チート薬学4巻発売中!第948話 マルティルの覚醒!道化師の侵入!
兵士の案内で、屋敷の一室にアレクは寝かされた。聖女も、その場に留まり、少しずつ回復した全ての神力をシールドに流し込むのだ。
一方その頃、薬学神達はシールドと聖女の神力のお陰で時間が稼げて、住民を避難させることに成功し、マルティル達にも薬の供給が行き届いた。
「そろそろこの平穏も終わりですかな......最後に神様と共に戦えたこと光栄に思います!お前達、辺境伯領の兵士として恥じぬ戦いを期待しているぞ!」
門の方から爆音が鳴り響き、敵が侵入したであろう歩みを進める地響きに近い音が聞こえてきた。
マルティルは、薬学神に頭を下げて兵士達の方を向き、槍を天高々に突き上げて大声で叫んだ。兵士達は、マルティルの言葉を聞き、腹のそこからの雄叫びを上げて呼応する。
「ほぅ、恐れと恐怖が一瞬にして消え、力となるか!生まれ持った将の才といったところ......まさか、目覚めたのか?」
薬学神は、マルティルと兵士のやり取りに感心をしていたが、急に頭へ街を頭上から見たマップが脳裏に浮かびマルティルを見る。マルティルも、何か驚いた表情で周りを見渡したあと薬学神の顔を見た。
「これはいったい......」
「覚醒だな。極稀にあると言われている後天的に才が目覚めたといったところか。暫し見ていなかったが、この局面で才を覚醒させるとは恐れ入ったぞ。マルティル辺境伯、兵士達にその力を使い、勝利へ導いてやれ」
アレク達は、元々稀有な力を秘めて生まれてきていたので、後天的にスキルを身に着けていたが、普通に生まれてきた者が、後天的にスキルを目覚めさせるのは極わずかであり、努力とスキルを目覚めさせる何かを達成させなければならない。そして、この極限の中、マルティルは見事達成し、隠された才を覚醒させたのだ。
「スキル......私にも、才能が......今は、把握している地形の共有と侵入者の位置の把握、そして仲間への命令が下せるようです。薬学神様、ありがとうございます。絶対に勝利致しましょう。お前達、敵の位置が見えるな!戦闘に入り次第、俺が指示を下す!誰も死ぬんじゃないぞ!いいな」
マルティルは、薬学神がくれた力だと錯覚しており、感謝とやる気の表情を見せた。兵士達も、士気が更にあがって目の色が変わり、先程よりも鋭い目つきに変わった。
薬学神は、マルティル自身の努力の結果だと思っているが、無粋な真似をして士気とやる気を下げることは出来ないと何も言うことはなかった。
「マルティル辺境伯、私が先行しよう。この力をどう使うか見ておけ」
マップに映し出された敵の方向に薬学神は走り出して、剣を振るった。すると、黄金色の刃が飛び出して道化師達を真っ二つにした。そしてすぐさま、消し炭にする魔法を放つと魔法にも神力が混ざっており、道化師に直撃すると数人が跡形もなく消え去った。
「辺境伯様......あれを我々にしろと仰っていましたよね?何が起きたのかさっぱりわからなかったのですが......それに、この力を放出するやり方すら習っておりません」
マルティルの横にいた兵士は、ポカーンとした表情で薬学神の戦いを見た後に、無理過ぎるだろうと大声で言いたいほどの出来事にどうすればいいんだと思ってしまう。
「あの方が、我々を信じてくださった力だ。出来るとお考えなのだ。お前達、ボーっとしてないで加勢しろ」
マルティルは、有無を言わせる様子はなく、兵士達を死地へと送り込む。そして、兵士達はそれに応えるように道化師達に走り込んでいった。
「俺も理解していないことを聞かれても困るわ!あいつらなら薬学神様の答えに辿り着くだろう。そんなことよりもだ。俺は、皆を死なせないように導く任務を全うしなくてはな」
有無を言わせず戦地に兵士達を送ったが、マルティル自身も全く理解していなかった。
だが、教えを請いてどうにかなるものでもないと理解しているマルティルは、兵士達が覚醒することを信じて自分に与えられた仕事をするのだった。
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