自分は記憶喪失ですとか義妹とかに言ったら大変な事になった件について

アキノリ@pokkey11.1

頭打った世界と偽った世界と

ほあ!?

第1話 取り返しのつかない嘘と?

『お兄。帰って来たなら先ずはアイスを買ってきてよ。私の小間使いなんだから』


バカ義妹め。

許し難い行為がこれで何百回目だ。

絶対に許さんぞ。

帰ったら今度こそ積年の恨みの悪戯をしようと思った。


夢色一葉(ゆめいろかずは)の野郎め。

出会ってから3年でこんなにこき使うとは最悪の状態である。

兄をなんだと思っているのか全く。


容姿がかなりの美少女でしかも。

顔立ちが小さくてマジに可愛いのだが.....。

茶髪で俺に対して最近は舐めた態度を取り始めている。

スタイル抜群だから?成績優秀だから?

俺をなんだと思っているのだ全く。


反対に青年顔でそこそこしかない顔立ち。

そして成績も曖昧な体育も曖昧な俺、夢色遠矢(ゆめいろとおや)は思いながらも郵便局に用事もあったし外に出てそしてコンビニに寄ってからあずきのアイスを買う。

それからの帰り道の事だったが。


「.....うわ!?」


キィー!!!!!ドカン!!!!!


その衝撃で曲がった自転車とか見ながら。

何というか次に気が付いたら俺は意識が混濁していた状況だった。

その原因は交通事故っぽかった。


油断してしまった。

まさかの信号無視の.....トラックかよ。

俺は思いながら意識を失った。



「.....」


「お兄。お兄!お願い.....起きて.....お願い!!!!!」


何か気が付くと泣きじゃくる妹の声や。

見知らぬ中年ぐらいのおっさんの声。

そしてお姉さんの声。

色々ごちゃ混ぜになっている感じで聞こえてきていた。

その中で俺はゆっくりと目を覚ます。


「.....?」


あれ?俺はどうしたんだっけか。

考えながら天井を見上げながら考える。

見知らぬ天井だ。

などとどっかのアニメキャラクターみたいなセリフを考えていると。

目の前でずっと泣いている義妹が居た。

俺は驚きの顔を浮かべながら聞いてみる。


「うん?」


「.....え?.....あ、お、お兄.....」


何時間も泣いていたのか赤くなっている顔の義妹と目が合う。

何だコイツ.....人の為に泣く様な性格じゃ無い気がするのだが。


俺は思いながら静かにその様子を見ていると。

か、看護師さんを呼んでくる!!!!!、と言いながら嬉しそうな感じで大慌てで外に飛び出して行った一葉。


にしても。

ああ。そうか.....俺は何かその。

トラックに轢かれたんだっけか。

歩行者用の信号は青信号だったが。


完全な信号無視だったよな相手が。

だって俺は青信号で渡っていたしな。

思いながら天井を見る。

傍迷惑な野郎も居るもんだな、と思いながら。



それから看護師さんとか医者が俺の病室の中を行ったり来たりしてから。

俺は落ち着かない感じでソワソワしていた。

側では義妹も落ち着かない様子で朗報を期待しているのかソワソワしている。

因みに和人さんと母さん(和人さんは俺の義父であり母さんは美玖という)が後で聴きに来る事になっている。

俺は義妹のその姿を見ながら寝たまま天井を見上げたまま考えていた。


「この一時的な検査結果では取り敢えず脳波などには問題は無いみたいですね」


「.....そうですか.....良かった.....」


「ただご家族の方々にも後々にご説明しますが詳しくは検査してみないと分かりません。記憶喪失や脳への隠れショックの可能性もあります。頭を強く打たれていますので精密検査の為にもう1日入院する事になるでしょう」


「.....え?そ、そんな.....え?」


義妹は直ぐに俺に向いてから、お兄.....その。1日経ったけど大丈夫だよね?、と心配げに聞いてくる。

その言葉に、ふむ、と考えながら、俺はそうか1日寝ていたのか、と考える。


でもこれはその。

何か記憶が無い方が良さげな感じがする。

義妹がこれだけ心配しているのならとかまあその。

そういうのもある。


「そうだな.....すまん。ちょっとまだ分からん」


「そ、そうなんだね。分かった」


「.....ごめんな」


「う、うん。気にしないで」


医者が、それではまた後で、と去って行った。

看護師も点滴を入れ替えてからそのまま去って行く。

そういや母さんも義父も仕事か、と思いながら。

そして一葉を見る。


「.....」


一葉はビクッとしながらも俺を見る。

そしてモジモジとした。

必死に思い出してほしい様な。

まあつまり答えを待っている様だ。 

俺は散々悩んだ末に成り行き上の嘘を吐く事にした。


「ゴメン。やっぱり記憶が定かじゃない。君は覚えているけど」


「.....!」


「.....俺と君は何の関係だったかな」


「そ、そうなんだ.....そうなんだ」


何だコイツは。

逆に何か.....嬉しそうに笑顔になる一葉さん。

一体、何故に?


喜んでしまうとはどういうつもりだよ。

思いながら一葉を見る。

すると一葉はとんでもない事を口走った。


「.....わ、私はおにい.....とは。.....兄妹関係だけど.....その.....えっと。.....す、す.....」


「.....?」


「と、とにかく。アハハ。記憶が無いなら.....良いや。また組み立てれる.....かな」


笑顔を浮かべながら、ウヘヘ、と言いつつニヤッとする一葉。

何だコイツ.....訳が分からない。

俺は考えながら見ていると。

一葉は、私は夢色一葉です。お、お兄とは.....兄妹で恋人同士でそ、それなりの関係でした、と言ってくる.....あぁ!?


「.....そ、そうなんですか?」


「そ、そうです。アハハ。だから.....えっと.....」


「.....」


いやちょっと待っていきなり何言ってんのかな此奴は。

って言うか3年分の粗大ゴミ扱いはどうした。

俺に対するゴミ扱いだ。

3年近く?コキ使った癖に.....何が.....。


「.....お、お兄.....いや。お兄ちゃん。.....えへへ.....エヘヘ.....」


「.....」


真っ赤になる義妹。

何かが取り返しがつかない気がした。

俺は青ざめながら義妹を見つめる。

義妹は満面の笑顔で俺を見てくるのだが。

参った.....。

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