CHAPTER.3 業の深い緋色(ゴウノフカイヒイロ)【天体衝突6ヶ月前(秋)】
§ 3ー1 モノローグ③ 玉川匡毅
--玉川匡毅・夢の中--
ヒラリヒラリ……
舞い落ちる黄色。先が見えない一本道。街路樹が作る天然の
彼女の名を呼ぶ。しかし、振動は伝わらない。何度も何度も叫ぶが、伝わらない。何故か声が出ない。見渡しても街路樹と落ち葉の山と黄色い
ガサガサガサガサ……
落ち葉の中を何かが動く音。振り向くが落ち葉の山しかない。だが、他に手がかりもなく山になった落ち葉を両手でかき分ける。指に落ち葉ではない感触。そこには黒猫がデザインされたバレッタがあった。彼女が髪を束ねていたものと同じ。やっぱり彼女はいる。
手当たり次第、落ち葉をかき分ける。
いた! 横たわる裸の彼女をついに見つけた。しかし、眠っているのか動かない。名前を呼びかけたくても声が出ない。肩を揺らしても反応がない。
ガサガサ……
そのとき、遠くで物音が聞こえた。視線を向ける。その視界には、見たことある男の人影が、落ち葉の中から彼女を見つけ出していた。彼女に上着をかけ、彼女をおぶって歩いていく。
『なんで!?』と思う一方、『やっぱりか……』と肩を落とす。
もう何もない
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