チート薬学4巻発売中!第950話 ヴィドインのオーラ体と自爆!?
ヴィドインがあっさりと道化師の上位体を葬ったことで、他の道化師達は動きを止めた。
そこを見逃さずヴィドインは、大きい真っ黒な球体を放つ。すると、道化師だけが吸い寄せられるように、トプンという音と共に道化師が次々と吸い込まれていくと球体はどんどん膨らんでいき、限界を迎えたところで破裂し、中から出てきた黒いモヤがヴィドインへと吸い込まれていった。
「ウォルターに、この力を送り、地獄の発展に使ってもらうとしよう。ウォルター、少々苦しいだろうが受け取るのだ」
ヴィドインから、黒いモヤが出てきて、ウォルターの下に届くと、ウォルターは全身に激痛が走りのたうち回る。そんなことが起こっているとは思っていないヴィドインは、残った道化師たちを澄ました顔で見据えた。
「あいつ危険!コアを寄越せ!」
上位体の道化師は、前にいた道化師の胸を貫いてコアを取り出した。そのコアを飲み込む。そして、その後も近くにいた道化師のコアを抜き取り飲み込んだ。
「ぐぉぉぉぉ!魔神様の力をより近くで感じる。これなら殺せる」
道化師の姿形は同じものの、禍々しいオーラは、何倍にも膨れ上がっており、体から黒いモヤが放出されていく。
「もういいか?多少は、ましにはなったようだが、果たしてどこまで耐えきれるか見させてもらうとしよう」
ヴィドインは、もう一度球体を出して道化師に向かって放った。そして、コアを抜かれた道化師や有象無象の道化師は吸い込まれていく。しかし、コアを飲み込んだ道化師は、抗いすらも見せることなく平然と立っていた。
「弱い......大王負ける」
道化師は、吸い込まれているとは思えない速さでヴィドインに近づいて蹴りを食らわせた。だが、ヴィドインは簡単に蹴りを受けとめる。しかし、ヴィドインの手の平は赤黒く何かに侵食されたように色を変えていた。
「相変わらず姑息な手を使ってくるのだな。俺に近寄るな!」
ヴィドインは、手の平を見た瞬間、怒りを露わにして道化師を殴り飛ばした。道化師は、転がる。だが、ヴィドインの殴った手は赤黒く変化をして徐々に手首まで侵食が進んでいく。
「気持ちの悪い能力を使うものだ。だが、俺には肉体は存在しないということだ!このように手首を引き千切ろうと変わることはない」
ヴィドインは、何の躊躇もなく、侵食された右手首を引き千切り地面に捨てた。すると、引き千切った手首は、更に赤黒くなり老人の手のようにシワシワになってしまった。
「肉体がなくてもいつか全身侵食。俺の勝ち」
道化師は、肉体を持たずともいつか引き千切るものがなくなれば、消失すると考えて、またしてもヴィドインに攻撃を仕掛けた。
ヴィドインは、攻撃を避けることなく食らい続けて侵食されているにも関わらず何もしようとしない。
「気は済んだか?俺に、お前の能力は通用しない!そして、本来の俺の姿を見たのだ。楽に死ねると思わないことだな」
ボロボロと崩れ落ちる肉体から姿を現したのは、ヴィドインの形をした真っ黒なオーラ体であった。道化師は、その姿を見た瞬間、殴る蹴るや黒いモヤを出すなど様々な攻撃をするが、ヴィドインをすり抜けるか、吸収されてダメージを与えることが出来ずにいた。
「なんだ!もう終わりか?ならば、地獄の死......」
「俺の力全て使った。再生遅れるが、大王死んだ」
ヴィドインが、道化師の頭を掴もうとした瞬間、道化師は吸収したコアの力を使って自爆した。しかも、普通の道化師が自爆する遥か上をいく自爆だったため、街を一瞬で飲み込み最大級の自爆となったのだった。
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