5/19チート薬学4巻発売予定!第943話 ウズベル王国の最後と立ち向かう人々!
レオは、リグリス連邦から帰宅したのも束の間、道化師の大軍からウズベル王国を守るために戦場に出ることになった。
「レオ王太子様、騎士団と冒険者の大半が殺られてました。ルーヘン隊長とヘリオス副団長の二人が東側の侵攻を食い止めておりますが、時間の問題です」
レオが、地獄の力を使って道化師を食い止めていると、息を切らせてやってきた兵士から悪い知らせが届けられた。
「そうですか......わかりました。生きている方を連れて王都から離れてください。僕が、足止めをします!ルーヘン隊長とヘリオス副団長に、お父様とお母様を頼んだと伝えてください!最後に、これは王太子からの命令だと」
「ハッ!必ずお伝え致します!レオ王太子様、ご武運をお祈り致します」
騎士は、レオの言葉から決意と意志を感じ取って無駄な言葉は言わずに走って行った。そして、レオもルーヘンとヘリオスが、こちらに向かってくることのないように、命令という形で伝えるように言う。
「はぁ〜、せっかくアレクという同年代の気の合う友達が出来て、僕の未来が見えてきたのに、本当ツイてないよ」
レオは、空高く飛んで目に見える範囲の敵目掛けて、大量の真っ黒な矢を放った。すると、道化師は武器で払い除けたり躱したりするのだが、武器をすり抜け、避けた者は追われ、最終的には体の中に矢が吸い込まれていった。
「これで、動きは止めたはず......だけど、ちょっと張り切りすぎたかな......」
レオは、今までに使ったことのない大量の地獄の力を使った反動で意識を失いそうになる。
「おい!まだくたばんじゃねぇぞ!あいつらの息の根が止まる瞬間をよく見とけ!セイラン、生き残ったやつらを頼んだ」
「デストロイさん!?来てくれたのですね」
セイランは、陛下の命令でノックス達に助けを求めに行っていた。そして、デストロイが買って出てくれて転移で王国へとやってきたのだ。
「同じ地獄の力を持ったやつが不甲斐ねぇ戦いをしてねぇか見に来てやったんだ。まだまだ使いこなせてねぇが、及第点はあげてやる!」
デストロイは、ハルバードを手持つと街に目掛けて大きく振った。すると、真っ黒い巨大な鎌のような物が街目掛けて飛んで行き、家屋を切り刻みレオが動きを止めた道化師達をも切り刻み跡形もなく消し去った。
「デストロイさんは、相変わらず厳しいですね。でも、助かりま......ハハハ......なんですか?あれ」
レオは、デストロイに肩を借りながら安堵していたが、王都の外から進軍してくる人影を見て空笑いを浮かべた。
「今までが遊びだったんだろうよ!レオ、一旦引くしかねぇな。ちょうど、セイランが転移で全員を逃がしたみたいだからな」
「はい......今は、僕に力がありませんが、いつか必ず王国を取り返してみせます」
デストロイの本音は、自分の体力が無くなるまで、ひたすら敵を殺しまくりたいと考えていたが、この最悪な状況を前に、自分本意な考えを捨てて、この仲間と世界を優先した。
「フンッ、いつになるだろうな。だが、お前の気概は嫌いじゃねぇ!世界は、俺達がどうにかしてやるから、お前は周りを守ってやれ」
デストロイは、次世代を担う若者が、こんなところで死ぬなどあってはならないて考えていた。
「ありがとうございます。デストロイさん、皆をお願いします」
レオは、ニコッと笑って安堵した表情のままデストロイに寄りかかる。デストロイは、照れ隠しから軽く舌打ちをしたあと、レオを抱えて魔物の国へと飛んでいった。
◆
道化師と総助と弦馬によって世界が壊滅しようとしている頃、ノックス達は魔物の国だけでも守ろうと翻弄していた。
「クソ!神力がいくらあっても足りないぞ!こいつら、普通の攻撃ならすぐに立ち上がってきやがる」
「他のみんなも頑張って抑えてはくれていますが、アレク様の薬が切れたら崩れ去りますね。ですが、アレク様が起きるまでは耐えなければなりません!」
豪牙の死を悼む間もなく、生き残った魔物の国の住人とパスクとノックスは、全精力を注ぎ込んで道化師達の進軍を阻んでいた。
『ワシじゃが、聞こえるか?地下への侵入は出来んようにしたが、街の防壁は時間と素材が足りんわい!』
ドワーフ達に、地下と街に侵入されないようにする防壁などを頼んでいたが、流石のおやっさんでも未知の道化師達を抑え込む防壁などをすぐに作り出すのは至難の技だったようだ。
『おやっさん、十分です!これ以上は、皆が限界でしょう!魔物の街の住人を地下に避難させてください!私達は、アレク様が目覚めるまで戦い続けます』
『おう!俺達のことは気にするな!おやっさんもさっさと逃げろ!もし、世界が平和になったらおやっさんとドワーフの力は必須だからな』
パスクとノックスは、頭に死が過るも、ここで戦わずして最後を迎えるほど臆病にはなりたくないと最後の力を振り絞り立ち向かうのだった。
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