§ 2ー5 6月23日 メッセージ
--神奈川県・某大学部室棟--
今にも泣き出しそうな灰と白のコントラストに、赤や青の
そんな梅雨らしい静けさを忘れたように、開いた窓からやんちゃな小人がイタズラに熱中していそうな生き生きとしたメロディーが
ヴォーカルの千歳舞衣が悪気もなく30分以上遅刻して参加してからメロディーは違う表情になる。主役は歌声に変わり、他の音色は歌の引き立て役に配役変更を
それ程に舞衣の歌声には、理屈では語れない響きが
「よー! やっと練習終わったかー」
昼過ぎに練習を終え、大学の側にある
広い座敷の席には他に副部長のルミ先輩と3バカの御三方も食べ終わった食器類を前に座っていた。
「おつかれ、4人共」
「「「ウェルカ~ム♪」」」
「おつかれさまでーす。先輩たちもここに来てたんッスね」
久弥が代表して挨拶を交わす。4人全員ランチ定食をおばちゃんに注文して、隣の席に着く。たわいもない雑談をしているうちに、キャベツの千切りにチキンカツと唐揚げ、ナメコの味噌汁、きんぴらごぼう、白飯、デザートのみかんのヨーグルト、これらが1つの
食後に冷えた麦茶を飲んでいるとオサムさんが誕生日席に座り、
「お前ら、知ってるか?」
「知ってまーす」
「おい! まだ何も言ってないだろ、颯太」
オサムさんの話の応対は、何故かいつも俺がしているので、この場でも自然に自分が代表して返事をする。
「また、どっかの知り合いから聞いた都市伝説ですかー?」
「そうそう、この辺りで人面犬が……って、バカー! 都市伝説とかじゃねーから!」
「人面犬とかチョイスが古くないッスか?(笑)」
ポカッ。横から茶々を入れた久弥が間髪入れずに殴られた。この流れ何度目だよ。
「コホン! あー、これはな、相模原の
「またパンドラですか?」
「またとか言うなよ。極秘情報なんだからさ」
「はいはい」
「それでな、お前ら。4月の下旬の大規模通信障害を覚えてるか?」
「んー、そういえばスマホが急に使えなくなって困ったことありましたね。あれはライブの前だったから、GW前だったかな」
「それそれ! あれな、実はあのパンドラからの干渉電波が送られたことが原因だったんだよ!」
「はぁー?」
「相模原のやつの話によるとな、あのときと同じような謎の電波が何度か観測されてるって話なんだよ! これはすっごいぞー」
「……えー、ちなみにその電波はなんで送られてきてたんですか?」
「それがな、どうやら何かしらの情報があるのは確からしいんだが、解析しようとスパコンにかけても文字化けやら解析不能になるらしいんだよ」
「じゃぁー、結局何にもわからないんですね」
「何を言ってるんだ! 颯太!! これは地球以外にも知的生命体が存在するれっきとした証だぞ! ついにこの時が来るとは。未知との
立ち上がって、誰に向かってか笑い狂うオサムさん。座り込んで下を向いて
「なぁ、颯太。今調べてみたけど、電波障害って通信会社の施設の機材トラブルって書いてあるんだけど」
「……オサムさんには、言わないでおこう」
久弥が余計なことを言わないように釘を打っておく。無邪気に
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