく自殺しなかったなと思う。


 うんうん、と浸っていたら、化倉が面白くない? と聞いてきた。

面白くない。


兄弟に知られたら、人生半分詰んだようなもんだと思ってたぞ。

「まー、自分が、上の立場で居たい気持ちはわかるだろう」


「代償に、人間性の意味で下に見られることになるだろうけど」


ぼそっと呟くと、化倉が今日のお前、オーラが黒いぞと言われた。

オーラが見えるのか。


「いや、朝ね、姉に秘密で書いてたメモ帳見られちゃってさ……へこむ」


「元気出せよ」


化倉がぽんと肩を叩く。理由はわからないけれどじわっと涙が滲んだ。

机でうつむいていると、お前にも裏があるんだなと言われた。少しへこんだら、裏なのか。


愛姫が近づいてきて聞いてくる。

「そういや、昨日の電話、様子変だったよ」


長い髪と、小さな顔で、きょとんとこちらを不安そうに見ている。


「あぁ……悪い、忘れて、最近疲れているんだ」


胸が、ずきんっと痛んだ。何によって悲しいのだろう。色々ありすぎてどれなのかわからない。


「砂季にも裏があるんだね」

愛姫が言う。

苦し、い。

教室を飛び出して走る。息ができなくなりそうだ。教室に戻りたくない。学校に戻りたくない。

裏ってどこ、表ってなに、みんなの思い込みだろ。

 近くの空き教室に駆け込むと鍵を閉める。

悲しい、苦しい、痛い……


留めていた涙がとうとう止まらなくなってしまった。メモをしようにも、何に悲しいのかわからない。

体育座りで、黒板の横の隅のところにしゃがむ。目が、熱い。


「なんだよっ、裏って!」

バカで、醜くて、汚くて、欠けてて。

そんな部分がしっかりしていれば良いのだろうか。自分が全部、無くなってしまえばいいのに、と思う。


俺は空っぽだ。

きっと本当は妬みも、痛みも、苦しいのも、全部に弱い。

だからこそ普段麻痺させてる。

何も感じたくない。こんなときにばかり、どうして泣いたりするんだろう。





しばらくして、ベランダ側のドアを開けた。

空とか山が見える。

うーん、すがすがしい。

 きょろりと教室のほうを見ると、冬至が化倉と話をしていた。

彼とは席替えで席が離れてからは、帰宅するときとかに主に話している。化倉に対して彼の方はなんとなくよそよそしい。

 理由、は、なんとなくわかる。化倉はあれでいても品行方正というか、やたらと規律に拘るのだ。

 だからこそ委員長が勤まるのだと思うが、煙たがられてもいた。

騒がしいグループを注意しては、彼らからは面倒なやつだとか、内申しか頭にないやつだとか言われていたりで。


でもきっとなんだかんだいいながら後で、プリントを揺沢にもっていくんだろう。

孤立しがちな誰かは、ときに孤立に敏感だ。


いっそ、揺沢みたいにそれさえも受け止めてしまう方が楽なのかもしれないと思うときがある。

しばらくその場で座っていたら、がちゃがちゃ、と音。やがて鍵が開く。

「どうかしたのかっ」


一番、聞きたくない声。なんで入ってくるんだ、なんで、心配するんだ。舌打ちしても意味は無さそうだが、暴れまわりたい気持ちだった。


開いた扉から、すらっとした茶髪の長身が現れた。……帰りたい。

じろりと睨み付けると、彼はそっと姿勢を低くしながら俺に言った。

「帰りのホームルームなのにお前だけ来ないってんで探しに来たんだよ」

「ああ、もう、授業ないっけ」

「今日は6限終わってホームルームでおしまいだ、ほら、行くぞ」

「あんたは、何で、俺を?」

「知らないのか、今、俺はお前のクラスの副担任なんだよ」


マジかよ……

そこもチェンジしたのか。そういえば、以前の先生は、副担任だったな。


なんだか泣きたくなった。少し安心した気分と、よくわからない苛立ちと孤独感。「泣いてるのか」


浜梨は、よしよし、と俺の背中を擦り出す。そのしぐさで自分が泣いていると知った。


「……え?」

「悲しいことがあったのなら、泣けばいい」

うんうんと頷く浜梨は、少し暑苦しい。

「泣いてない」


とりあえず意地を張っておく。またも弱味を握って、面白いって言うつもりに違いない。

「距離、近いんだよ」

ぐい、と腕で突っぱねると、彼は真面目な顔で聞いた。

「何か困りごとでもあって、話したいなら聞かせてくれよ。一人で抱えなくてもさ」

「大丈夫でーす!」

この手の、聞かせてくれを言うやつはなんか好かない、と、俺は笑顔を作った。

「そうか、じゃあ戻るぞ」






がらがら、戸を開けながら浜梨がふっと笑う。

「っ……!」

なぜだか、合わせられた目にときめいた、気のせい。ふとそうだ、と思いこの機会に聞くことにした。あの出会いの話。彼はしばらく真剣に聞いてくれた後でため息を吐いた。

「そりゃお前……恋じゃないだろ」

「え?」

浜梨が呆れたようにそう言ったから、思わず目を丸くする。

「だってお前、建築物の写真を見てたかっただけだろ? 何が好きとか、どこが好きとか思った?」

人に対して、と言われてすぐに答えが出た。

「いや。別に」

確かに話は合った部分もあるけれど、実質8割くらい合っていなかったし。

「キツイ言動が理解出来ない。冗談やギャグにしか見えなかったから、面白かった」

「うん」

「で。冗談だったか?」


俺は黙った。







「思えば、本気で言っていてやっていたってことに、ショックを受けた気がします……」


昔の自分はみんながみんな優しくて、誰かをわざと傷つけたりはしないと、どこかで信じていた。裏がどうだと囁きながらも、なんだかんだ優しいのだと、勘違いしていた。

マスターが楽しそうなのは喜ばしかったけれど、未練というのは「もしあれは単なるギャグだったら」ということに対してだ。もう顔さえあまりよく覚えてない。

だって。俺はきっと……


「自分を大事にすることを認めるのが嫌だから、そうしないでくれる相手が楽だと思い込むんだ。で結局、傷つく」


確かに、自分を大事にしなくて済んだ。

優しくされなかったから苦しくならなかった。

綺麗で居なくて良かったから楽だった。



「世間的に見たら、単なる自虐だよ」


「なっ」


はっきりと言われて、思わず硬直する。


「そのままの自分を、そのままじゃないとさえ思い込んでる。別の自分がどこかにいるはずだと」


いないけど、と言われてなんだかカチンと来た。

いないけど、と言われてなんだかカチンと来た。

「何がわかるんですか!」

叫ぶようにして廊下に出ると、チャイムが鳴った。

頭上でカラスが鳴いていた。

雨が降りだしそうな灰色の空を見ながら、いろいろなことを思った。

帰宅してから、胸がずきずきと痛んで、何かがつかえたようになっていることに気が付く。

なんだか、わけがわからない。



帰宅するべく肩にかけた鞄がいつもより重いかもと思ってから、メモ帳が入っているのを思い出す。


 言わなければバレないと思って何かと俺を見張っている姉のことを思い出すと尚更苛立ってしまう。誰かやめさせてくれたらいいのに……


俺にそんな価値もないのもあるけれど、自分の人生を他人に執着して使うなんて、それが身内に対してなんて嫌だとも思ってしまう。「気持ち悪い」「引いた」

そう言いそうになって飲み込む。





荷物を玄関に置いてから出掛ける。

外はまだ肌寒い。

どこに行こうか迷ったが、とりあえずタワーにでも上ることにした。

ちなみに高いところは嫌いだ。

俺はたまに、こういう自分を混乱させるようなことをしたがる。

道を歩いて、駅の方向に向かってからバスに乗らないとならないから、結構めんどくさい。


歩いていると、知らない人にぶつかった。


「あぁ、すみません、ぼんやりしていて。怪我は」


若い男の人だ。


「こちらこそ……怪我はありませんよ」


ぺこ、と頭を下げられて慌てて合わせる。ちらっと白い携帯をこちらに向けた気がしたが、たぶん電話するんだろう。

まぁいいや。

今日のもやもやを発散すべく、一人で弾けておくことにした。




 その次の日の朝。

クラスの同級生が、話しかけてきた。

他人のことを言えないけれど、いつもどこか少し浮いているので、似たように浮いている俺が気になるのかもしれない。


ときどきやたら、この手の人間に関わられる。

言葉で表すと難しいけど、一人でいたくない感じの。

まぁ俺は残念ながら、たとえ一人だろうとエンジョイするタイプなのでどちらでもいいのだが。


「やぁ、一人?」

「ご覧のとーり」

「おれもー」

少し自信なさげな顔がはかなく笑う。こいつ、しゃきっとしてたら友達出来そうなのにな。

「昨日HR来なかったじゃん、どうしたの」

「寝てた」

「ふはっ。寝てたの」

何がそんな面白いんだ。 と表情を変えずに思う。

「気がついたら終わってた」

「気がつけよー。来いよ」

「だな」


「先生新しく来たけど、どうよアレ」


「え。どうもなにも……」

どうもなにも、なんだアイツ。どうかしてる。

頭を過る言葉。



『そのままの自分を、そのままじゃないとさえ思い込んでる。別の自分がどこかにいるはずだと』

あの声。


「っ!」


思わず席を立ち上がる。

「どうかした?」


目の前のやつが聞いてくる。どうかもなにもないが。

「なんっか、腹立つ!」


思わず言うと、そいつがびくっとした。


「砂季でも、腹が立つことあるんだね」



『でも』ってなんだよっ! こうなりゃ何から何まで、誰から誰までも、むかついてくる。

どうも、『ギャップだわー』と言われるのを、褒め言葉に思えない。

……という、これこそギャップのせいで、何回、人とさよならすることか。

ガタッと立ち上がると、廊下に歩いていく。


「あ、ちょっとまだ、朝礼すら終わってないよ!」

「『冬至』さがしてくるっ! どうせ保健室かどっかに居るだろ」

「えー」

イライラが収まらないときは、とりあえず、手当たり次第に発散するに限る。

後ろから「案外短気だなあ」と聞こえた。

だーかーら。

案外って、なんだよ!!バカ! アホ!

八つ当たりをしつつ、教室をあとにした。


















保健室に来ていた冬至と廊下に出た。


『夜になると恨みのある人の家の近所まで来て大声を出す男子高校生の霊』の話で盛り上がった。

姿は見えないらしいが、誰かに罵倒を聞いてもらうと、すっきりして消えていくらしい。


「それ、本当に霊?」


「さあね。案外思春期の少年かもしれない」


「どのみち迷惑だなぁ」


「構ってもらいたい気持ちと戦ってるんじゃない? お前と違って」


「すみませんね、可愛いげ無くて」



歩いていこうとすると、どこ行くんだと聞かれた。

「自販機コーナー」

「行く」


二人で外の自販機に行くと飲み物を買ってきた。俺はいつものヨーグルト。

彼はコーヒーだった。

「お前、クラスでなんて言われてっか知ってるか」


「どうでもいいよ」


彼は慌てたように、缶から口を離す。


「まあ、聞けって」


「仕方ないな」


「告り魔で、さらにあんなのが身持ちが固いはずないってさ」


ぶふっ、とヨーグルトを吹き出しそうになって、一気にむせる。


「まじで」


「どうせ付き合ってるやついるんだろ? ってフラれまくるのが現実だけど」





「わかる。お前、実際フラれることしかしてないもんな」


ばしっ!

とそいつの肩を叩く。


「そんなこと……あるわ」

くくくと笑ってコーヒーを飲み干したそいつが、先に戻るわと言った。

俺は、あの教師についてをふと考えてみた。


うーん……


やっぱりそんな噂がある以上は、遊ばれて終わりだろう。噂だけが腕を組みながら歩いていくもんで。

ハードルだけが上がってく今の状況に、面倒だなと思った。


ただフツーに友達をつくって、フツーに好きな人や嫌いな人がいるんならいい。

だのに、なんてことだ。


確かに断るのがめんどくさくて「金があれば」とか「身長が2メートルないとね」とか、好き勝手に口にしたこともあったんで、それは俺が悪いけど、あれは、相手に引いてほしかっただけであって……

「はぁ」


こういうときって、普通なんて言うんだっけ。

身から出た錆?

口は災いのもと?

自業自得?

いや。


「ハロー効果、だな」






先に戻っていった未知に続くために一人廊下を歩いていたら、横から爽やかな声。振り向くと制服姿の女子が居た。

細身で、背はまあまああって、黒い髪が小さな顔を隠していて、真面目そうな感じで、はきはきした印象よりは控えめな声。なのに妙に脳内にのこるような話し方をする子だった。


「……だれ」


「あ、知らないか。私、隣のクラスの鳳仙 茉理です。よろしくお願いします」


ぺこーっと頭を下げられて、つられて頭を下げる。


「どうも、それは」


「あ。マリーでもいいですよ?」


「なんだ、それは」



 たじたじになっているうちに茉理は俺の前をとおせんぼした。


「なにか用があるのかな」

何回も首を縦に振られる。

「少し、荷物を運ぶのを手伝って欲しいんですが、まだ私のクラスに来ている人で、頼めそうな人はあまり居なくて……」


「わかった、行きます」

呼ばれれば、つい断れないのは、よくないのかもしれないけれど、俺はどうしてもこういうときについていってしまう。

「ああよかった。助かります。運ぶのは、コンクール用のパネルなんですが、大きくて。それにクラスの人たちにはまだ、見てほしくないものだったので」


にこにこしている彼女は、俺がなんと言われているか知っているのだろうか。なんとなく、興味がわく。


美術室にあるらしいパネルのために、俺と彼女は隣の棟を目指して教室に近づくために上がっていた階段を今度は下へと降り始めていて、ふと俺は呼んでみた。



「鳳仙さん」



「はい?」




 いきなりこんなこと言って大丈夫だろうか、とか頭をよぎったけれど、まあ、そのときはそのときだ。


「あの。俺の、噂知ってる?」


「茉理でいいですよ」


「まり、さん」


「はい。噂、遊んでそう、とかですね」



友達に聞いたときはそうでもなかったのにな。

淡々と言われると、なんとなくグサッと突き刺さるものがある。

「そんな風に見えるかな」

「私は、そうは思わないですけど。人って勝手に言うものなんで、気にしても仕方ないですって!」


 彼女は違う、というので、少し気が楽になった。

「……ありがと」



美術室の倉庫になってる教室の鍵を彼女が開けて、そこから、ぐるぐると布とひもで包まれている大きなパネルを運び出す。

案外、思っていたより重たいけど頑張れば持てなくもない。

女子一人で抱えるにはきついだろうという感じだった。


よいしょ、と少しずつ階段を降りていく。

俺が先に降りる側になって、彼女が次に降りる。後ろを確認しながら階段を慎重に降りていった。

「でも、こんなにぐるぐるまきなら、見られないんじゃない?」





彼女は困った顔をして笑った。


「それがクラスだと、無理矢理剥がして、『見たーい!』っていうノリが通じちゃうんです」


「なんか、いろいろあるんですね」



なんの作品なのだろう、と気になったけれど俺からは聞かなかった。

秘密にしておきたいものだろうと思うからだった。

「あ。これは、中身は秘密なんですが、学校の創立記念日に頼まれたものでこの学校は毎年やるみたいなんです。他の部員はまだ、来てなくて」


なるほど、それは秘密なわけだ。






一階にある会議室、まで運び終えると、彼女から何度も礼を言われた。


「ありがとうございました」

「いえいえ」


さて、上へあがるか。

そう思っていたら、がららっ、とドアがあいた。

「よっ、おはようさん!」

でーん、と偉そうにやってきたのは浜梨裕だった。

俺はどうも、コイツを見ると落ち着かない。


「せんせえ、でしょ」



せんせえ、が笑顔で訂正する。

言うか。


「じゃあね、茉理さん」


にこっと笑って、俺はその場から出ようとする。

「おい、待て」


猫かなんかの絵みたいに制服を摘ままれて、動きを止められた。


「なんすか、せんせえ……」


やってきた浜梨は、笑顔のくせになんとなく機嫌が悪そうで、なんかしたかなと不安と面倒さで嫌になる。


「こいつ借りてくねー」

語尾にハートマークをつけたそいつが、人をモノみたいに言う。



え?


「わ、わあ、わかったから離せ、バカ教師」


そして俺を引きずって会議室からずるずると校庭に続く渡り廊下までつれていった。外は救急車が来ているらしくて、けたたましいサイレンの音がしていた。俺はなんの用なのかと聞いた。


「俺が好きじゃなかった?」


笑顔で聞かれてしまって驚きを隠せない。


「はぁあっ?」


「いや、女子と二人きりだったからさ」


「それが……なんだというんだ?」


 信じられない。

わなわなと身体を震わせていると、ぴーぽーとサイレンの音が一際大きくなった。


「おいおい、なんでもないってのか」


お前はどうせ俺で遊んでいるんだろう、と怒りだけ沸き上がるが、そんなことをしたらなおさら恥さらしなのでこほんと咳払いして答えた。


「……ただ手伝っただけ」

「そう」

先生の目がいじわるそうに輝く。

正直、こういう挑発的な目線を、かっこいいとか思わないんだよな。

 それにサイレンの音で、思考がだんだんと掻き乱されていく……



だんだん、俺のコピーが沢山いるように見えてきた。

変な幻覚だな。

俺がいっぱいいるんだったら、俺が有名人になったようなもんで……

なんか、おかしい。







目が覚めたときには保健室に居た。


 ゆっくり起こした頭の下には、マイちゃん、と名前がつけられた豚のキャラクターの枕がある。シュウマイと豚をミックスしたような容姿をしてるのだ。

「学校の保健室の枕って、こんなだっけ」

考えてみたが、よくわからん。

「マイちゃんとトンちゃん、俺の趣味だ。お前には保健室の枕はでかかったみたいだから、職員室から俺の仮眠用を貸してやった」

横から声がしてギョッとしたが、裕先生だった。

「具合は?」

「おかげ様で」

「そうか、おかげ様か」






にこにこ笑いながら、そいつは俺から離れようとしない。


「なに。学校で、不適切なことしたら、俺言いふらすよ」

「大丈夫、俺、ケンゼン」

……今だかつてここまで不健全な台詞を、俺は聞いたことがない。

「そうですかわかりましたじゃあさよなら」

起き上がり、枕を返そうとしたら裕せんせえは、不気味な笑顔のまま言った。

「顔色悪くない? なんかあった?」

その手にはやはり指輪。指輪を見るだけでなんだか腹立つ。

偽るために指輪ってのはともかく、自分がいらつく意味がわからない。

『俺が好きじゃなかった?』

忌々しい台詞が脳裏によみがえる。

「せんせえー」

ふざけて呼んでみると、笑顔を貼り付けたままで裕先生がこちらを見た。

「もう、帰るから送ってってよ」

腹立つ、腹立つ、ハラタツ!!!

そう思いながら俺は笑顔を作る。

「なにが狙い? 送り狼?」



無視して、近くにあった荷物を手にした。

昼間の空は明るかった。

『告り魔で、さらにあんなのが身持ちが固いはずないってさ』

 未知に言われたことを、思い出したのは、ふらふらと帰路につきながら、目の前の浜梨裕を眺めてたそんなときだった。

コイツもまさか、俺が遊んでるとか信じてんのか?

だから、ちょっと他の生徒と二人で居たくらいで?

自分こそ、夜中に遊び回ってそうな見た目+言動しといて。

失礼なことがふつふつと頭のなかをめぐる。

『俺が好きじゃなかった?』

お前には関係ないだろ!


思わず叫んでたら、先生がじろりとこちらを向いた。

「なにが関係ないって?」

やば、声に出てた。




























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