こつこつレベル上げ? 周回してレアアイテム? そんなことしなくてもすぐ最強! スキル【リバース】で苦戦しません!
気まぐれ
第1話 荷物持ちで参加したら転送トラップで未踏破階層に飛ばされピンチ!
20xx年……
突如世界の各国にダンジョンが現れた。
同時に人々には【ジョブ】と【スキル】が目覚めレベルの概念が与えられ、やがてダンジョンから得られる魔石により生活が変わっていく。
さらに21xx年。
世界は魔石をエネルギー源とする社会に変化していた。
冷蔵庫や洗濯機といった旧時代の家電、スマホやタブレットなどの精密機器も魔石製品に置き換えられた。
そして、ダンジョンの魔物を倒し得られる魔石やドロップ品を売却することで生計を立てる探索者という職業が一般に認知されている。
入学して2週間後の放課後、生活費を稼ぐためいつものように荷物持ちとして雇ってくれるパーティとともにダンジョンの50階に潜っていた。
◇◇◇
「あなたたち、そこで止まりなさい!!」
僕はいつものようにパーティが魔物を倒して現れる魔石やドロップ品を拾って回収していたところ、青い制服を着た黒髪ショートボブの女の子に呼び止められた。
「俺らになんかようか、ブスネエちゃんよう?」
パーティリーダーの三崎さんがその女の子に対応した。
僕には見覚えがある。
その子は僕と同じ二子玉高校の探索科1年の
少し目が離れていて、鼻はつぶれているし、顔は腫れあがったかのように丸い。
学校では特に話したことはない。
もともと口数が少ないようで、さらに僕と同じく放課後すぐにいなくなるから。
もしかしたら不細工なせいでコミュニケーションを諦めているのかもしれない。
「兄貴、あの制服……、『ダン警』ですぜ」
他のメンバーの赤池さんが三崎さんに近付いて呟く。
『ダン警』は、『ダンジョン警察』のことでダンジョン内での犯罪者の取り締まりや、要救助信号があった場合に救助をする人たちのことだ。
「三崎健斗、赤池修、実崎隆司、都築千治、テロ企画未遂で逮捕状が出ています。捕縛します。もう一人は……、逆崎くん?」
御堂さんは僕に気が付いたようだ。
ていうか、テロ企画未遂ってこのパーティ犯罪者だったの?
「おい、あいつ知り合いなのか? もしかしてあいつとグルなのか、お前?」
三崎さんが険しい顔を僕に向けてくる。
【下級戦士】のジョブをもつ三崎さんに襲われれば【見習い戦士】で低レベルの僕は対抗できない。
「いえ、グルじゃないです、知り合いというほどでもなくて、同じ高校の探索科の女子です。ダンジョン警察やってたなんて知りませんでした」
そうか、御堂さんが放課後すぐにいなくなってたのはダン警の仕事があったからなんだ。
そして、僕は赤池さんから羽交い絞めにされた。
「おい、このガキの命が惜しけりゃそこを動くなよ!」
僕を人質に取った赤池さんが御堂さんに向かって言い放つ。
「ごめんなさい、御堂さん……」
これから僕はどうなってしまうんだろう。
荷物持ちとしておこぼれの報酬で生活費を稼いでいるだけだったはずなのに。
「逆崎くんは関係ない。放しなさい」
「放すわけねーだろ、ブスダン警。こいつを人質にして逃げさせてもらうさ。おい都築、さっきの場所覚えてるか?」
「おう、覚えてるぜ。ブスねえちゃん、ゆっくり着いてきな」
そして、三崎さんたちと僕はゆっくり後ずさり、御堂さんが着いてくる。
しばらく歩いた後、都築さんが三崎さんに話す。
「ここだぜ、リーダー」
「発動しろ」
「オーケー」
都築さんが、タンッと足を踏み鳴らすとその横の地面が光を放った。
「これは転移トラップだ。こいつはな、荷物持ちでレベルは20もないぜ。そんな奴が一人でどこともわからない階層に飛ばされたらどうなるかな? 正義のダン警さんは無力な一般人を放って俺たちを逮捕するわけねえよな~」
三崎が御堂さんに向かって挑発する。
こいつの言う通り僕はレベルが15しかない。
転移トラップはだいたい深層に飛ばされる。
たぶん転送先にいるモンスターにより殺されるだろう。
「……卑怯者」
御堂さんが悔しそうにつぶやく。
「何とでも言うがいいさ。赤池、このガキを転移トラップに放り込め! ははっ、かわいそうに、ダン警に会わなきゃただの荷物持ちでいられたのにな! 恨むならそこのブスを恨むんだな!」
そして僕は魔石の入った袋を奪われた後、光り輝く地面に乱暴に投げ出された。
霞みゆく視界に御堂さんがこちらが走って向かってくる姿が見える。
◇◇◇
視界を取り戻した後、すぐに辺りを見回すが、魔物は見えない。
少し遅れて御堂さんが僕の横に転移してきた。
「……逆崎くん、無事?」
「うん」
御堂さんは制服のポケットに手を入れ、小型の端末を取り出す。
ダンジョンスマホだ。
スワイプして何かを調べている。
「……まずい」
御堂さんの顔色が心なしか悪そうだ。
いやな予感がするが聞くしかない。
「何がまずいの?」
「ここは250階」
はあ、冗談だろ!?
御堂さんが見せてくれたダンジョンスマホに表示される現在階数は、250。
「え、日本ダンジョンの最高到達階数って、232階だよね?」
「そう。もしここをクリアしたらレコードホルダー」
いやいや、その前に死ぬから。
「逆崎くん、レベルとジョブとユニークスキルは?」
「レベルは15、ジョブは【見習い戦士】、ユニークスキルはないよ。御堂さんは?」
「レベル425でCランク、ジョブは【氷媛闘士】、ユニークスキルは【氷神の呪詛】」
めっちゃ強いじゃん。
同じ学年なのに。
僕なんか最下位のEランクだよ。
「【氷媛闘士】ってユニークジョブだよね。【氷神の呪詛】って何か聞いてもいい?」
「うん。【氷媛闘士】は近接攻撃に氷属性が追加、氷属性の効果をそれなりに上昇。【氷神の呪詛】は氷属性の魔法使用可、氷属性使用時の効果上昇、消費魔力激減。氷属性のダメージ激減。その代わり……」
「その代わり?」
「外見が醜くなる」
「……ごめん」
「気にしてないから」
物珍しさと戦力確認のために聞いたんだけど、悪いことしたな。
平凡なジョブでユニークスキルがない僕はユニークジョブとユニークスキルをもつ御堂さんが羨ましかったけど、最後のを聞いてちょっと微妙な気持ちになった。
「あと、多分生きて帰れない。ごめん」
「え、レベル425なんだよね? 何とかなるんじゃないの?」
うすうすだめそうな気はしているが聞いてみる。
「250階の攻略目安は、レベル1750。私では力不足。私の担当階数は120階まで」
「そんな」
くそっ、三崎たちめ。
今度会ったら絶対復讐してやる。
と内心で強がっても仕方がない。
「何とか逆崎くんだけでも生き残れるよう努力してみる」
「ありがとう、御堂さん」
◇◇◇
とりあえずボス部屋を目指して進むことにした。
ちょうど250階なのでボスを倒せば帰還クリスタルを使用できる。
というか、それしか帰る方法がない。
運よく、少し歩いただけでボス部屋までは魔物に遭わずにすんだ。
ボス部屋前の扉に着いて一息つく。
入ってしまうと、ボスを倒すまで出られない。
どんな奴がでるかはわからないが。
「逆崎くん」
「なに、御堂さん?」
「部屋に入ったら、私の少し後ろにいて。ボスは私一人で対応する」
「……ごめん」
「悪いのは私。巻き込んでごめん。最期まで守る」
そういって前を向く御堂さんがかっこよく見えた。
顔面は気にしないこととして。
覚悟を決めて部屋に入ると、待ち構えていたのは双頭のでかい犬。
「……オルトロス」
御堂さんがつぶやく。
その双頭の犬が一吠えすると、僕は腰を抜かして動けなくなる。
御堂さんも足が震えている。
動かないこちらを見て、オルトロスの片方の首が炎の弾を吐いてきた。
◆◆◆◆◆◆
新しい連載です。架空の未来で無双していきます。ハーレム要素は少しだけあります。
できるだけ毎日更新を目指します。そのためコメント返信は厳しいです。
よろしくお願いします。
あ、連載中の固有スキル【交換】もまだの方はお読みくださいませ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます